Accademia Italiana

本格的に学びたい方のためのイタリア語教室。アカデミア イタリアーナ

RUBRICA イタリアに関する情報とコラムをお知らせします。 時々イタリアでないことも。

唐木 麻美 )

「飢え死にしそうだったから万引きした、これは罪になる?」

昨年ジェノヴァのスーパーマーケットで外国人浮浪者が万引きをして捕まり、2015年12月の地方裁判所の判決は

「ジェノヴァの法廷は、ジェノヴァのスーパーマーケットで4,07€相当のフランクフルト・ソーセージ1袋とチーズ2袋を万引きした咎で告発されていた浮浪者Roman Ostriakovにたいして執行猶予付き6カ月の禁固刑を下した。また裁判官は第1等刑により100€の罰金も科した。」

これを不服として破棄院(日本の最高裁判所にあたる。控訴院の判決の破棄、差し戻しの権限をもつ裁判所)に控訴していました。

破棄院の判決はどうだったのでしょうか?

『判決の破棄、ホームレスが空腹のあまり盗む、これは罪にならない』

~空腹に耐えかねての窃盗を裁く~

「犯罪には当たらない行為」という理由で破棄院は“空腹に耐えかねて”少量の食料をスーパーマーケットで盗むことは罪に当たらないとしてジェノヴァ控訴裁判所が住所不定の外国人に科した窃盗罪を完全に破棄した。

この判決をもって最高裁は空腹のあまり犯した窃盗(4€のフランクフルト・ソーセージとチーズに相当する窃盗)を罪に問わないことは合法であるとした。

破棄院に上訴したのは、住所不定の外国人の若者Roman Ostriakovではない。 軽犯罪で裁くのではなく、1等や2等と定義されている罰則のみならず、他の客から言われて私服警備員が万引きに気付きRomanはスーパーマーケットを出る前に捕らえられていたことから故意の盗難としても罪に問うていたジェノヴァ控訴裁判所の検事総長が上訴したのである。

浮浪者Romanはレジでグリッシーニ1袋分だけを払い、ポケットに入れたソーセージ1袋とチーズ2袋分のお金は払わなかった。 空腹に耐えかねて少額の食料品を盗んだ先例が既にあり、裁判官の判決(刑法第5款18248番)がRomanの犯した罪に相応しいとは言えない。

最高裁の見解は、Romanが犯した盗難は飢えによる判断能力の低下による窃盗で故意ではないとした。最高裁の見解によると「被告の状態と商品の万引きに至った環境が、空腹に耐えかねて少量の食料を万引きした原因であることは明らかである。すなわち必要に駆られての行為である。」

こうして2015年12月に法廷で課された判決は猶予なしで破棄された。理由は「犯罪を構成しない事案であるから」。裁判官のグループはマウリツィオ・フーモが指揮し、報告担当評議員はフランチェスカ・モレッリが務めた。破棄院の検察庁もジェノヴァの“厳しい”判事が下した判決を猶予なしの破棄を求めていた。

                                         訳ここまで

この記事を読んだイタリア人の反応は、「責任を取らせることもなく、自営業者にツケを押しつけて、浮浪者を保護するのは良くないでしょ」、「こんなことが続いたら中小事業者は倒産してしまう」という意見もあれば「この判決が出た瞬間、自分たちの文明を誇らしく思った。アメリカでは食べ物を浮浪者にやるのだって罪になるのだから。」という一部意味不明のコメントもあり、他に「“罪に当たらない”としたところが間違っている。何を言っても盗みは罪。そのあとで必要に駆られての軽犯罪、罪を課さないと決める。でも犯罪ではある。盗難の罪がないとどうして言える?浮浪者が小売店に行って盗んだ、これは罪ではないのか?50€相当の物を盗んだら、それは罪になるのか、ならないのか?」とか「たった4€のために破棄院まで行くとは!この裁判にかかった費用はどのくらいだろう…?この国で何か変なことが進行している…」などがありました。

この最高裁の判決、今のイタリア(おそらくEU全体)の雰囲気を代弁しているような気が...

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