コラム

「パンデミックはイタリアをどう変えたのか?」

karakimami

 日本では新型コロナ新規感染者が少なく推移しているので、我知らず気が緩みそうになります。ダメですね、しっかり注意しなければ。翻ってイタリア、14日の新規感染者は2万677人、死者120人と残念ながら増加傾向にあります。昨年の痛い経験を繰り返さないように政府のみならず社会全体で気を付けていますが、クリスマスを前に人出が増えるのは何とも抑えがたいところで政府はブースター接種を急いでいます。また政府としてはさしあたって戸外でのマスク着用義務化はしないようですね。意外とマスクをちゃんと着用している人が多いからでしょう。

 さて例年この時期になると一年を総括するようなレポートが出ます。Censisの第55回報告書によるとイタリア人のメンタリティーが負のスパイラルに嵌ってしまったかのようですね。レポートでも触れているようにGDPは急激に回復しているのですが、経済回復と生活感覚と乖離している様子も見て取れます。ここではFanpage.itの記事を見てみましょう。

 『以前より貧しく非合理的で否定的なイタリア』

-パンデミックは私達の国を変えてしまった-

 “非合理”という波が高く押し寄せる。理性は惰眠を貪り、魔術や呪術やシャーマニズムの世界に為す術もなく引き寄せられる。そこは現実をオカルト的に読み説く世界。5,9%(約300万人)のイタリア人にとって新型コロナは単純に存在しない。10,9%がワクチンは無用で効果ないと考えている。これがCensis(Centro Studi Investimenti Sociali社会経済研究所)がパンデミックの年の国内の社会的状況を調べた結果から浮かび上がった姿だ。

 非合理的なイタリア、これが新型コロナのパンデミック下にある2021年の国の姿だ。Censisによる国内の社会的状況を調査した55回目の報告書によると「賢明で理性的な多数派の傍らに非合理の高波が発生する。惰眠を貪る理性。現実をオカルト的に解釈する魔術や呪術やシャーマニズムの世界に逃避することに抗えない。5,9%のイタリア人にとって新型コロナは単純に存在しない。10,9%がワクチンは無用の長物で効果ないと見なす。31,4%は、ワクチンは実験薬でワクチンを受ける人は実験台のモルモットだと考えている。」

 こうした調査結果を“パンデミックに起因するゆがみ”と単純に捉えることは、簡単すぎる。実際レポートには「問題の根は社会経済的に根深い」ところにあり、その根ざすところは「怨恨から心霊至上主義」まで多岐にわたる。この社会現象は科学や医学から技術革新に至るまで理性的な話を拒絶しながら大きくなっている。報告書にはこう書かれている。

 「社会的投資のローリターン・サイクルに入っていることが原因である。これは悪循環を招く。経済的低成長は税収の低下に直結、公的負債が連鎖的に増大し、社会に不満が蔓延して合理的思考が社会全体から失われていく。理性的に生活できるにもかかわらず、非合理に走ることは内心の不満の顕れである。」

 イタリア人からすると、先の見通しが素晴らしく良いとは言い難い。81%の人が、若者は勉強に費やす努力や投資や熱意がないと考える。成功の保証がほとんどなく、ささやかな収入しか見込めないとあって、35,5%の人は学士号をとることに意味を見出せない。国の3分の2(66%以上)が過去より良い暮らしができていた。今年のGDPは跳ね上がるという予測があっても、過半数の人は過去の経済成長や生活の向上に結び付かないだろうと考えている。

 そうは言っても、報告書には2020年は200万世帯が絶対的貧困に暮らしていたこと、すなわち2010年当時貧困家庭が98万世帯だった頃と比較して104,8%増加したことに重点を置いて書かれている。貧困家庭の増加は北部においてより顕著で増加率は131,4%、貧困家庭全体の65%が暮らしている。

(訳ここまで)

 一般的に経済の回復を庶民が実感するのは時間が必要ですから、将来に悲観するイタリア人が“悲観したまま”ではないと思います。ただリーマンショック以降オカルトや魔法にハマる人が増えていたところに、今回の新型コロナ禍による経済不安がその増加傾向に拍車を掛けてしまっているかもしれません。近年、悪質な新興宗教による性的及び金銭的搾取事件が起きるなど、カルトやオカルト関係の事件が増えているのが気になります。

 今年のコラムの更新はこれで最後です。一年間どうもありがとうございました。

 皆様良いお年をお迎えください。

 Tanti Auguri a tutti! Vi auguro di trascorrere un felice e Buon 2021!

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