コラム

「9月25日の選挙とロシア」

karakimami

早いものでもう9月。今月25日の選挙日を前に各党それぞれの思惑が交差し、それを報道するマスコミの報道合戦には凄まじい本気度を感じます。幾つかある選挙の争点の中で一番は“エネルギー政策”でしょう、庶民の最も高い関心事はコレですね。天井知らずに値上がりする電気やガス代を巡って悲しい話が飛び交う中、こうした運動が徐々に広がっています。ローマでは2021年と比べて3倍になった経費にバールやレストランの経営者が頭を抱えた挙句、「電気代やガス代の領収書を店のショーウインドウに掲示する」というFIPE(イタリア公共事業連盟)主導の運動に参加するところが増えています。これは消費者に「昨年と比べて今年の経費がいかに増えたか」を理解してもらおうというFipaの試みですが、飲食業界にとどまらず冬を前に政府のエネルギー対策が国民から真剣に求められています。

さて、話は変わりますがフィンランドのサンナ・マリン首相がパーティーで騒ぐ様子を撮った動画がネットに流出した件をご存じの読者も多いと思います(イタリアでは8月18日のRaiでガッツリ報道されてました)。首相とはいえまだ30代の若い女性ですからプライベートで羽目を外すのも理解できると彼女を擁護する声も多いのですが、一国の首相の品格としては不適切と受け止められたようで野党からは絶好の機会とばかりに責められました。またキレッキレダンスに薬物使用も疑われ、最初は検査を拒否していたものの結局検査を受けて身の潔白を証明させられましたね。そんな動画流出事件の裏にロシアの影があるとRaiのニュースは報じています。ところで流出した動画は全部で2つ、最初の動画が流出した後、2つ目の動画も時を置かず流出しました。それではRaiの記事を見てみましょう。

「…もう一つの動画も流出した。2つ目の動画に写る若い首相の姿に人々は困惑している。この動画では、ヘルシンキの有名なクラブで彼女(首相)がシンガーソングライターのオラヴィ・ウーシヴィルタと親しげに踊っている、8月最初の週末の夜にあったことのようだ。細部に重要なことが隠されているかもしれない。拡散した動画でポップスターのオラヴィが首相の首にキスしているように見えると、あるジャーナリストが記者会見で指摘した。マリンはこれを否定し、彼はマリンに向かって話をしてたぶん頬にキスをしたと述べた。また「誰かが私の頬にキスをしても、不適切とか対処できないとか夫に言えないことでは全くありありません」と首相は自己弁護した。

噂の中心人物になってしまったマリンが最初の動画に対処しているなか、野党から要求された薬物検査を受けたことを発表した(訳注:翌週の検査結果で薬物疑惑は晴れた)。だが、今回の動画流出はロシアが裏で手を回したのか?大勢の胸に疑惑が沸き上がる。

 (中略)

 誰が動画を流出させたのか?

この動画がオンライン上に流れた点がポイントだ。プライベート・パーティー動画に関しては、マリン自身の表現による“粉の盗賊”(コカインについて述べたと思われる)が登場するプライベート・パーティーで、フォロワーは僅か92人のプライベート・アカウントから公開されたのが最初で(すぐ削除された)、このアカウントは首相の特別なサークルにリンクしていると思われる。

 サイバーセキュリティの専門家ペッテリ・ヤルビネンは日刊紙イルタルチでロシアがマリンのサークルの誰かの電話かソーシャル・アカウントをハッキングした可能性があると指摘した。一方ロシアはNato内で中立国のフィンランドに最初の狙いを定めて、エストニアの場合と同じく、欧州でロシア人に発行されている観光ビザに反対する反対派を解き放った。」

(訳ここまで)

この記事によると、クラブで踊る動画の方は閉鎖的だけれど公共の場所に偶然居合わせた他人が撮影したものだと結論付けています。記事中にあるロシア人に発行される観光ビザについて欧州議会は結論を先送りにしています。

 “フィンランドとロシアは地理的に近いからあり得る”と何となく思いますよね。でも選挙活動中のイタリアでもしっかり“ロシアの選挙干渉”はあります。それではFanpageの記事を見てみましょう。

「ロシアの選挙に干渉していると言われる理由と各政党の反応」

 ロシア問題が勃発した。ロシアのメドベージェフ元大統領が欧州市民に選挙で自分たちの政府を罰するように促すやようにツィートするや否や、政治が即座に反応した。民主党からカルロ・カレンダまでディ・マイオ外相を通じてイタリア政府はロシアを非難した。それだけではない、あらゆる政治勢力に対してロシアの干渉から距離を置くことを求める声もある。特に年々にもわたってプーチンと親密だった北部同盟に対して風当たりは強い。

 「2017年統一ロシアと協定を結んだ政党がある、北部同盟だ。この協定は無効にするべきだ。もし北部同盟が応じなければ我が国の主権にとって非常に重大な事態である」と民主党のレッタは述べた。サルヴィーニ(北部同盟党首)は「イタリアの問題はレッタのツィートでもないしロシアのツィートでもない。投票者はイタリア人だ、中国人でもロシア人でもない」と即座に応酬した。

 フォルツァ・イタリア党のスポークスマンである上院外務委員会の委員長クラクシはロシアと北部同盟の関係に関して北部同盟は政治的な無知を晒したとレプッブリカ紙のインタビューで強調した。さらに「メドベージェフの非難は認められません。彼は冷静な判断ができず、頭が少しおかしい人ではないかと思うのです」と付け加えた。同様にフォルツァ・イタリア党のナンバー2であるタイアーニも「メドベージェフの言葉は不適切で、一切拒否する」と言い、「イタリア人の投票に全く影響しないだろう。多くのイタリア人はメドベージェフが誰かということすら知らないから」と付け加えた。

(訳ここまで)

 遠い昔のように思われるのですが、今年の5月に北部同盟のサルヴィーニは和平案を携えて単独でロシアに行きました。そして成果ゼロで帰国。帰国後は物凄い非難の嵐でしたね。

 選挙を巡るアレコレの中から今回はロシア問題を取り上げました。さて、結果はどうなるか?選挙結果、楽しみですね。

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