コラム

「第27回マフィアの犠牲者への追悼集会に思うこと」

karakimami

 2022年3月21日、ナポリの広場にてマフィアの犠牲になった人々への追悼集会が開かれました。ナポリだけではありません、同日イタリア国内の主要都市ローマ、ミラノ、トリノ、バーリなど、また国外ではパリ、ストラスブール、ベルリン、マドリードなどでも人々が追悼のために広場に集いました。以下Raiの記事を部分訳しました。

「マッタレッラ大統領「マフィアを打ち負かすことはできる」、

無数の人々がマフィアの犠牲者追悼のために集結」

 第27回マフィアの犠牲者追悼のための行進(企画:Libera e Avviso pubblico、協賛:Rai、後援:ナポリ市、カンパーニア州、Polis財団)は「ペッピーノの百歩(伊:Cento Passi)」の有名な一節と、平和のシンボルである虹の大きな布(20×10m)を先頭にして始まった。(中略)組合や関係機関の代表者、学生などが参加したが、マフィアの犠牲者の家族がイタリア中から集まったことが大きな注目を浴びた。参加者は街の中心を練り歩き、プレビシト広場に着いた。ここでマフィアの犠牲となった1,055人の名前が読み上げられた。犠牲者たちは、一般の市民、裁判官、警察官、聖職者、企業家、組合員、政治家、地方行政官だ。  

 「追悼は義務です。私達の社会や家族を蹂躙し踏みにじるマフィアの非人間性に立ち向かい、人間としての尊厳のために対価として命を捧げた人たちを称えます。法が恐怖に勝る象徴となるように、追悼は人々の無関心に対する呼びかけです。なぜならマフィアとの戦いは共和国の根幹に関わる自由を守る事を意味するからです」マッタレッラ大統領はこのように述べた…」

(訳ここまで)

 マフィアの犠牲者の中で最も有名なのはジョヴァンニ・ファルコーネ裁判官と盟友パオロ・ボルセッリーノ裁判官でしょう。ファルコーネは1992年5月23日、コーザ・ノストラによって妻と警護していた警官3人と共に高速道路上で車をプラスチック爆弾で車を爆破されて殺されました。ボルセッリーノを殺したのも同じくコーザ・ノストラ。同年7月19日、遠隔操作されたプラスチック爆弾90キロを積んだ車によって警護の警官5人と共に爆殺されました。ちなみにこの時殉職した女性警官は勤務中に亡くなった初の初の女性警官になりました。ファルコーネとボルセッリーノ、幼馴染で盟友であった二人を称えて2€硬貨のデザインになっています。

 30年前は破竹の勢いだったマフィアですが、次第に変化しているようですね。1年前のCorriere della Seraの記事はマフィアの犯罪件数が最少になったと報じました。

「かつてないほど減少した殺人事件、

マフィアの犠牲者が激減」

 殺人がかつてないほど減っている。30年前は僅か1年で1,900件だったのが、2020年は最少の271件になり、2019年の315件からさらに減少した。何年も前から毎年減り続けている。2019年には、イタリアはルクセンブルクを除いてEU諸国内で人口に対して殺人事件が最も少ない国に位置付けられた。イタリアは家庭内暴力が頻発する国である反面、マフィアなど犯罪組織関係の殺人が激減している国でもある。

女性への犯罪は増加

 内務省と法務省のデータに基づくNGOのヒューマン・ライツ・ウォッチの分析によると殺人事件の年間件数は271件で前年から14%の減少だ。事件が多く起きた月は1月と6月で、ロックダウンによる強制封鎖が適用されなかった時期に該当する。女性が命を落とす事件は全体の35%から41%に増えた。夫や事実婚のパートナー、婚約者の暴力による事件は増加している、これは何年も前から見られる傾向だ。これを考慮に入れると女性が殺される事件は67%にも上る。ヒューマン・ライツ・ウォッチが引用したEuresの詳細な調査によると、深刻な病気に罹った配偶者を支えきれずに殺して自殺する事件は2倍に増えた。また殺された女性の32%は64歳以上だったことも特筆すべきである。

マフィアはもう人を殺さない

 マフィアのような犯罪組織絡みの事件は明らかに減少している。Trueumbersのサイトが実施した調査では、犠牲者が315人だった2019年は考慮に値する。この点でも家庭の中が最も危険であると専門家は言う。315人中、コスカ(シチリア・マフィアの下部組織)に殺されたのは僅か28人だった。最も犠牲者が多かった年は1991年で、犠牲者は1,916人だった。「一部の犯罪組織は戦略を変えた。力より贈賄を好み、静かに経済に入り込む方を好む。」と、Trueumbersはこの変化の理由について書いている。

(訳ここまで)

記事では新型コロナ下でのDVの増加も言及されていますね。5月1日には室内でのマスク着用義務もなくなり、新型コロナの感染対策規制が全て撤廃されるのですがDVは減るのでしょうか?ともあれ今やマフィアといえども賢くなったので、殺すより儲ける方が割に合うと学んだのかもしれませんね。

ではまた

まずはお問い合わせから

お電話かお問い合わせフォームでご連絡ください。
ご来室いただくご都合の良い日時を決定し、お伝えいたします。

tel.050-3647-3688

営業時間 10:00 - 18:00(日曜定休)

【お電話での対応について】
事務員が不在のため授業中また来客時は対応できません。
メールでの問い合わせにしていただけると大変助かります。