Accademia Italiana

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唐木 麻美 )

法王ベネディクト16世が退位された日

2013年2月28日は、Papa (「法王」の意)が生前に退位した日として人々の記憶に長くとどまるでしょう。

法王 Benedetto XVI (ベネディクト16世)の最後のツィート:

"Grazie per il vostro amore e il vostro sostegno" 「あなた方の愛と支持に感謝します」

そしてご自身のことを

"Dalle otto di questa sera inizia l'ultima tappa del mio pelligrinaggio sulla terra" 「今夜8時から、地上における私の巡礼の最後の行程が始まるのです」と位置づけられました。

公文書やカステル・ガンドルフォのバルコニーから行う儀式を除いて、法王が特別に口にされた言葉は何でしょうか?

いたってシンプルです、"Grazie" 「ありがとう」と。

他の何よりも大事にされた言葉でした。

 

さて、法王の地位を生前に退位するという決断は大変重く、今後の法王職の在り方を変えてしまうかもしれないということは周知の事実です。

この決断の背後に、学者肌だった法王にとってヴァチカン市国を統治することは大変な重荷だったのではないか、と市井ではさかんに囁かれています。また度重なるスキャンダルに疲れたのではないかとも言われています。

法王不在のヴァチカン市国では、Conclave (コンクラーヴェ、法王選出会議)で新しい法王が決まる間 camerlengo (カメルレンゴ、教皇代行の枢機卿)が法王の代理を務めます。今夜8時(イタリア時間)から空席になる法王代理として Tarcisio Bertone 枢機卿がカメルレンゴを務めます。

そして最長老の Angelo Sodano 枢機卿を筆頭に枢機卿の最初の総集会( Congregazione Generale )が3月4日朝9時半から催される予定です。

2月28日現在、ローマにお越しの枢機卿は144名、その内60名はローマ在住です。多くの枢機卿が80歳を超えています。

続く法王選出会議 Conclave コンクラーヴェ(ラテン語 "clausi" cum clave すなわちイタリア語の "chiuso" con la chiave 、日本語では「鍵をかけて(閉じ込める)」の意味、から派生した言葉 )があまりにも長期間に及ぶと病人続出の事態になるのではないか、と心配になります。

Conclave コンクラーヴェの語源が 「鍵をかけて(閉じ込める)」という言葉にあるのには理由があります。それは過去最長の法王選出会議(コンクラーベ)が催されたときです。

驚くべきことにそのコンクラーヴェは1268年から1271年9月まで続きました。

当時のコンクラーヴェはヨーロッパ各国の対立や政治に左右され、約3年間も法王を決められない状態だったのです。

コンクラーヴェが始まって1年半、法王の所在地であったヴィテルボの住民は長々続く会議に苦しみ、ついに Raniero Gatti という名の市民隊長に率いられ、枢機卿たちを力ずくで法王宮殿の広間に閉じ込めました。その際食べ物の差し入れはありましたが、一刻も早い決断を枢機卿たちに促すために最終的に屋根は取り払われました。

このような措置でコンクラーヴェは少し前進しましたが、結局次の法王 Gregorio X (グレゴリウス10世)が誕生するまであと15ヶ月間を要しました。

ちなみにグレゴリウス10世は、枢機卿出身ではなく Tedaldo Visconti (テダルド・ヴィスコンティ)というピアチェンツァの貴族出身です。彼は第2リヨン公会議でコンクラーヴェ制度を改正、十字軍派遣を決定し、また正教会との和解を決めたことで知られています。

 

では、今回退位されたベネディクト16世のときはどうだったか覚えていますか?

たった4回の投票で決まりました。

しかし最短記録は1939年の Pio XII (ピウス12世)のときです。

世界大戦という差し迫った状況の中24時間と3回の投票で選出されました。

次に催されるコンクラーヴェはどうなるでしょうか?

 

 

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