Accademia Italiana

本格的に学びたい方のためのイタリア語教室。アカデミア イタリアーナ

RUBRICA イタリアに関する情報とコラムをお知らせします。 時々イタリアでないことも。

唐木 麻美 )

「イタリアを代表するデザート、Tiramisùティラミス」

イタリアを代表するデザートにティラミスがあります。イタリア語ではTiramisùと書きます。発音は最後のuの上部分にアクセント記号が付いていることから、語尾にアクセントを付けて発音します。したがって日本の一般的なティラミスの発音は不正確なのでイタリアで注文する際にはイタリア人に理解してもらえないことがあるかもしれません。ティラミス愛好家はイタリアに行く際には正しい発音を練習していくと良いでしょう。

さて、ダイエッターには全く評価されないであろうことは確実なこのデザート、その歴史とは…:

「ティラミスの起源は1960年代末に遡る。ヴェネト州の農家の伝統菓子sbatudinは卵の黄身に砂糖を入れて泡立てたもので、滋養豊かな食べ物として子供に与えられるデザートだった。 その当時、ロベルト・リングアノット(通称ローリ)が菓子職人として働いていたドイツは、バイエルンの伝統的デザート(ババロア)に代表されるように、スプーンで食べるデザートの故郷だった。

1970年、ローリはイタリアに戻りレストランBaccherie di Trevisoで働き始めた。まさにこのレストランの厨房でローリは幼少時の記憶を思い出しつつドイツでの経験を結び合わせて“Tiramesù”を生み出し、後に“Tiramisù”と標準イタリア語化された。 彼は直感的に卵と砂糖にマスカルポーネを加えて最高のクリームを作って新しく生み出したデザートに加えた。

数年後、ローリは再び外国に出稼ぎに出たが、故郷を懐かしむ気持ちからまもなくイタリアに戻った。帰国後Alle Beccherieの友人を訪ね、ここで仲間たちに熱狂的に迎え入れられた。挨拶の後、遠慮ない皮肉混じりの非難を受けた「なぜティラミスを生み出した?今や俺たちはしっかり働かないといけないんだ、客たちはお前のデザート以外注文しないからな」。 こうしてトレヴィーゾのレストランからティラミスはイタリア中に広がり、そして世界に普及した。最も有名で、高く評価されているデザートの一つとして。」

これが一般に流布しているティラミス創世記です。 ですがティラミスの起源を巡ってヴェネト州とフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州が険悪な雰囲気になっています。それは料理家のエッセイから始まりました…

「二人の料理家クララとジジ・パドヴァーニは2年間の研究後、ティラミスは1970年にトレヴィーゾで生まれたのではなくウーディネ、トルメッツォ、ゴリツィア(全てフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州)の田舎とピエリス・ディ・サン・カンツィアン間で生まれたことを確信した。記録に残る最初のレシピは1950年代、ピエリスのレストランAl Vetturinoのコック、マリオ・コソロがティラミスを生み出したと思われる。9年後の1959年、サン・カンツィアンのレストランAlbergo Romaの女性料理人ノルマ・ピエッリが、Tirimi sùあるいはTirami sùという名前のマスカルポーネ入りのクリームとコーヒー、ビスケットを交互に重ねるセミフレッドのデザートを創作した。」

それほど遠い昔ではありませんが、今となってはどこの誰が作り出したデザートなのかよくわからないが似たような嗜好のデザートがヴェネト州やフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州各地に昔から存在していたというのが真実かもしれません。誰かが(おそらくプロの料理人)がそこに新しい食材マスカルポーネを加えてさらに美味しく改良したのでしょう。

いずれにせよ、名前も判然としない料理人のデザートはこれからも世界中で愛されていくという名誉を与えられたのです。

ところでイタリア語で書くTiramisùはイタリア語の命令文“Tira mi su”(私を引き上げて)と読むことができます。つまり「私を引き上げて」=「(美味しさで)私を昇天させて」なんて穿った見方もできるわけで…

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