コラム

「母国語は大切に!」

karakimami

 去る4月9日は復活祭、イタリアでは肌寒い日でした。少し前までウイルス性気管支炎で入院していたフランシスコ教皇は無事退院して全信者を祝福&ミサを行いました。全信者に対する祝福を言うとき「Urbi et Orbi」と表現します。ラテン語で、「ローマと全世界のカトリック信者へ」という意味ですが、特定の布告や教皇の教書や祝福時に使われる表現です。

 ところで復活祭はキリスト教では重要な祝祭なので、当然ながら祝日。それを当て込んで旅行業界が一斉に活気に沸く様子は日本のGWに似ています。今年はイタリア人の半数以上が自宅で豪華な食事を楽しみ、皆が復活祭の豪華な食事に費やした総額は20億ユーロ(約2901億9900万円)と推定されています。もちろんレストランに行く人たちも多いですし、別荘に行く、親戚や友達を訪問する、田舎に行くなど小旅行に行く人たちもいました。こうしてイタリア人が動く中、イタリアを訪れる外国人もコロナ前の水準に戻りつつあります。ヴェネツィアは街全体がディズニー・ランドみたいでしたね。

 さて話は変わりますが3月31日に「イタリア語促進・保護」法案を作成中の代議員副議長ファビオ・ランペッリ(イタリア同胞党)が「違反者には5千ユーロ(約72万円)~10万ユーロ(約1450万円)程度の罰金を想定している」と明らかにした途端、批判の嵐になってしまいました。具体的に法案の中身が明らかになる前に批判が起きたことに対して党首であるメローニ首相は「まだ法案を具体的に見てもいないのに」と批判しましたが… 「外国由来の言葉は厳禁?」「えっ罰金?」など人々を突然不安に陥らせたその中身についてランペッリはコリエレ・デッラ・セーラのインタビューでこう説明しています。抜粋した記事(fanpage.it)を見てみましょう。

…「クロワッサン( croissant フランス語)やカクテル( cocktail 英語)と言っても問題ありません。人々の自由を縛る法律ではないのです。外国由来の言葉をイタリア語に置き換えたいのではありませんが、もし意味が同じ言葉がイタリア語にあるのならそれを使うべきだと、ただそれだけです。シンプルでしょう?」この法案の目的は、特に私的および公的機関でイタリア語を保護することにあると言う。法案の骨子は二つある。「一つは“国民は理解する権利がある”ということ、もし権利がないとすればそれは民主主義ではない。二つ目はどのような分野であれグローバル化プロセスは母国語にとって危険である、ということ」。最近数年間イタリアのアイデンティティとイタリア語の保護を訴えるランペッリは同僚でメイド・イン・イタリー省大臣アドルフォ・ウルソのことに配慮して「外国でイタリアの経済的利益を代表して外国語を使用するイタリア人は誰であれ制裁から除外する」と述べた。“メイド・イン・イタリー”とはメローニやウルソ自らが称する新省の名前だ。外国語を使ってはいけないというのに政府自ら新しい省に英語とは、実に理解に苦しむ法案だ。

(訳ここまで)

 この法案は年末までに議会に提出される予定です。法案の全貌が明らかになったとき、人々がどう反応するかとても興味深いです。なぜなら日本でも外国語由来のカタカナが氾濫していますからね。グローバル化が始まってある程度時間が経って、私たちは民族の独自性と母国語の保護を真剣に考える時がきているように思います。

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