コラム

「イタリア産オリーブならぬマンゴー?」

karakimami

 2023年の夏は史上最高に暑かったです、日本のみならずイタリアも。7月18日から20日の3日間は史上最高ともいうべき酷暑でした。18日はシチリア島アグリジェント県リカータの46,3度(2009年7月25日の42度を大幅に更新)、2番目はサルデーニャ島オリスターノ県ウーラスの45,8度、3番目はシチリア島カルタニセッタ県リエージなど8か所で40度を越え、翌日19日も46,7度(サルデーニャ島南サルデーニャ県ヌラーミニス)、46,3度(シチリア島カリアリ県セスツーアグロ)、46,2度(サルデーニャ島南サルデーニャ県シリークア)など8か所、20日はやはり南部2か所(シチリア、カラブリア)で40度以上でした。全体的に平均気温が上がり猛暑は厳しさを増していますが、傾向としては北部と南部で2分しています。北部は豪雨や雹が降り建物などに被害に、一方南部は極端な暑さが支配するようになっています。一言でいえば、

  北部→嵐

  南部→酷暑

ですね。この傾向は今後も強まるとみられます(euronews.より)。

 気温の変化に対応するべく、トロピカルフルーツの栽培が着実に増えています。イタリアは南ヨーロッパに位置しているとはいえ、緯度で見ると日本より高く、ローマは津軽海峡ぐらいの緯度にあります。とはいえ偏西風に乗って運ばれてくる暖気やモロッコからのシロッコ(熱波)の影響で暖かく、イタリア人は毎年夏になると「またシロッコがやって来るよ」と顔を顰めてアフリカからやって来るうだるような暑さに備えたものでした…が、今やアフリカから熱波による酷暑は当たり前(北部は嵐も)、外来生物のヒトスジシマカは半島を北上しながら生息範囲を広げ、海中では増え続ける外来生物アオガニを食用にする動きが強まっています。そして地表では、農作物においてもトロピカルフルーツ栽培が広がりつつあるというのです。

 

 ここでコルディレッティの記事を見てみましょう。

 「イタリア産マンゴー収穫へ」

 

 トロピカルフルーツの耕作面積が1000ヘクタールを超えたイタリアでマンゴーの収穫が始まる。気候変動の影響が農業生産地図を根本的に変えつつある。南部はエキゾチックフルーツ、北部はアルプスにオリーブの木が植えられている。コルディレッティの分析から降水量が爆発的に増えていることと気温上昇の影響が鮮明に浮かび上がった。

 近年イタリアでのエキゾチックフルーツ栽培が急増し、シチリア州、プーリア州、カラブリア州では栽培地が1000ヘクタールを超える。この3州ではアジアやラテンアメリカ原産のフルーツの試験栽培から始まって本格的な栽培が行われるようになった。バナナ、マンゴー、アボカド、ライム、パッションフルーツ、カスタード(ポポー)、フェイジョア、カシミロア、ブラックサポテ、ライチなど種類は多岐にわたる。シチリアでは多種多様なアボカドとマンゴー栽培が主流で収穫は11月末まで続く。

 過去200年間で見られなかった近年(最近の10年間)の気温は史上最も暑い年を更新し続けている。(中略)

 トロピカルフルーツ栽培は近い将来における消費形態を大きく変えることになるのみならず、気候変動により栽培できる農作物の種類も変わることになるとコルディレッティは指摘する。オリーブとブドウの産地は北に移動し続ける一方でパダーナ平原では小麦やトマト・ソースなど典型的な地中海食品の生産地は北部の半分とエミリア・ロマーニャ州で70000ヘクタールに及び、今や北部の赤い黄金(トマト)栽培の中心になっている。

 例えばブドウ畑イタリアは、以前と比べて酸味が少なくより甘い早熟のブドウを栽培している。またワインも過去30年間と比べてアルコール度数が高くなっている。ブドウの収穫も一か月早まり、以前は伝統的に9月初めだったが今は8月初めに始まる。諺をもじって“ad agosto riempi la cucina e a Settembre la cantina”(8月は台所がいっぱい、9月はワイン貯蔵室がいっぱい)、教科書に書かれていることは訂正されなければいけないようだ。そして、この暑さは全国レベルでブドウ畑の分布にも変化をもたらした。ブドウ畑は北上し続けて、アオスタ県のモルジェスやラ・サールのような海抜1200メートルの高地にブドウの木がある。このヨーロッパでもっとも高地にあるワイン畑でブラン・ド・モルジェ・エ・ドゥ・ラ・サールのためのブドウが栽培されている。

 他に一部の伝統的な農作物、例えばオリーブ栽培がアルプスに移動していることも重要だ。事実、ソンドリオ県(ロンバルディア州北部)は北緯46度に位置し、イタリアのオリーブの北限だが、近年は山稜の最も日当たりのよい斜面でオリーブの木約1万本が栽培され、その耕作面積は約3万平方キロメートルに増加した。

(訳ここまで)

 私自身、近年のイタリアの酷暑と干ばつや豪雨の報道を見ながら農作物が変わるだろうと考えていましたが、実際かなり進んでいるようですね。それにしてもイタリア産ワインがアルコール度数が高くなっているとは驚きました。それにしてもイタリアの諺で”A settembre i frutti ci son sempre”(9月はいつも実がある=実りの秋)と言いますが、このままでいくと8月が実りの季節になりそうですね。

ではまた

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