コラム

「イタリア近況:外交官殺害事件、レンツィ元首相とサウジ王家の関係など」

karakimami

 日本でもワクチン接種が始まりましたね。イタリアでは変異ウイルスが若年世代に広まりつつあることが最も警戒されています。3月1日からサルデーニャが初の警戒解除州になり、マスク着用、ソーシャルディスタンス、消毒義務は残るものの段階的に規制が解かれる見込みです。一方バジリカータ州とモリーゼ州は最も警戒度が高い赤地域になり、学校は有無を言わさず閉鎖されます。ミラノなど多数の地域は中程度の橙警戒地域で、依然として綱渡り状態なのは変わりません。ヨーロッパでは初めて新型コロナ・フリーの島が誕生しました、ギリシアのカステロリゾ島です。観光業復活を目指すギリシア政府の方針に基づく措置として島民全員に優先してワクチン接種しました。こうして小さなパラダイスが地中海に誕生したというわけです。美しい海と空に加えて新型コロナ感染を気にしなくて良いとは夢のようですね。

 ワクチンと言えば、国内の不法移民へもワクチンを接種するか否か。イタリア国内には56万2千人の不法移民がいます。難民収容センターから出される、他国への通過途中でイタリアにいる、あるいは失業など様々な理由から彼らの多くは住所不定の浮浪者です(2002年制定の通称Bossi-Fini法によって多数の移民が生活できなくなった)。この人たちへのワクチン接種に関してあまり話題になりません。Fanpageの記事によると、カナダやドイツでは不法移民へのワクチン接種を接種プランに入れているのに対してイタリア政府は何もしないと批判的な記事がありました。経済的にも精神的にも大変な状況でイタリア国民の大部分は不法移民へのワクチン接種何て知ったこっちゃないわけです。ワクチン接種の管理委員長ドメニコ・アルクーリも不法移民はワクチン接種対象外と述べているのですが、実際は合法・非合法問わずイタリア国内滞在の外国人の健康を保護すると法で定められているので最終的にはワクチン接種することになるでしょう。好むと好まざるに関わらず集団免疫を獲得するためにはやらざるを得ないのですから。

 2月22日各紙トップで報じたのがコンゴ共和国で起きたイタリアの外交官とカラビニエリが殺された事件。車で移動中だったイタリア外交官Luca Attanasioと護衛していたカラビニエリのVittorio Iacovacciと運転手が強盗団に襲われて森で銃殺された痛ましい事件でした。当初は処刑を疑われたようですが、いわゆる強盗目的だったということです。犠牲者3人以外に他3人が誘拐されたという情報もあります。25日に帰国した2人の遺体を迎えたのはドラギ新首相でした。2016年エジプトでイタリア人留学生が拷問の上殺された事件はイタリア政府が強硬にエジプト政府に抗議したにもかかわらず4年経った今でも未解決です。今回はイタリアを代表する外交官が殺されたわけですが、コンゴ政府はどのように対応するのでしょうか。

 2018年トルコでサウジアラビア人記者が殺害された事件で、アメリカ政府はサウジアラビア王家の皇太子ムハンマド・ビン・サルマンが「殺害を承認した」と結論を出しました。サウジアラビアの首都リヤドで行われたポスト新型コロナの投資に関するフォーラム“リヤドの未来”(サウジアラビアのFII研究所主催)にただ一人出席したマッテオ・レンツィ元首相が慌てて自己弁護に走っています。記者会見を開いてサウジアラビア王家特に皇太子との親密な関係について釈明に努めましたがメディアの反応は「結局自己弁護に終始している」と冷ややかですね。何しろコンテ前政権を倒した挙句のこのニュースですから。関連記事によると「レンツィ元首相は(自身が党首を務める)Italia Vivaは外国の政府から財政援助を受けていないことを強調して、欧州の主要な同盟国と関係を深めることはイスラム過激派を防ぐ上で必要と正当化しました。サウジアラビアとの関係は外交問題であり、もし政治家の立場を利用して他国への便宜を図って謝礼を受け取れば利益相反になる」「最後にレンツィ元首相は人権を蹴り飛ばしてサウジアラビア王家と懇意にすることはイタリアの企業にとって絶好のチャンス」と述べたということです。要するにサウジアラビア及び中東はロシアや中国と一緒、未曾有の経済危機が待っているイタリア経済を救うために中東の金満国家を大切にしようということですね、良く分かります。

 最後にポンペイ遺跡からの最新ニュースで気を取り直しましょう。発掘されたpilentum(儀式用4輪馬車)と馬3頭が見つかった場所はポルティコで、今でいう車置き場だったようです。夏に遺跡見物に行く場合は1ℓの水持参が不可欠なほど広大な遺跡ですが、これでも全体のほんの一部分に過ぎません。これからもワクワクするような大発見があるでしょう。

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