現代の奇跡、聖母顕現!こう言われて信じる日本人はいないでしょう。もともと数少ないクリスチャンが減少の一途を辿る日本では絶対起こらないであろう奇跡ですが、ヴァチカンを擁するイタリアではあり得る…かもしれません。そんな奇跡についてイタリアで限定的に大きく話題になりました。事の真偽を巡ってカトリック教会が目下調査中の件の詳細はfanpage.itの4月13日の記事を一部要約して読んでみましょう。
「マドンナ・ディ・トレヴィニャーノの歴史:司教が語るジゼッラ・カルディアとの関係」
ジゼッラ・カルディア(53歳)は元事業家。2016年以来、血の涙を流す聖母像を所持し、聖痕を持ち、2016年以来トレヴィニャーノ・ロマーノで聖母を見ると語る。
聖母出現か?と見られる現象の始まりは2016年。ボスニア・ヘルツェゴビナ南部ヘルツェゴビナ・ネレトヴァ県メジュゴリェで件の元事業家女性が購入した小さな聖母像が復活祭の期間水や血の涙を流したというもの。現在教区委員会の調査結果待ち。
以下項目別に列記する
- ジゼッラ・カルディアという人物について
本名マリア・ジュセッパ・スカルプッラ53歳、元実業家。事業に失敗した後シチリアからラツィオ州のトレヴィニャーノ・ロマーノ市に居を移した。自身曰く、聖痕があり、食卓上でニョッキとウサギ肉を増やした(訳注:自宅に聖職者や子供を含む15人を招いたとき、彼らをもてなすには僅かな残り物しかなかったが、テーブルの上でニョッキとウサギ肉を増やすことができた、という本人談のこと)、聖霊の子供を妊娠した、2016年にメジェゴリェで購入した聖母像が血と水の涙を流すところを見て、さらに聖母からメッセージを得たという。
- 聖母像が流した血の涙の成分は?
「5 minuti」という番組でブルーノ・ヴェスパが行ったインタビューでジゼッラ・カルディアが明らかにしたところによると、2016年問題の聖母像は放射線コンピュータシステム(Ris)で解析されて、彼女と夫のDNAも取得した。調査が行われ、結果は教皇庁に保管されたが正式に公表されたことは一度もない。血の涙は、固さ、色、濃さから豚の血のようだというニュースをヴェスパが放送したというが、Fanpageの記者はこれに関して確証を得られず、カルディアは真実ではないと言った。
- 信者からの献金をもって逃亡中?
復活祭の日、Fanpageに複数の市民から「予言者(ジゼッラ・カルディアのこと)と夫がトロリーに乗って町を出るところを見た」「彼らは家を出て行った、どこに行ったかは知らない」との証言が寄せられた。最初に個人口座と非営利団体マドンナ・ディ・トレヴィニャーノの口座から預金を引き出した。マドンナ・ディ・トレヴィニャーノの口座には大在の信者からの献金が預金されていたが、確認できずどこにいったか分からない。カルディアの弁護士によると、カルディアは逃げたのではなくイタリアにいる、「攻撃されることにおびえて身を隠しています。問題ありません。たとえ復活祭の間遠出したといっても、大勢のイタリア人がやっていることと同じです。それが問題ですか?」と言う。
- 12万3千ユーロ(約1817万円)献金したルイジ・アヴェッラ
何年もジゼッラ・カルディアに最も身近にいた人達が様々な理由で離れていった。距離を置いた人たちの一部は、聖母像の血の涙と顕現を信じて非営利団体マドンナ・ディ・トレヴィニャーノに献金した。その一人がルイジ・アヴェッラだ。彼はいろいろなトランシェを経て6年間で12万3千ユーロを寄付した。そのうち3万ユーロ(約443万円)はカルディアの夫へ、残りは例の非営利団体に献金したのだが時と共に後悔している。Fanpageの取材に対して「彼ら二人からお金を要求されたことは一度もありません。それは本当です。でも僕は彼らがお金を必要としていることを知っていました」「聖母像が置かれている所(信者が集まって祈るところ)を整備する工事責任者に僕が指名されたことがきっかけで、何かおかしいと疑念を持ちました。つまり僕が困惑した点は、その場所は農業用に用途を限定されていると知っていたし、それ以外の用途には使えない場所だということも知っていたからです。それで騙されたと思って、彼らと距離を置いて関係を切りました」と言った。
- ニョッキとウサギ肉が増えた件
ジゼッラ・カルディア自身が語ったところでは、台所に少量の残り物しかなかったにもかかわらず15人の来客(子供や聖職者を含む)の腹を満たした。「お客は空腹でしたが夕食の予定はなかったのです。でも子供たちはそれぞれの母親に空腹を執拗に訴えました。それで私と友人は台所に行きました。私は彼女(友人)に「とりあえずこれ(少量のニョッキとウサギ肉がのった皿)を出そう」と言いました。食卓を準備して、食べ物を温めて、それぞれのお皿に盛りました。何が起こったか分かりませんが、ニョッキとウサギ肉は全員分あったので皆が食べることができました」
- 先に行われた教区委員会の調査について
チヴィタ・カステッラーナのマルコ・サルヴィ司教は、この問題を明らかにするために複数の専門家による予備調査の実施と、近いうちに最初の結果を公表することを告知した。聖母神学者1名、エクソシスト1名、心理学者1名、神学者1名、教会法学者1名から成る委員会が徹底した調査を進めている段階で、最初の調査結果が大いに待たれる。
(訳ここまで)
ちなみに4月19日のTGCOM24のニュースによると、大勢の信者が訪れる聖母像は違法建造物なので90日以内に聖母像と像を風雨から保護する覆いを撤去することをラツィオ州が命令したということです。雲隠れした自称・予言者カルディアはどうするのでしょうか?日本人から見ると明らかに詐欺案件ですが、もしかしたら本物の奇跡だったりして。調査結果をワクワクしながら待ちましょう。