コラム

「ドラギ首相アメリカ訪問&エリザベッタフランキの考え方は彼女の作る服とは正反対の時代遅れ?」

karakimami

 イタリアのドラギ首相は現在アメリカ訪問中。バイデン大統領と面談しウクライナへの援助やロシアへの制裁やロシアの天然ガス輸入禁止について話し合います。ドラギ首相のアメリカ訪問は今回が初めてで、イタリアの外交政策を支える大西洋主義とEUを同盟国であるアメリカに再確認する意味もあります。火曜日にG7首脳&ゼレンスキー大統領とヴァーチャル会議があり、その後バイデン大統領とさしで話すということですね。

 EUの多くの国と同じくイタリアはウクライナの避難民を受け入れて援助していますが、ディ・マイオ外務大臣(五つ星運動党)は「ウクライナと合法的に国を守るためのウクライナ軍を援助しなければならないと同時にイタリアは留まることなく平和へ尽力する。だがロシアの国土を攻撃するための武器を供与するということは考えられない」と述べています。また北部同盟のサルヴィーニ党首は今回のアメリカ訪問について「バイデンがもう少し穏やかな調子になることを願っている」。

 それに対してロシア支持を鮮明に表明した上院ペトロチェッリ外務委員会委員長はレプッブリカ紙のインタビューで「辞任しない。キーウの政府はナチ」と言いました。因みにペトロチェッリ議員(五つ星運動党)は去る4月24日の正教会の復活祭のあいさつで、

「Per domani buona festa della LiberaZione」(明日は解放の日、おめでとう)

とツィートして大騒動になりました。何が問題かというと…解放を意味するliberazioneを書くときに普通はzを大文字にしません。彼は敢えて皆が一目でわかるようにZを大文字で書くことでロシア支持を表明したのでした。これ以降辞任が取り沙汰されるようになりましたが、彼は一貫して否認しているのです。付け加えると、五つ星運動党の党首は前首相のコンテ氏で、彼もまたイタリアがウクライナに武器を供与することに反対しています。

 ドラギ首相は国民から安定して支持されていますが選挙で選ばれた人ではありません。連立与党の一つ、五つ星運動党がコレなのでイタリアはウクライナ支援に消極的になっていくのではないかと心配になりますね。

 話は変わってボローニャに本拠地があるプレタポルテのブランド、ELIZABETTA FRANCHIエリザベッタフランキの創業者兼デザイナーのエリザベッタ・フランキ氏がイル・フォリオ紙とPWC主催のイベントで「40歳以上の女性しか雇わない」と発言して物議を醸しています。一部から若い世代や男性への逆差別的に解釈されたこの発言ですがFanpage紙でのインタビューで詳しく説明したところ…

 (フランキ)「目下私のところでは働く人の80%は女性。ですから私の会社はもうすでにかなり“女性的”だと言えます。今まで女性より男性と対立した事の方がずっと多かったことについて良く考えました。男性とやりあうことは素敵ですが、全員を何が何でも葬り去らなくてはならないという事ではありません。それで、私はこう考えたのです「全く間抜けな話だわ、相手が女だったらこういう問題は少ないのに」とね。」

 もっとも女性は苦労してせっかく獲得したポストでも簡単に離職するというリスクが雇用側にあることは承知しています。そこで彼女が考えた解決策が40歳以上の女性を雇用する事だったわけですね。なぜならこの年代であれば、結婚や出産果ては離婚まで人生の目標?を実現してしまっているから。

 フランキの言葉では「現在私が雇用している女性たちは40代の“おばさん”ではありません。彼女たちは“大人になった女の子”。結婚が人生の目標であれば、彼女たちはもう目標を達成済みなわけです。子供を持たなければいけないというのであれば、それも成し遂げている。別居する必要があれば、もちろんそれも済んでいる。要するに私が彼女たちを雇うのは、全てをやり終わった後で、人生のターニングポイントを全て通過した人たちだから。彼女たちは落ち着いて、私と共に、私の傍らで24時間働いています。これが重要なのです。」

 さて、これに対して女性起業家協会は「エリザベッタ・フランキの考え方は時代遅れで競争心むき出しで攻撃的」とこき下ろしています。また「彼女の発言から社会経済全体で変えていかなければいけない非生産的な考え方が浮かび上がってきます。それは今やますます切迫したものになっていて、あらゆる世代の女性が社会に対して貢献しそれが認められるようになることと、(家族という狭い範囲を超えて)社会全体で配慮するという考え方に基づく地域医療や、社会的資本を拡大するように喫緊の課題なのです。」

 1968年生まれで現在53歳のデザイナーの考え方は確かに少し極端かもしれませんが、将来ではなく”今”の社会の中である意味とても現実的な解決策と言うこともできるのではないかと思いました。

ではまた

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