4月19日、日付が変わる頃サッカーの一大ニュースが各メディアに駆け巡りました。ヨーロッパ・サッカー分断の危機が勃発したのです。続く3日間、イタリア各紙はこれに関連するニュースをトップで報じています。危機は意外と早く収まりそうな気配ですが、順を追って見てみましょう。まずは19日のFanpage.itの記事から
『ヨーロッパ・サッカーのスーパー・リーグ誕生』
ヨーロッパ・サッカーのスーパー・リーグ(JPモルガンが出資)が現実になる。ヨーロッパ・サッカーの歴史的大混乱の一日の終わりに発表された新リーグ公式案によると、参加チームはユヴェントス、インテル、ミランを加えた12チーム。新フォーマットが実行委員会で認められたUefaチャンピオンズ・リーグに正面切って挑戦状を叩きつけた。 ヨーロッパ・サッカーのスーパー・リーグ計画が公式に発足した。参加チームはユヴェントス、インテル、ミランを含むハイ・クオリティのサッカーチームがそろう。Uefaチャンピオンズ・リーグの新方式が公表された4月19日、同日夜にスーパー・リーグ案が発表された。大改革に揺れるヨーロッパ・サッカー界においてかつてない深刻な分裂危機。(中略)ヨーロッパ・サッカー界の12トップチームがスーパー・リーグに賛成した。12チームは以下の通り:ACミラン、アーセナルFC、アトレティコ・マドリード、チェルシーFC、FCバルセロナ、FCインテルナツィオナーレ・ミラノ、ユヴェントスFC、リヴァプールFC、マンチェスター・シティFC、マンチェスター・ユナイテッドFC、レアル・マドリードCF、トッテナム・ホットスパーFC、…他3チームが加わる見込み、準備が整い次第すぐにでも船出する。(中略) スーパー・リーグのフォーマット:参加チームは20(15チームは創立チームとして恒久的、残り5チームは全シーズンの結果を基に毎年選出)、8月に開催予定、それぞれ10チームの2グループに分かれ、ホーム&アウェーで試合する。各グループのトップ3チームが準々決勝に進出(グループの4番目と5番目は出場資格の最後の2ポストを巡って2回試合することになる)…
(訳ここまで)
と、斯様に派手にぶち上げた花火はどうなったかと言うと…翌日20日のアンサ通信の記事では「スーパー・リーグ、サッカー界を揺るがす。政府とティフォージ(tifosi、熱狂的なファンのこと)は反対」との見出しで早くも雲行きが怪しくなりました。記事の続きを見ましょう。
「スーパー・リーグ、サッカー界を揺るがす。政府とティフォージは反対」
(欧州サッカー連盟会長)アレクサンデル・チェフェリンにとって“サッカー愛好家の顔に唾をかける”ことと同じだ。イタリアサッカー連盟(FIGC)の会長グラヴィーナは反対:「サッカーはティフォージのものだ」。スーパー・リーグ参加予定のイギリスのチームのティフォージは“スポーツの意義に反する”としてスーパー・リーグ計画を突き返し、ネットの世界では愛好家の反乱が起きている。ドラギ首相は「実力主義の意義とスポーツの社会的機能、ナショナル・リーグを守るためにUEFAとFIGCの立場を断固支持する」。ただしマンチェスター・ユナイテッドの株価は9,3%に跳ね上がり、ユヴェントスも17%稼いだ。スーパー・リーグ参加予定のユヴェントス、インテル、ミランの3チームは“何としてもセリアAに残る”と表明した…
(訳ここまで)
そしてさらに次の日、21日の記事(Fanpage.it)によると「インテルは離脱。スーパー・リーグはもはや我々の興味の対象ではない。」、また「ユヴェントスとミランは保留」とあります。Raiニュースでは「スーパー・リーグ、イギリスのチームが離脱。計画は破裂したが発起人はあきらめない。」ということでした。
ガゼッタ・デッロ・スポルトの編集長ステファノ・バリジェッリがアンサ通信にこう話しました:「スーパー・リーグは気に入らない。UEFAと決別するだけでなくヨーロッパでもっとも情熱的なリーグを招待制のトロフィーに変えようと目論む出資者やチームの会長グループによって考えられた血の通っていないサッカーは好きじゃない。これまでの過程全てが気に入らない、隠れてこそこそ画策した…」ということで、スーパー・リーグの命は僅か数日で尽きそうです。
「サッカーはファンのもの」という永久不変の法則が証明された一件でした。