Accademia Italiana

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唐木 麻美 )

イタリアン・マフィアは食卓にも

マフィアといえば麻薬、人身売買、売春といったイメージです。一般の社会とは無縁の裏社会に潜むものと思っている人も多いのではないでしょうか?

先ごろの Il Tempo 紙の記事ではそのような安易な考えは改めた方が良いようです。

ダイニングテーブルに入り込むマフィア。 1,400万€(19億1,800万円相当)を手にする

Clan クラン(新興マフィアの一つ)が食料を仕切っている:牛乳から肉に至るまで粗悪品が出回っている可能性。

麻薬や資金洗浄、人身売買だけではない。マフィア企業は食品業界にも入り込んでいる。

「made in Italy」と銘打った最上級の食品に関しても同様であり、約1,400万€の利益がマフィアに流れ込む。犯罪組織がどのように枝分かれしているのか(しかもそれぞれに分かれた組織は今や強固になっている)を解明するためにコルディレッティ( Coldiretti 会員数150万人を誇るイタリア及び欧州農業組合)が不法食品の価格についての行った調査結果を、チェモッビオで先ごろ開催された農作物と食料品のインターナショナル・フォーラムで発表した。

・マフィアとモッツァレッラ(訳注参照のこと)

コルディレッティは 「犯罪組織は多くの縄張りで食品の流通や時には生産部門にも関係します。マフィアは牛乳、肉、モッツァレッラ、砂糖、ミネラル・ウォーター、パン、バター、果物、野菜の流通網に入り込んでいます。

恐喝や威嚇といった古典的手法を使う犯罪組織は特定の会社や一定の食品の販売を小売店に強要します。そして時には不況を利用して小売店を乗っ取る事もします。それだけではなく合法的な自由経済の市場や競争を破壊し誠実な企業を苦しめて、農産物加工の幅広い部門やそこから派生する様々な利益を得ています。

しかもイタリア製の商品やブランドのイメージを失墜させるマイナス効果を伴う、非常に憂慮する方法で商品の品質や安全性を危うくしています」と締めくくった。

国の景気後退状況を考慮すると全体としてそれに反する現象だが、これは組織犯罪が不況によって弱体化した経済の内部に素晴らしく肥沃な大地を見つけた、ということを意味している。

こういった現象をさらに追求するためにコルディレッティは Eurispes (1982年の設立以来イタリアの社会、経済、政治を調査する私的機関)とともに…(中略)『農業や農産物河口のシステムに寄生する犯罪を監視する』財団を立ち上げた。

(訳者注:モッツァレッラには伝統的に水牛の乳を用いる。後に Fior di latte と呼ばれる雌牛の乳も使われるようになった。現在でも法律で定められた雌牛の乳を使ったモッツァレッラは伝統的なモッツァレッラと区別するために mozzarella di latte vaccine と明記される。

作り方:ほかの糸状塊のチーズと同様に、かなりの高温下に置かれる。凝乳物を取り出して、一部の乳清を50度に温め、それを凝乳物に注ぐ。気温60度下でこの作業を15分毎に繰り返す。その後、酸性化させるために休ませる。凝乳物は〔糸状〕になり、言い換えれば細長くカットした状態になる。それを90度の水に入れる。この段階でチーズを好みの形にする。1㌔のモッツァレッラを作るためには10㍑の乳が必要。)

・偽者の『 BOCELLI ボチェッリ』

食卓汚染は犯罪組織ばかりが原因ではない。マフィアと結託していない多くの経営者は不況を理由に粗悪な食品や不純物を添加した農産物を食卓に届けている。

コルディレッティによれば、テナー歌手ボチェッリ銘柄の高級ワイン・スプマンテから、豚皮と一緒に豆を調理する伝統的な庶民料理に使われるパルマ産プロシュット(ハム)の豚皮に至るまで様々な例が挙げられる。 フォーラムが開かれたチェモッビオにおいても Nas ( Comando carabinieri per tutela della salute の略。保健及び食品の不正を取り締まる)のカラビニエーリがイタリアで押収された粗悪食品や偽造品の道具を展示する初めての展覧会を開催した。

コルディレッティ曰く、 食卓の不正行為は食品に応じて不純物を添加するコストの5~60倍の利益を得ることを可能にし、大事な付加価値である『 Made in Italy 』のブランドイメージを大きく損なう。ブルネッロ、キアンティ、スカンサーノ・ディ・モレッリーノのような最高級ワインから、クロロフィル(葉緑素)で薄めたオリーブオイルの架空の会社の商標を付けられた瓶詰めにいたるまでまるでエクストラ・ヴァージン・オイルのように大量に売りさばかれる。

偽の検印のおかげで発覚した偽パルマ産ハムと同様に外国から輸入された偽モッツァレッラ(いわゆる凝乳(レンニン効果)させるために化学物質を添加し半工場生産で作られたモッツァレッラ)を Nas のカラビニエーリが摘発した。 しかし不正行為は、繰り返し押収される『スマート・ドラッグ』のように偽造品販売を増大させるインターネットという新天地を開拓した。

・不正行為の記録的増大

不況に伴い食品関係の不正行為(粗悪品、偽造品、模造品)が激増したため、安全な飲食品の価格が277%上昇するという記録的な価格高騰をもたらした。

コルディレッティは Nas のカラビニエーリの活動を2008年から2014年まで分析調査した結果、以上のような結論に至った。 2014年の9ヶ月間で3億1,870万€相当(4,356億6,290万円相当)の製品や資産が押収された。特に言及されていることは、肉製品(29%)、パンやパスタの小麦粉(16%)、乳製品(12%)、魚類・水産製品(9%)、また店舗用の食品の伸びが著しい(16%)、このような店舗では節約のために低コストの食材を使うことが常態化し、しばしば隠れて不正行為や粗悪品が使われる。 2014年9月までにNas カラビニエーリは10人以上を逮捕した、一方1,310人は司法局、7,672人は行政当局で検挙された。

「不況下で低コストの食品が広まったことにより食品の偽装は複雑化し、購買力の低下で食費を切り詰めざるをえない人々を狙う大変悪質な犯罪」 とコルディレッティの会長ロベルト・モンカルヴォは断言し、特に「ボーダーラインを超えてしまうと健康を損なう恐れがある」と強調した。

捜査の結果「綿密な監視を継続すること、関連する法律を厳しくすること、原材料の産地を食品に明記することを義務付けることの必要性」を訴えてコメントを締めくくった。 ・健康が蝕まれる危険 食品の不正や偽装は増大は、消費者を危険に晒している。65%のイタリア人は不況によって食品の危険性が増したと見なしている。さらにコルディレッティの調査で

「イタリア人消費者の12%が偽装あるいは不正食品の被害にあったことが判明した。起訴内容から5人に1人のイタリア人が質の劣った材料を使うを使う、あるいは従来のものに代用できる製品を使うといった本来のレシピを変えた料理で低コストの食品を使っていることが分かる」さらに 「押収が増大している事態が裏付けているように、それは時に正真正銘の不正偽装を隠蔽することにつながります」また「イタリアとは異なった法規制の下で精算された外国からの輸入食品は21%にのぼりますが、原産地が食品に明記されていないなどスーパーの商品棚に陳列するにはふさわしくないこともあります。」とコルディレッティは訴えた。」

イタリアの食べ物は美味しい、今も昔もイタリアは美味しい国として知られています、そして現在ではイタリア製の食品は日本にも多く輸入されています。ただしイタリア国内で起きる食品不正や偽装を見抜くことは容易ではありません。一般的にあまりにも安価なものは注意した方が良いようです。「安物買いの銭失い」ならぬ「安物買いの健康失い」にはならないように…

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