コラム

「少女虐待」

karakimami

イタリアは先進国ですが、マフィアやカモッラの温床である社会階級ではときどき前近代的な性質を持った事件が起こります。このような事件が明るみに出るたびに、普段日の当たる場所にでることがないイタリアの暗い部分に不意にスポットライトが当たったような不可解な気持ちになります。この事件も、そのような事件の一つです。

 

『「自分が招いたことだ」とレイプの犠牲者である13歳の女の子が母親に語った性的暴力の一部始終。母親は何も対策を講じなかった。 』

メリート・ポルト・サルヴォの少女は3年間にわたって仲間からレイプされ続けた。少女は学校の作文でこの虐待を明らかにし、母親は家で作文のコピーを見つけたが母親は“性暴力が明るみに出たら家族の名誉が汚されることを恐れた”ために娘を助けなかったようだ。

少女は3年間にわたって9人の男たちにセックスを強要された。この男たちの中にンドラゲタ(カラブリアのマフィア、イタリアで最凶のマフィアと言われている)のボス、レミージョ・イアモンテの子供ジョバンニ・イアモンテもいた。男たちは犠牲者の少女のことを「活発過ぎる小娘、自分が招いたことだ」と説明した。現在、少女の両親も少女をほとんど見捨てていたらしいことが明らかになっている。

日刊紙Corriere della Seraの報道によると、 マッダレーナ(犠牲者の少女の仮名)の両親は少女にくわえられる性暴力をいつも知っていたようだが、“家族の名誉を守るため”に何もなかったふりをして少女に引っ越すように強いた。犯人グループの男たち7人の未成年者の取り調べで明らかになったことは、メリート・ポルト・サルヴォ(レッジョ・カラブリア州)で13歳の少女をレイプしたことである。

また同紙は、母親が、少女が自分と家族の問題を書いた作文のコピーを家で発見した後で、少女自ら苦しい真実を母親に話したとしている。この事件の特異性は、両親が事件に何一つ気付かなかったらしい事にある。

「全く守ってもらうことがなかった少女は独りぼっちだと感じていた」、予備尋問で判事はレイプ犯のグループを検挙するに至った調書にこう書いている。また両親自身が娘に“長く続く暴力に黙って耐える”ように“命令”していたようだと強調している。 13歳の少女の作文には、幼いころから耐えてきた悪夢が明白に書かれている。

「ある日、学校で国語の先生が私たちの人生のなかで両親が担った役割について話すという課題を与えたの… それで私はパパやママを守るために何も言わなかったんだけど、私はパパやママに怒っていたから、だってあの人たちは何にも気付いてくれなかったのよ。絶対寂しくならないようにして怒らないようにしていたけど… もし家でママのお手伝いをいっぱいしていたなら… 来る日も来る日も本当に全然気づいてくれなかった…だからこの事でパパやママにちょっと腹を立てていた、だって一体どうしたら自分たちの娘がつらい状況で問題を抱えて生きているのに完全に全く気づかないでいられるなんて…」

そこでマッダレーナは全部話した。「家に戻ると、ママが私を抱きしめてなんて素敵なことを書いたのと私に言い始めた。私はわっと泣き始めてママに起こったことを全部話したわ、全部ね…細かいところは省いて…」

だが、それにもかかわらず母親は警察に告発することは考えなかった。

理由?

「事実が明るみに出ることで家族の名誉に傷がつくと思い、そして街を出ようと思った」から。

少女が全幅の信頼を寄せていた従妹のキアーラも沈黙を守った。予審判事は「両親が事件を放置したことに対する怒りにたいする意趣返しの作文だったとはいえ、その結果として娘の成長に十分な関心をもたない上の空の両親の保護下に放置された上に連続する暴力を黙って耐えるように強要されてしまった」と書いた。

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