イタリア産飲食物といえば高品質で美味しい、というイメージがあります。イタリア人自身もこのイメージを大いに自負し、“made in Italy”を一つのブランドと見なして大事にしています。近代になって北イタリアの工業が発展しましたが、歴史の中でイタリアは豊かな農業国でした。ヴェネト州では今年プロセッコの丘陵地帯がユネスコの世界遺産に登録され(イタリアでは55番目の世界遺産)今でも昔と変わらず舌、目ともに楽しませてくれる恵み豊かな大地の恩恵を受けています。
でも近年、そんなイタリアの農業に危機が迫っているようです。まず最近の10年間で小麦の農作地が激減していること。なんと農作地5つのうち1つが放棄されています(ただし古代小麦の耕作地は1000ヘクタールから6000ヘクタールに増加。100%イタリア産を求める高級志向な購買層が増えたため)。主だった原因は頻発する天候不良によって農家の経営が安定しないこと。つい最近もアフリカからの熱波で50度に届くほどの高温になったかと思うと、数日前は雹が降り農作物に大打撃を与えました(拳大の大きさの雹が降ったところでは死者も出た)。また夏の水不足や嵐による洪水も毎年のように報告されています。日本同様、夏の高温で牛がストレスを受け搾乳量が減少、などもあります。
さて以前トリュフの食品偽装を取り上げましたが、今回はワイン。世界中で愛されるイタリア産ワインですが、この記事を読むとあまりにも安い物はやめた方が賢明かもしれません。因みにこの記事に登場する農業生産者団体コルディレッティはワイン偽装を効果的に抑制するために各省庁の連携を呼び掛けています。
『混ぜ物ワイン、昨年の食品偽装件数75%増』
高品質を謳うイタリア産ワインは輸出(+3%)、消費(+4%)共に高い評価を得たおかげで110億€という記録的数値を達成した発展著しい部門を危険にさらす偽装食品に甘い態度は許されない。農業生産者団体コルディレッティはナポリの保健を保護するカラビニエリ(他2つの機関unità dell’Arma territoriale e dell’Unita’ Centrale Investigativa dell’Icqrfも協力)の“ゴースト・ワイン”作戦に関して説明する際、このように断言した。
2018年度内でワイン生産部門が管理する犯罪の増加は著しく75%に跳ね上がった。ICQRF(観光、森林、食用農産物省にある偽装を取り締まる検査機関)の1万8千件のデータを基にしたコルディレッティの分析によると犯罪の内訳は、(発酵前のブドウ液の)糖度強化からラベル偽装、水で希釈、薬草を不法に加えるなど多岐にわたり、一流ワインメーカーのラベルを使って粉ワイン“ワイン・キット”なるものがネットで売られている。
ワインの偽装や詐欺はワイン部門の発展に大きな脅威だとコルディレッティは強調する。当局が暴いたワイン偽装は2018年度内で194件を優に超え、1630万€に相当する1500万キロ以上のワインを押収した。国家レベルの偽装はイタリア産ワインの評判を傷つけることにつながる。見つかる度に世間を騒がせる不法産地で作られるワインはイタリアの三色旗を付けられたボルドリーノ・ビアンコ、ボルドリーノ・ロッソ以外にアルゼンチンで作られるアメリカ産キアンティ、ルーマニアで買い付けられたバルベーラ・ビアンコまである。
これらはイタリアの管理システムが機能して得られた結果であるが、改定された目下の規定の農産物加工方法のなかで違法行為が形を変えて続けられている、こうした違法行為は1900年初めにまで遡るとコルディレッティは続けた…
(訳ここまで)