明るい話題が少ない昨今です。
イタリアの失業率は10,8%(前年比2,7%増)に達し2004年以降過去最高になりました。政府中央統計局(Istat, Istituto Centrale di Statistica)の発表では6月の失業者数は2,792,000人でした。2004年1月の失業率が過去最高でしたが、それを更新した形です。
15歳から24歳の若者の失業率は低下しています。この年代の失業率は10,1%で、失業者数は608,000人です。今年4月には3人に1人が職がないと言われていたのですが、数字の上でも状況が改善したことは喜ばしいことです。
また男性の失業率は前年比2,9%増、女性は前年比2,5%増です。
ところで以前からイタリアでは若者たちの失業は深刻な問題でした。
思うように職が見つからないのであれば、大学で勉強して将来のキャリアに役立てよう!ということで今も多くの若者が大学で学んでいます。
一般に大学の学費は日本より圧倒的に安いのですが、卒業するには大変な努力と勉学にいそしまなければなりません。ですから卒業(laurearsi 「大学を卒業する、学士号を取る」の意)が決まると本人も周囲もお祭り騒ぎでパーティーです。何年も真剣にたくさん勉強した後なので当然でしょう。
そのような大学ですが、ほぼ全ての公立の大学の学費が値上がりしそうです。国からの補助金が年々減少する中、存続のために学費の値上げに踏み切るようです。
実はこれ、前ベルルスコーニ政権でも検討されていました。ただし当時はジェルミーニ大臣と学校&大学が戦争状態だったため、さらなる不仲の種は蒔くのをやめようという思惑からお蔵入りになった改革案でした。
そして今、この改革は必要であり、また歓迎すべきものであるようです。
一家族のIsee*(Indicatore di Situazione Economica Equivalente)が年150,000ユーロを超える場合、学費は2倍になる可能性もあります。ただし最終案では家族のIseeが年間40,000ユーロ未満の場合は2016年まで免除されるという項目が入りました。
同案には学長の任期も定められています。これまで学長の任期は無期限でしたが、新規定では上限は6年と定められています。この規定が有効になるのは2013年からということですので、来年までに多くの学長がその任を離れることになるのでしょう。
さまざまな意味でのイタリアの改革は、もはや「待ったなし」の状態です。新聞には連日「改革」、「削減」の言葉が並び、かくして「特別扱い」も「聖域」もなくなりました。
* Indicatore di Situazione Economica Equivalente, 家族の主たる所得と給与水準から算出する。