コラム

「時短&簡素化に突き進むイタリアの離婚」

karakimami

昔々イタリアの離婚はとても難しく時間がかかるものでした…

かつてイタリアの離婚はうんざりするほど時間とお金がかかるというのがデフォでしたが近年では手続きの簡素化と短縮化へと舵を切っています。その流れで先の2月28日から離婚や別居の申請は1度で済むようになりました。これだけでも日本とは違うので、多くの方は「へぇー?」って感じでしょう。ではイタリアで離婚や別居したい場合、まずどうすれば良いのか。イタリア人と結婚予定の人は必見です!

2月28日前までは…

「別居、離婚、あるいは今までの別居や離婚の状況を変えたいと望むカップルは、任意の弁護士の補佐を受けて当該自治体に赴き、合意書に署名すること」

ちなみに離婚を専門に扱う弁護士のHPによると、

「divorzio(離婚)という言葉は、婚姻関係(教会での神前結婚や神前ではない自治体での結婚を含む)の解消を意味する一般的な言葉で、どの法律にも「離婚」の文字はない」のです。こう聞くとSeparazione(別居)もDivorzio(離婚)も結局同じじゃないとツッコミ入れたくなりますが…

またカトリックでは離婚は原則認められないので、

「離婚はカトリックでは効力はない。教会法では如何なる理由であろうと婚姻関係の解消は認めていない。例外は配偶者の死亡時と裁判で婚姻無効の判決が出た時だけ」となります。

では、離婚はいつから認められるようになったのかというと…

「(名目上のカトリック教徒が大多数を占める)イタリアで離婚制度が導入されたのは1970年(第898法)、それ以前の法律(第898/70法)では婚姻の絆の解消はできなかった。1970年の新法には現在に至るも離婚に関する主な規則が含まれている。」

その昔、何かの機会にイタリア人がseparazioneじゃなくてdivorzioはマジだからと真剣に熱弁をふるっていましたが…イタリアでの別居と離婚の違いとは、

「別居と離婚は混同されることが多いが、両者は無関係ではないが実際のところ全く異なった手続きである。合法的別居とは、離れて暮らすこと、また婚姻から派生する幾つかの義務を一時的に停止する許可を離婚相手に与えること、及び最終的に和解しがたい不和で離婚あるいは和解に至るまでの全段階的手続きである。したがって離婚は婚姻を決定的に終わらせるための唯一の制度なのである。それゆえ別居期間中であろうとも婚姻関係は継続している。別居期間を経ず離婚手続きを進めることはできない。結論として夫婦の愛情が減少した場合、離婚前の別居が必要不可欠である。より正確には合意的別居期間が6か月以上、離婚裁判から1年が経過していること」で、日本人から見ると非常に面倒で、上記のイタリア人の熱弁の意味するところが良く分かりますね。

離婚に裁判とな?“両者が合意して円満離婚”でも裁判は必要かというと…

「合意の上であろうと合意し難い場合であろうと、1970年の第898法によると離婚判決を得るために当該裁判所に行く可能性を規定している。実際には合意離婚でも不合意離婚でも裁判官が法律で規定されている離婚原因に該当するかどうか判断し、婚姻関係の効力無効あるいは解消を宣言する。」これでは内輪だけでひっそりと協議離婚は無理ですね。ただし近年増加しているのが、弁護士も裁判所も介さないdivorzio con negoziazione assistita(弁護士介在の協議離婚)です。時短のための特別制度ですが、この場合子供の有無に関わらず各自弁護士を最低1人つける必要があります。また青年だろうと未成年だろうと経済的に自立していない子供がいる夫婦は子供の利益を保護するために後見人をつけなければいけません。また子供がいない夫婦や子供が独立した夫婦はdivorzio in comune(共同離婚)ができます。これは市役所に必要書類を提出するだけなので非常に簡単ですね。

 さあ、夫婦そろって合意に達し、いよいよ離婚となった場合は…

「“divorzio congiunto(両者が離婚に向けて合意が成立した離婚)”別名“divorzio consensuale(コンセンサス=合意離婚)”。子供の養育、慰謝料、財産分与といった離婚条件に関して合意に達したら、一般的に合意離婚と呼ばれる離婚では、各自弁護士を伴って裁判所に行き必要な書類を提出すれば良いのでとても早く済む」

もちろんですが、合意できない場合は「係争離婚」になり、日本同様裁判で争いますよ。

かつてはカトリックで離婚が認められないため、夫婦で合意して別居して双方に事実婚の相手がいたとしても、死ぬ前になると神前で認められない相手だからと部屋から出されたので愛する人の死に目に会えませんでした。フランス国王ルイ15世の晩年の愛人デュ・バリー夫人は天然痘に罹った王の最後を看取ることはできず宮殿を追い出されましたね。ああいった光景は特別なものではなかったのです。カトリック教徒といっても名目上で実生活では戒律に縛られない人が増えている現在、離婚に関して自由になってきていることが窺えますね。今後もますます簡単に離婚できるようになるのでしょう。

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