早いものでもう夏のセールの時期になりました。イタリアでは7月1日からシチリアを皮切りに3日からプーリア州とバジリカータ州を除く全国で始まります。一家族平均171€(約22,600円)、一人当たり74€(約9,800円)消費すると見込まれていますが、これは例年より40%少ない金額ということです。イタリア・ファッション連盟総長トルティは「セールがあっても新型コロナによる損害を取り返すことは難しいと思う」と述べているように厳しい見通しですね。またオンラインでもセールが始まりましたので、皆様くれぐれも詐欺にはお気を付けください。
7月1日から欧州では旅行に不可欠なグリーンパスが施行されました。このグリーンパス、当初は2回摂取済みの人のみに支給する予定だったのですが実際は1回の接種でも支給されます。グリーンパスは旅行だけではなく、コンサートやレストランに出かける時なども提示しなければならず、感染の心配なく安心して外出を楽しめるようになるので1年以上打撃を受け続けた娯楽産業や外食産業などが再出発する切り札になると見られています。とはいえ同日WHO発表によると欧州の新型コロナ感染者が2カ月ぶりに増加傾向にあります。警戒が続くデルタ株、イタリアはもちろん欧州でも8月末には蔓延する可能性があるとされていますが、中部アブルッツォ州で発生した少なくとも5件のクラスターはインド株の変異型によるものでした。イタリア政府は9月から3回目の接種を始めるということです。イタリア国内の昨日の感染者は881人、死者21人で減少が続いています。デルタ株への警戒が叫ばれる中、昨年と違ってかなり楽観的なのはワクチンのおかげで死者、重症者ともに少ないからです。
さて話変わってイタリアのワイン界に殴り込みをかけているのはクロアチアのプロセッコ(Prosek)、農業組合コルディレッティの記事を見てみましょう。
「クロアチアのプロセッコにイタリア産ピンチ!」
クロアチア産プロセッコはイタリア産ワインやプロセッコに脅威になる。イタリア産プロセッコの輸出量は世界最大だが、同時にもっとも多く偽物が作られている。伝統的プロセッコが承認されるための手続きを官報に掲載することをEU委員会にザグレブ当局が進めていることに関してコルディレッティの立場から見解を述べる。
この決定はアルゼンチンやオーストラリアで作られる偽物からプロセッコの名称を保護するための合意や交渉、また国際関係に置いてEUの立場が弱体化する危険がある。2021年第1四半期に世界への輸出が8%増加という快挙を成し遂げたプロセッコは、結果的に世界中でプロセッコ成功にあやかった“なんちゃってプロセッコ”が盛んに作られるようになった:Meer-secco, Kressecco, Semisecco, Consecco, Whitesecco, Crisecco(最後の二つはコルディレッティによって判明)など。コルディレッティの結論では、フェイクのイタリア産食品の世界市場の規模は1千億€で、イタリア産と銘打つ食品の3つに2つは国の生産や雇用に何ら寄与しないのである。
(訳ここまで)
確かにEUの官報に伝統的プロセッコが承認されるまでの手続きが公開されたら、悪用されることは火を見るより明らかですね。皮肉なことに新型コロナ前、イタリアは大変深刻な経済危機が続いていたので食費を切り詰めるため出処不明の怪しいフェイク食品に手を出すイタリア人が増えて問題になっていました。新型コロナでワイン以外にパスタなど食品の輸出は好調ですが、大人気が仇となり世界中で“なんちゃってイタリア産”を増やしてしまったと。ポスト・コロナもうすぐそこになのにイタリア国内の景気はどん底で政府はテコ入れに必死なのに、フェイク食品はイタリア経済に何一つ寄与しないのだからマジムカつく、ということですね。よく分かります。
読者の皆様、イタリア経済を救うためにも自分の健康を守るためにも由緒正しいイタリア産を買いましょう。
では