コラム

「ベーシックインカム導入により変化?した国民意識について」

karakimami

 日本でも報道されているイタリアの全国的な旱魃、特に5州では緊急事態宣言が出されています。とりわけ事態が深刻な場所ではプールや洗車はもちろんのこと、美容院の洗髪も禁止です。違反者には高額な罰金が課される状況に、新型コロナ対策の規制違反者に罰金が課されていたことを思い出し既視感が… 新型コロナといえば24時間の感染者が8万人台で推移するようになって再び危機感に駆られた政府は仕事中のマスク着用が呼びかけていますが…強制ではないので効果のほどは未定ですね。

日本でも報道されたドロミーティでも最も標高が高いマルモラーダで7月4日に起きた雪崩の被害者はこれまで確認できただけで死者7名、重傷者2名、行方不明者13名ですが、今後も猛暑予報が出ているため氷塊の崩壊がさらに進む恐れがあるので行方不明者の捜索は行わないようです。アルプスの救助隊曰く「犠牲者の遺体は肉挽き器にかけられたような状態なので回収はできない」とか。悲劇的な事故にイタリア中がショックを受けていますが、雪崩の原因は「アフリカから繰り返し到来する季節外れの熱波による猛暑によりモルモラーダのセラック(搭状氷塊)が崩壊した」と専門家は指摘しています。またマルモラーダの氷塊、別名“ドロミーティの女王”は地球温暖化が原因で25年~30年で消えるという専門家の恐ろしい予測を今回の悲劇で皆痛感したことは確かでしょう。

ここからようやく本題へ。

7月4日のエミリア・ロマーニャのアンサ通信にこのような記事が載りました。

「月給1,300€(185,000円)で求人、応募者なくバール閉店へ」

店側によると「失業手当とベーシックインカムがあるのでちょっと小遣い稼ぎしたい人ばかり」だ。もちろん「人手不足により一時休業。あなたがバリスタだったら店は再開できる」とボローニャ中心街アルドロヴァンディ広場に位置するカフェ・テルツィに下げられた看板に付け加えてある。本紙の取材によると店主は随分前から求人している、労働条件は週40時間労働で月給1,300€だが応募者はいない。

こうして店は一か月前から閉店を余儀なくされた。中心街にあるもう一つのバールを維持するためだ。

「人がいない。求人に問い合わせすらない。求人を出して以来、一週間ほど前に面会の約束が一つだけあったが、結局その人は現れなかった。電話での問い合わせは何件かあったが、ほとんどが大昔に2か月バリスタの経験があるだけ。私たちは全国労働協約で第5レベルのバリスタとして正規労働をオファーしているのに。」と店主のエレーナ・テルツィは説明する。だが応募者は「週末は休みたい」あるいは「パート・タイムで働く」ことを要求するため、最終的にこの仕事に対する興味を失ってしまう。しかも「失業手当とベーシックインカムがあるから小遣い稼ぎに非正規で週5~6時間働きたい」という場合もままある。

イタリア労働総連盟(CGIL)は「バリスタはあまり魅力ない仕事だから…」と語る。

 「国家労働監督機関のデータによると、この仕事の70%が不法だ。不正な契約、労働時間や時間外労働に対して不正な報酬、労働条件も守られていない」、おそらくこうした事が原因でバリスタという仕事は敬遠されている。一般化するべきではないが、個々のケースは影響を受けることがあり得る」とエミリア・ロマーニャのFilcams CGILのパオロ・モンタルティ事務総長は言う。

 また続けて「人を見つけることの難しさを考慮していないとは言わない。だが一部の人が言うように“ベーシックインカムを失わないために(働かない)”という考え方が関係しているとは思わない。しかもパンデミックが終わって多くの人が“人によって必要とすることが違う”ことに気付いて自発的に仕事を辞めて別の人生を選択する。さらに忘れてはいけないのが飲食店の経営は特別に制限されて、そこで働く人は時短のために収入が減っている。」労働組合はこの件に関して「観光業の労働に関して常設検討会を開く事」と「質の高いサービスが求められる業界なので職業訓練に力を入れる事」「地域で協力して対応する事」を州に請願した。

(訳ここまで)

2019年4月から始まったイタリアのベーシックインカムを受給できる条件は「イタリア人、EU諸国民、長期滞在許可証を保持し最低10年間イタリア在住の非EU市民、で限界貧困レベル以下の人。一人780€/月(約109,000千円)、家族1,330€/月(約186,000円)」です。日本の生活保護に似ていますね。ベーシックインカムが始まって早3年、“生活保護貰ってパチンコ通い”的な人がイタリアでも増えているような気が…

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