コラム

「マラリアと難民」

karakimami

2017年9月、イタリア北部のブレシアで4歳の女の子がマラリア脳炎で亡くなりました。歴史上最後にイタリアでマラリアが確認されたのは1950年代初頭だった(Whoによるイタリア国内のマラリア撲滅宣言は1970年)ので実に半世紀以上の時を経てイタリア国内で感染し合併症で亡くなったことになります。これはかなりの衝撃をイタリア国内にもたらしたと言えましょう。

もっともここ数十年内にイタリアでマラリアの感染報告が皆無だったわけではありません。このような場合の感染源は国外であり、全員マラリアが活発な地域を旅行した、あるいは滞在して感染しています。またマラリアが風土病の国や現在でも猛威を振るっている地域で生まれた感染者は増加しています。しかしながら今回の女児はイタリア国外に出たことはないため、現在感染源の特定に躍起になっています。

Corriere Della Sera紙は「汚染された注射器が感染源とするのが最も妥当な説明…」としています。 実はこれをきっかけに「難民の急増と共にイタリア国内では既に撲滅した病気が再度持ち込まれた」という意見を支持する人たちがいます。このような意見を表明する人たちはジャーナリストや複数の団体から人種差別主義者と非難されていますが、先日Il Tempo紙に興味深い記事が掲載されました。

『移民とマラリア』

マラリアに関する省庁からの通達がこれだ。タイトルは君たちジャーナリストや人権団体が付けてくれ、君たちは移民とマラリアに関して真実を述べたと言って私たちを脅している。そして誰が本当の差別主義者なのか判断してほしい。

これは2016年12月27日付の保健省からの「イタリア国内のマラリアの管理と予防」に関する通達である。書類には保健省の専門家が、マラリアが正確にどの程度私たちのもとに持ち込まれたのか、単にマラリアで死亡した女児の原因を究明した箇所のみならず、特に「これが移民のマラリア」と題された項目で正確にどの程度イタリアにマラリアが持ち込まれたのかという事から検察内でさらされている脅威についても言及している…          (訳ここまで)

この通達には熱帯地域及び亜熱帯地域がマラリア原虫の保存庫の役割をしている事、現代の旅行者や移民の急増に伴い世界中に原虫が運搬される事態が増加している事、近年ではギリシアで同様の問題が起こった事が書かれています。

同様なケースが今後増えていくのか?そして死亡した児童の感染源が特定できるのか?それにより今後事態が鎮静化するか、あるいは更に大きくなるか。どうなるのでしょうか、様子を見たいと思います。

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