Accademia Italiana

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RUBRICA イタリアに関する情報とコラムをお知らせします。 時々イタリアでないことも。

唐木 麻美 )

「移民からユダヤ人まで、イタリア人が持つ固定観念と偏見」

先日、一見して肌の色が違う人たちに対する暴力犯罪がローマで一晩に2件起きました(ツィートで既報)。被害者はバングラデシュ系イタリア人とエジプト系の人で、いずれも十代の若者から集団で暴力を振るわれたという事件で、逮捕された犯人(18歳)のうち一人には殺意まであったということです。意外かもしれませんがイタリアでは宗教テロは今まで起きていません(詳細は「なぜイタリアは未だにテロの攻撃を受けないのか?」を参照)。でもだからと言って毎日難民が海から流入する事態に諸手を挙げて賛成しているのでもないのです。

イタリアを訪れる人は誰でもイタリア人の陽気で明るい面に魅了されるので、差別や偏見といった負のイメージは想像し難いでしょう。今回はそんな負の側面を定期的に行っている研究分析に関する記事(La Stampa紙)です。

『難民からユダヤ人までイタリア人が持つ固定観念と偏見』

イタリアでは難民に対して不寛容が多きくなっている。35%のイタリア人にとって難民は国が抱える問題ランキングで

1、 経済

2、 政治

3、 移民

に位置付けている。42%の人たちは難民が国内に多すぎると感じていて、5%のイタリア人だけが難民は経済のための資源だと表現している。

Centro di Documentazione Ebraica Contemporanea (CDEC)とIPSOS研究所が行った《難民からユダヤ人までイタリア人の固定観念と偏見》と題された研究でこの事が明らかになった。研究はミラノ公立大学が準備したイタリアにおける反ユダヤ主義の歴史に関するプロジェクトの一環として行われたものである(La Sapienza di Roma大学とジェノヴァ、ピサそれぞれの大学も参加)。

IPSOSの所長Nando Pagnoncelliの説明では「私たちは3万8千件のインタビューをして、そこからイタリアの酷く変わってしまった状況が浮かび上がったのです。今日では国民の相当数が反移民&不寛容な気持ちを少し持っています。EUでのイタリア人の信任は80%から30%に下落しました。大部分の人々は経済的な理由でやって来る移民ではなくて亡命者だけを受け入れられると信じています。」

2007年に実施したアンケートと比較して移民と多文化主義に対する国の反応を分析している、特にイタリア国内の反ユダヤ主義の度合いを人口、政治、宗教に分けて研究している。その結果、最近の10年間で反ユダヤ主義のデータは以前と変わっていないことが明らかになっている。

CDECの反ユダヤ主義の観測部門の責任者Betti Guettaの説明では“外国人憎悪と移民に対する不寛容性が高まっています、それは反ユダヤ主義への一つの跳躍と予想することは可能だと思います。10年間で世界はとても変化しました。当時と同じ質問への返答に私は悲観的な見方をしていました。それに反して結果はほぼ同じで、この事は私には良いデータだと思われます。いわゆる「便りのないのは良い便り」ですね。”

すなわちユダヤ世界に対する敵意は高まっていない:ユダヤ人に尊重するイタリア人最大グループ(41%)は非実践的カトリック教徒、反ユダヤ主義の主張に一切同調しない中立主義者から成っている。反対に反ユダヤ主義者は10%、このグループの教育程度は低く、特に南イタリア在住で移民に不寛容な人も多くいる。

記事中のインタビューの回答結果:

① 自分の国が衰退したと感じる

イタリア人 73%

スペイン人 69%

フランス人 67%

アメリカ人 60%

イギリス人 57%

スウェーデン人 53%

ドイツ人 47%

② 2つの異民族にとって2つの国を発展させる、何が一番良いと思いますか?

54%    一番良いのは二つの民族それぞれに二つの国

20%    一国内でパレスチナ人、イスラエル人双方が同等の権利を持つ

3%    イスラエル人が他の地域に出ていく

3%    パレスチナ人が他の地域に出ていく

20%    分からない

③ 一部のイタリア人は反ユダヤ主義すなわちユダヤ人への敵意があると主張している。あなたはこれをどう思いますか?  

41%    部分的にある

37%    誇張している

17%    本当ではない

5%    全て本当だ  

                            訳ここまで

記事中の研究機関はユダヤ系なのでユダヤ人にかんする質問が主になっています(半年ごとに実施)。記事中にもあるように外国人排斥の感情はユダヤ人へのヘイトに容易に移行しますし、“ヴェニスの商人”に見られる差別を根絶することは不可能ですが、現状ではイタリア人にとって移民はNo(亡命者はOK)、でもこれは反ユダヤ主義とは関係ないといったところでしょうか。今後どのように推移していくのか興味深いですね。

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