イタリア社会の雰囲気が日毎に明るくなっていることを感じる今日この頃。16日の新型コロナ感染者は5,753人、死者は7か月ぶりに100人を下回る93人になりました。外出禁止はまだあるものの、一部を除いてイタリア全土は警戒度が最も低い黄色に変わりました。80歳以上の高齢者へのワクチン接種も77%まで済み、12歳以上の子供たちへのワクチン接種もアメリカから勧告されている状況です。イタリア国立衛生研究所によると、感染者と死者の減少はワクチン接種の効果だということです。
昨年のロックダウンから約1年間、人々の生活の変化を調べた研究結果が少しずつ出てきました。今後このコラムでも取り上げることがあると思いますが、まずはアルコールに関してイタリア国立衛生研究所の研究によるとアルコール消費量が250%も増加しています。男女関係なく幅広い世代で飲酒量が増加したのですが、特に未成年の飲酒が増えました。過度の飲酒が明らかに懸念される人たちは約850万人、そのうち高齢者は270万人です。暴飲は400万人以上、60万人は治療が必要と見られます。将来への不安やストレス解消のための飲酒に拍車をかけたのがデリバリーの普及でした。ネットで注文すれば届く手軽さが飲酒習慣を悪化させたのです。
もちろんアルコールに依存しない人達もいます。いわゆる適度に嗜む人たちの飲酒傾向はどう変化したか。それを調査したのがビール醸造会社のビッラ・モネッティで、調査結果は複数のメディアの記事になりました。飲酒習慣以外にも面白い結果だったので取り上げたいと思います。ここではアンサ通信の記事を見てみましょう。
『おうち時間満喫の時のお供はワインではなくビール』
(アンケートに答えた人で)ビール派は42%、ワイン派(37%)は打ち負かされた…ビールは最高のパートナーの座に輝いた。これはビッラ・モレッティ(イタリアのビール醸造会社)がBva Doxaに依頼した調査で浮かび上がった結果だ。人々が“おうち時間”を満喫してオンラインで交流する、美しい芸術作品を見る、ポップ・ミュージックを聴く、本を読むときのパートナーは何か調査した。その結果、“コーヒーを飲む”と答えた人は最も多く全体の57%、次いでビール42%でカクテルと答えた人は15%、ビターズは10%だったこの調査結果の全体的な傾向としては、ビッラ・モネッティが持つ陽気なイメージが変化していることを示していると言えそうだ。同社は2021年になって“あなたの良きお供”という新しいイメージに変わってきている。この数か月、ビールはヴァーチャルで人と会うときや(許可された地域と時間帯中に)バールで一杯やるときのアペリティフと同義語になったことが調査から分かった。38%の回答者は、ビールはアペリティフとして外せないと回答した。アペリティフとしてプロセッコやスプマンテと答えた回答者は36%、カクテル29%、ワイン(赤&白)23%だった。ノンアルコールビールと答えた11%を加えれば、ビールは成功したトレンドと考えられる。
またイタリア人10人に4人(41%)は家や家族を見直し、親しい人たちと一緒に時間を過ごすことに意義を見出した。屋外で“自由にしたい”派もいる。回答者39%は好きなところで自由な時間を過ごしたいと答え、36%が画面越しではなくちょっとアペリティフを呑むために友人と会うことがいかに重要か分かったと回答。家にいる感覚は良い状態であると回答した人は60%、愛する人や自分自身と深く結びついて居心地が良い、家は特別な場所以上に特別な場所だ。
(訳ここまで)
男女問わずイタリア人にとって午後のひと時を広場に集まっておしゃべり、あるいはメイン通りをそぞろ歩きしながらおしゃべりに興ずるのは欠かせない大事な習慣です。ロックダウン中はさぞ辛かったろうと思いますが、強制的に家に缶詰されることで家の中でゆっくり家族と過ごすことの価値を発見した人も多かったようですね。今、再び元の生活に大急ぎで戻りつつあるイタリア社会、ここで認識されたた“おうち時間の良さ”は古い習慣復活の前に忘れられてしまうかもしれませんね。