Accademia Italiana

本格的に学びたい方のためのイタリア語教室。アカデミア イタリアーナ

RUBRICA イタリアに関する情報とコラムをお知らせします。 時々イタリアでないことも。

唐木 麻美 )

イタリアと経済と生活③ ‐若者と就職事情‐

 レンツィ首相が頑張っていますが、イタリアの経済の回復は依然弱いです。政府が進める削減に対して一部の政府関係者から「削減より雇用創出のために財政支出を増やすべき」との声もあり、「ギリシアより経済回復が遅れている」との不満もあります。

今年の2月末にはレプッブリカ紙の経済面に以下の見出しでこのような記事が掲載されました。

『失業率が1977年以来最高の13%に急上昇。15歳から64歳までの人口の2人に1人が無職。Istat(国立中央研究所) の発表によると2014年2月の失業率は統計を取り始めて以来最高の水準に達した。若者の無職率が減少した気配はなく、最近の12ヶ月間で4,2%になった。求職活動をしていない人は36%を占める。』

この記事によると失業率は上がり続け、レンツィ内閣にとって試練になっている、失業率は前年比1,1%増の13%でこの数字はキプロス共和国(14,7%~16,7%)やギリシア(26,3%~27,5%)よりマシですが最下位3番目に入る情けない有様だとしています。2014年度全体の失業率はおそらく12,5%になるでしょう。

さて就職活動中のイタリアの若者は67万8千人で、失業率は42,3%。この数値も前年比4,2%増です。EUの中でスペイン(25歳以下の若者の53,6%が無職)に続いて悪い水準です。

話は変わりますが、求職中のイタリアの若者を形容する際、良く使われる言葉をご存知ですか? 「最近の若者は choosy だからね…」なんて使われるのですが、今や英語出身のイタリア語として立派にイタリア語族の一員になった choosy、その意味するところは「小うるさくて( fastidioso )、選り好みが激しい( selettivo )」

さて、そんな不名誉な固定観念を押し付けられているイタリアの若年層ですが、長引く不況によって彼らはどのように変わったのでしょうか。前述の記事と同時期の記事を見てみましょう。

『イタリアの若者は choosy に仕事を選り好みする?4人に1人が道路清掃人や Pony Express の仕事をするという驚きの回答!

甘やかされて幼稚、選り好みが激しくて気難しい若者たち?モンティ政権当時の労働大臣エルサ・フォメロがこのように語り始めた。「2014年度のイタリアの若者の就業と不況」に関する Coldiretti (全欧農業機関)の調査から現代の若者のモンタージュ写真が浮かび上がった。それによると4人に1人(23%)が清掃員など(労働条件が悪い仕事)でも受け入れると答えた。また27%がコール・センターの仕事に従事する、36%がポニー・エキスプレス(アメリカの ポニー・エキスプレスではなく1985年創業のローマの同名の運送会社を指す。)の制服を喜んで着ると答えた。

若者の就職難は単なる失業率という数字の問題に留まらないとレンツィ首相は上院での施政方針演説で強調した(15歳から24歳の世代だけで見ても、全体の失業率の41%以上を占めている)。就業機会が不足している状況の背後には仕事を探していない人たちも存在するが、探しさえすれば様々なチャンスに恵まれる。

・30歳で両親と同居

現況では程遠いが経済的に独立することが目標。これが若者の失業率の高さと表裏一体の問題である。30代の半数は両親(51%)や祖父母、あるいは親戚(3%)から小遣いをもらって生活している、彼らは高齢になるまで両親を助けることを強いられている。34歳以下の世代に限ると両親や親戚の援助に頼る割合は79%に上る。

・10人のうち4人が就職活動を拒否

昨年の就職活動のデータでは平均して20通の履歴書を送ったが、44%は就職活動をしなかった。34歳までの年代では10人中8人が口利きで仕事を得た知り合いがいると答えている。  

・レンツィって誰?3人に1人が首相の名前を知らない

仕事の世界から遠く離れているのみならず政治にも疎い。ほぼ3人に1人(31%)が内閣総理大臣の名前を知らない。30%が下院議長を知らず、37%が上院議長の名前を知らない。アンケートに答えた人の5%はナポレターノ共和国大統領、あるいは法王の名前を知らなかった。新世代ではいまだにどちらが社会の主役か経済の主役か定まっていない。

・家にいるのはかまわない、でも何もしないでいるのはだめ

就職活動中、でもまだ両親と一緒。このような状況に驚いてはいけない。若者の75%は家族と同居し、家の中で役に立とうと努力している。76%が日用品の買出しを担当し、73%は料理担当、60%は修繕担当といった具合だ。しかし16%はベットを整えることすらしないどうしようもない役立たずもいる。

「家族は保護や必要な諸々のことを供給する限定的な社会の保護ネットになった。一般にイタリアの家族の構造は、とりわけ農業に携わる人たちの間で顕著に見られることだが、過去には限界を超えたとみなされてきた。しかし今では諸々の事実から多くの市民を不況で崩壊させないための支えになっていることが明らかになった」と Coldiretti のロベルト・モンカルヴォは回想している。』

日本でも良く言われることに「イタリア人の男性はマザコン」とか「結婚年齢が高い」など否定的イメージがあります。もちろん母と子の結びつきが固すぎて、嫁姑問題に悩む人は大勢います。ただ一方で思うように仕事が見つからずに、また見つかったとしても低賃金のため独立できないためやむを得ず両親と同居して、一生懸命気を使って家族の役に立とうと頑張る若者もたくさんいるのですね。

↑ ページトップへ