Accademia Italiana

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唐木 麻美 )

「復活祭と古代ローマのアッティス信仰」

 明日は復活祭です。日本では英語のイースターという言い方のほうに馴染みがある人も多いと思います。イタリア語ではPasquaと言いラテン語のPăscheaあるいはギリシア語のpáscha、ヘブライ語のpésahに語源があると言われています。ただしユダヤ教のPasquaは出エジプトを記念して祝われるのでキリスト教の復活祭とは意味が違います。とにかく今の時期は“簡単にできる復活祭のおもてなし料理”とか“ガソリンの値上がりは復活祭のお出かけを直撃”など各紙で特集が組まれるのです。今年注目したのはFanpage.itの記事です:

『古代ローマ人の復活祭とは ~アッティス信仰、死と再生の神~』

 古代ローマにあった無数の祝祭のなかで最も魅力的な祭りの一つは疑いもなくアッティスの謎めいた信仰である。アッティスとはキュベレ女神に愛された見目麗しい美青年だった。キュベレの愛に応えなかったためにアッティスは去勢されたが、彼の血から新たな命が生まれ、彼自身も再生した。古代ローマ人にとってアッティスの存在は再生の象徴で、あたかもキリスト教の復活祭に先立つ祝祭のようだ。  

古代ローマ人はキリスト教徒のように神を讃えるために復活祭を祝うことはなかった。とはいえ死と再生の循環と自然との聖なる絆を深く感じる文化において古代から死と再生の永遠に続く繰り返しは重要だった。ゆえに現在私たちが祝う復活祭を特徴付けるシンボル(卵やウサギ)の大部分が古代にその原型があるのである。だが全ては、伝説や謎めいた信仰、今では忘れられてしまった儀式に彩られた別の世界である。今この時期、私たちは復活祭を祝う、一方古代ローマ人たちはどんな神を祝ったのか?  

 古代ローマでかつてないほどの勢いで神秘宗教が広まった帝政期頃から見てみよう:帝国の領土が拡大したことでローマ人は小アジアに住む民族の習慣や衣装や象徴を吸収しながら彼らと接するようになった。例えば死と“復活”に関係するアッティスの古い信仰がある。デメテルとディオニソス信仰と共に、アッティスの神秘宗教は自然、人間の結びき、自然のサイクルの不思議な受胎能力に深く根を張っている。季節の変遷、新たな大地の豊饒性、春に花が咲くことは古代ローマ人にとって聖なる顕現として重要な意味を持っていた。 〈アッティスと応えなかったキュベレ女神の愛〉 紀元前7世紀ごろ中央アナトリア地方で生まれたアッティスの神話は幾つも種類がある(ローマにもたらされるのはおよそ500年後)。

 フリュギアの伝承によればアッティス神は河のニンフとゼウスの子アグディスティスとの間に生まれた。ある時、オリュンポスの神々は驚愕して両性具有のアグディスティスが神と同等の力を持つ子供を作ることを禁じるために彼を去勢した。ディオニソスが行ったこの去勢からザクロの木が生え、ニンフのナナがその実を食べて妊娠しアッティスを生んだと言われている。  

 母から放棄された美しいアッティスは羊飼いのもとで雌ヤギの乳を飲まされて成長した。アッティスの神話ではここでキュベレに愛されるようになる、キュベレ女神は謎めいていて恐ろしく、自然の破壊と創造という矛盾を象徴している。二人は恋に落ちて、この愛から息子が生まれる。王の娘としてあまりにも不名誉なことであるため、王はアッティスを生き埋めにして殺害しようとする。別ヴァージョンではキュベレ自身が報いられない愛が殺害とそれに続く愛の再生を引き起こす。アッティスを失血死させるために去勢する。

〈サングエム:死と復活の儀式〉 

 アッティス神話は幾通りも種類がありそれぞれ異なっているが、共通要素の一つはキュベレ信仰と常に結びついている以上に死と“復活”に関連付けられている彼の姿がある。少なくとも紀元後1世紀に神秘的な儀式とキリストの姿に関係した救済論と共にキリスト教がローマに普及した背後にアッティス信仰がある。私たちの復活祭にもっとも近く、かつ有名な祝祭は3月15日~28日に祝ったサングエムである。  サングエムにおいては、神の死と再生の再現は春の生命力と再生と同時に死を見る世界に関係している。アッティスを讃える祝祭は10日間以上続き厳密な儀式の暦に沿って行われた。初日は葦の茎の“祝福”を通じて葦の原に捨てられた子供のアッティスの再発見を記念して祝う。  

 その後の7日間は神の死を祝うために断食する、ローマの伝統でアッティス神の象徴だった松が切られて、キュベレ女神の祭壇の足元に置かれる。祝祭は正真正銘のサングエムで最高潮に達する、すなわち司祭の生贄が自らを傷つけて聖なる木から自身の血を振りまいて神の去勢を再現するのだ。3月25日に神は再生する、この時点で神の苦難を再現する儀式は命溢れる若い後継者に地位を譲る、最低でもバッカス祭りの乱痴気騒ぎもって春と再生を祝う。

                                 (訳ここまで)

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