日本人の女性がイタリア人男性の物腰や言動の優しさや明るさを好ましく見なすのは理解できます…
が、それが男性が女性を大事にしている証と判断することはやめたほうが良いでしょう。
とはいえイタリアの男性が料理を作ることに全く抵抗がない点に関しては間違いないと思われますが。
イタリアでは一般的に女性は現実的で有能な場合が多いです。国を問わず女性は物事に柔軟に対処できるため仕事でも家庭でも万能選手で頑張らなくてはいけないわけです。
『イタリア人女性、男女平等は幻想:『家族を支えているのは彼女たち』』
Censis(Centro Studi Investimenti Socialiイタリアの社会及び経済状況を調査・研究する中央研究所。1964年設立)の調査から:女性が家事に費やす時間は男性と比較して4倍になる。女性が家事をする時間、同じ時間を男性は自分のことに使う。
「女は男より多くの時間を鏡の前で過ごす」そういうステレオタイプなイメージは死んだ、数字は常に事実をはっきりさせる「イタリア人女性は男性より多く働き、報酬は少ない。家事労働の重圧は特に彼女たちの肩にかかり、自分のために使う時間だけでもその差は大きい。経済協力開発機構とCensisが共同で行った2つの調査で、男女平等に関してイタリアは欧州で最後尾に付けていることが明らかになった。
国立統計研究所の資料を基にCensisは平均的な1週間から25歳から64歳の男女がどのように1日を過ごすか算定した。それによると24時間の46%を自分のために使う、男女の差は0,2%で、この46%(約11時間)には睡眠時間も含まれる。残りの時間、女性の自由時間は1時間少なく、家事労働時間は4時間多く、仕事は約2時間少ない。主婦であっても女性は男性と比べて移動時間(子供や年老いた両親の送迎で使う車やその他の乗り物に乗る時間)がたった17分間少ないだけ。
経済協力開発機構は、イタリア人男性は家事では未だに非協力的で、パートナーに協力する時間は一日平均僅か100分のみ、と断言した。家事労働にかける時間がこれ以上少ない国はトルコ、ポルトガル、メキシコと女性解放には程遠い国ばかり。
「この数字に驚いてはいません、私たちがEU内部で10年前に設定した目標値から程遠いところにいる事は明らかですから」とMilano Bicocca大学の社会学の教員で大学の性差の文化研究所の学術責任者カルメン・レッカルディはコメントし、続けて「イタリアのように不十分な福祉で短期間に状況を変えるのは大変困難です。」
Censisの報告書で言及しているイタリア人の男女の賃金格差、すなわち私生活で女性の受け取る報酬は男性より19,6%少ないことにも驚かない。公務員でも女性の報酬額は男性の同僚と比較して3,7%少なく、すなわち国も格差を解消することを考えていない。レッカルディは
「性別による差別は悲惨だが、女性の仕事を金額評価すること以上に、女性が様々な事態に対処する優秀さは一つの資源になるでしょう。彼女たちの生活の時間配分はより完全で、もっと豊かなので、彼女たちは人を助ける仕事に指針を与えることができます。年配者ばかりの世界がやって来たとき、女性の専門家は有能な戦略家になるでしょう」と述べた。
だが、その間にもあちこち働きまわる女性はさらにパート・タイム仕事も男性よりより頻繁に引き受けなければならない。イタリアは欧州内でギリシア、キプロスに続いて3番目に“不本意のパート・タイム仕事”(60,3%)を女性にさせている国である。経済危機と共に、2016年では15歳~64歳の女性の就業率は48%で欧州では最後から2番目、イタリアより酷いのはギリシアだけだ。欧州で最も就業率が高いのはいつものようにスウェーデンで74,9%。イタリアの女性の失業率は欧州平均8,8%に対して12,6%、女性が専門職でキャリアを積むという可能性が不足していると感じていることに衝撃を受ける。
これには賛成できない、と言う声もある。「私の仕事は良いキャリアを積む展望を与えてくれる」被質問者の女性の53%がそのように答え、この場合もまたイタリア人女性は欧州で最も信用できない。つまり北と南の差があらゆるデータにあらわれているのだ。64,3%のボルツァーノ、続いてボローニャ、フィレンツェでは女性の就業率は最も高く、最低は22,5%のカルタニセッタ(シチリア)で幾つかの南部の数県に僅かに先立つのみ。とはいえ1991年から男性と比べて女性の学士号取得者の数は常に上回っている、最高は2011年の58,9%だった。
(訳ここまで)
記事の最後に南部の男女格差について触れられていますが、実際に男女差別の考え方が甚だしい所と貧困地域は重なっています。貧困から抜け出すためにも女性の学歴向上は大変重要なことです。女性の高学歴化が将来的にどのようにイタリア社会を変えるのか、特に貧困地域においてどのような変化を社会にもたらすのか、興味深いですね。