コラム

「イタリアの卒業試験と教育システムについて」

karakimami

 6月21日現在、イタリアの若者は全国一斉試験の真最中です。その試験とは La Maturità 卒業試験ですね。今年の卒業試験の日程は6月21日から22日と二日間かけて筆記試験、続いて26日から口頭試問が始まります。ではどんな試験かと言うと、イタリアの文部省のHPを見ると…

「第1試験:イタリア語の熟達度(勉強した別の言語でも可)および表現力、論理的言語力、批判力が評価される。2023年6月21日8時半から全国の学校で一斉に開始し、試験時間は最長で6時間である。受験者は各自の興味や勉強してきた傾向に合わせて文部省が用意する7分野(芸術、文学、歴史、哲学、科学、技術、経済、社会)からテーマを選択できる。試験構成は福城雨滴であり、これにより受験者の批判的考察以上に様々な能力、特に言語の理解度や表現、論理的能力を検証することが可能である。

第2試験:専門学習科目に関する試験。新しい普通科高校では専門分野の試験ではなく基本的な知識を見る。2022年は各試験委員会により作成された試験だったが、2023年は国家試験に戻る。文部省は特別法により第2試験の対象科目を定義した。第2試験対象科目および委託された外部委員会については専用の検索エンジンを活用のこと。

(中略)

面接:面接は筆記試験の跡で行われる。すべてにおいて市民教育に関する点も関わる。面接は複合的であり、一言でいえば教育、文化、専門分野の知識を関連付ける能力を見る。委員会が選ぶ写真、短文、短い動画が手掛かりになる。学生の知識、才能、能力の学習過程を評価する…」

(訳ここまで)

では卒業試験を受けた学生のその後の進路は、

  • 大学に行く
  • 高等技術専門学校のような専門コースに行く
  • AFAMコース(芸術、音楽、ダンスのハイレベルコース)に行く
  • 働く
  • サバティカル休暇(長期休暇制度)を取る
  • 起業する

などがあります。卒業試験は学生にとってその後の人生を左右するほどの大イベントなので、今年は史上稀にみる洪水の被害にあった地域の学生たちは試験時期(面接のみ)を延期する措置が取られました。

さて、卒業試験の話をすると決まって質問されることがあります。イタリアの教育システムについてですね。ここで再び文部省のHPに戻りましょう。

「0~6歳:補育、義務教育ではない。

  • 公的あるいは私的機関を通じて3か月~36か月児を受け入れるサービズがある。
  • 国営または公的機関が管理する幼稚園では3歳~6歳児を受け入れる。

第1教育サイクル:義務教育、8年間。

  • 小学校、5年間(6歳~11歳)
  • 中等教育、3年間(11歳~14歳)

第2教育サイクル:2種類のコースに分かれる。

  • 高等学校、5年間。第1教育サイクルを終了した生徒が対象。14歳~19歳まで。普通高校、技術学校、専門学校がある。
  • 州管轄の職業訓練学校、3年間あるいは4年間。第1教育サイクルを終了した学生が対象。

高等教育機関:大学、AFAM高等訓練校、高等技術学校(通称ITS)

  • 大学
  • ハイレベルの芸術、音楽、ダンスを学ぶAFAM高等訓練校
  • 高等専門職を学ぶ高等技術学校(ITS)

義務教育期間は6歳~16歳の10年間で、第1教育サイクルと第2教育サイクルの最初の2年間である(2006年、第296条)、国立あるいは州立の教育機関に通うことができる。あらゆる若者は法律の規定(2003年、第53条)に基づいて18歳までに3年間の専門資格を取得するまで最低12年間の教育/訓練を受ける権利/義務がある。」

(訳ここまで)

日本と似ているようで違う教育システムですが、ここに前回のコラムで話題にした「メイド・イン・イタリー高校」が加わることになりました。

ところで卒業試験会場には、スマホやスマートウオッチなどあらゆるタイプのデバイス、紫外線や赤外線を使用できる機器は持ち込み付加ですが、イタリア語の国語辞典と関数電卓およびグラフィック電卓はOKです。第2試験では国語辞書や関数電卓は必須になります。もちろんデバイス類は不可です。この時期イタリアでは高校生が重たい大辞典を抱えて試験に臨むのが恒例の風景です。小辞典や中辞典ではなく大辞典。たくさんの情報が詰まった大辞典は本当に役に立ちますからねぇ。

ではまた

まずはお問い合わせから

お電話かお問い合わせフォームでご連絡ください。
ご来室いただくご都合の良い日時を決定し、お伝えいたします。

tel.050-3647-3688

営業時間 10:00 - 18:00(日曜定休)

【お電話での対応について】
事務員が不在のため授業中また来客時は対応できません。
メールでの問い合わせにしていただけると大変助かります。