コラム

「サンレモ音楽祭2023が終わって」

karakimami

 先日2月11日大好評のうちに閉幕したサンレモ音楽祭2023でした。最終日の平均視聴率は66%、もっとも最終日第2部に限れば73,65%でイタリアの国民的音楽フェスであることが分かります。今回の音楽祭では1984年から設けられた新人部門がなくなり、新人部門から6組が選抜されてベテラン歌手と一緒にBigレースで競うことになりました。優勝はMarco Mengoniマルコ・メンゴーニの「Due Vite」、2位はLazzaラッツァの「Cenere」、3位はMr. Rainの「Supereroi」となりました。

優勝したマルコ・メンゴーニは1988年生まれの34歳、ラツィオ州ヴィテルボ県ロンチリオーネに生まれました。16歳でソリストになって以来数々の賞を獲得している実力歌手です。サンレモ音楽祭参加は3度、そのうち2回優勝しています。1度目の優勝曲は「L’essenziale」(2013年)、2度目が今回の「Due Vite」です。歌の学校の先生の勧めで14歳から4人組のヴォーカル・グループの一員として地元のピアノバーなどで歌っていました。16歳でソリストへ、その後3年間は小さなクラブなどでカヴァー曲や自身の歌を披露していました。19歳でローマの言語大学に登録し、音響技術者や打ち込みをしていましたが2013年ミラノに拠点を移し現在に至っています。2008年から始まったイタリア版Xファクター3シーズン目の16/24歳のカテゴリーで優勝しソニーミュージックと契約して彼の音楽キャリアが始まりました。ちなみに初シングルは「Dove si vola」。

さて、マルコ・メンゴーニを除いてラッツァやMr. Rainはラッパーです。ラッツァのスタイルは英語のスラングやフランス語の隠語を取り入れ、独特の韻を踏むために言葉の音節を逆にするスタイルです。実は今回の曲では、イントロ部分に有名な曲のサンプリングを持ってきたと皆思ったのですがヴェネズエラ系イタリア人のAryaという女性アーティストの声とコラボしてスタジオで作ったということで、これには驚いた人が多かったと思います。一方Mr. Rainも同じくラッパーで、その名の由来は“雨の日に集中して音楽を作るから”とインタビューで話しています。今回の曲は個人的な経験をもとに作ったということです。それにしても「Nel blu dipinto di blu (Volare)」の時代と比べるとどの曲も本当に歌詞が長いわ…

サンレモ音楽祭では十分審査されてランク付けされるのですが、少し意地悪な言い方をすると優勝した曲でも数年後にはほぼ忘れられてしまう曲もあれば、優勝には程遠かったものの人気を博して永遠のスタンダードになった曲もあります。Donna Modernaの記事によると、1989年のサンレモ音楽祭では9位に終わったMia Martiniミア・マルティーニの「Almeno tu nell’universo」(1989年)やAdriano Celentanoアドリアーノ・チェレンターノの「Il ragazzo della Via Gluck」に至っては1966年の音楽祭の最終選考にすら残らなかったにもかかわらず世界中で2億枚も売り、数多くの映画やテレビで使われました。Toto Cutugnoトト・クトゥーニョの「L’italiano」は日本のイタリア民謡集CDに入っているのを見たことありますが、1983年のサンレモ音楽祭で5位になりました。Rino Gaetanoリーノ・ガエターノの「Gianna」は1978年の音楽祭で3位になりましたが、史上初めて歌詞に“sesso (sex)”を使ったとして批判を浴びました。個人的にリーノ・ガエターノは好きな歌手の一人です。彼は1981年30歳という若さで自動車事故が原因で亡くなりました、本当に残念なことです。

話は変わりますが、サンレモ音楽祭には毎年有名人が国の内外から招待されます。その中で印象的だったのが女子バレーボール・イタリア代表のスター選手、ナイジェリア系イタリア人Paola Egonuパオラ・エゴヌ選手がスピーチで述べた「Se proverete a bere da bicchieri colorati, scoprirete che l’acqua ha sempre lo stesso gusto(あなたが色の付いたガラスの器から水を飲むとき、水の味はいつも同じだと分かるでしょう)」がとても印象に残りました。またインフルエンサーのChiara Ferragniキアラ・フェッラーニのメッセージ性の高い衣装はとても美しいものでした。

ではまた

まずはお問い合わせから

お電話かお問い合わせフォームでご連絡ください。
ご来室いただくご都合の良い日時を決定し、お伝えいたします。

tel.050-3647-3688

営業時間 10:00 - 18:00(日曜定休)

【お電話での対応について】
事務員が不在のため授業中また来客時は対応できません。
メールでの問い合わせにしていただけると大変助かります。