コラム

「イタリア史上初!陸上競技100m走優勝!&オリンピックと全然関係ない夏のバカンスについて」

karakimami

 陸上競技100m走でイタリア人のヤコブス選手が優勝し、また走高跳でもタンベーリ選手がバルシム選手と同記録で優勝したことで、同国のメディアも一気に興奮モードに入りました。オリンピックの歴史125年間で最終レースまで残った選手は今までいませんでした、ましてや優勝する選手何て!ということでイタリアの喜びと感激はひとしおです。

 …が、同時に同国では徐々に増えつつある新型コロナの感染者数に毎日ピリピリしています。一日の感染者数が1万人を超えてしまった日本と比べれば6千人程度なので今や逆転していますが、昨年の惨状を経験したせいかとても神経質になっているようです。またシチリアでは大旱魃が発生し(川がなくなってしまった!)大火事が起きたと思ったらアブルッツォ州ペスカーラでも大火事が発生し火の手は住宅地まで迫っています。今年は天候不順が関係しているのか火事が多いように思います。

 ところでマルセル・ヤコブス選手は実はアメリカのエル・パソ生まれです。1994年イタリア人の母とテキサス人の父の間に誕生しました。当時18歳と20歳という若いカップルは長続きせず、マルセルが生まれてわずか数日で父は韓国へ移住、1か月後母はロンバルディア州のデゼンツァーノ・デル・ガルダに移住したので彼はアメリカ生まれのイタリア育ち、残念ながら父とはほとんど関係がないようです。もとは高跳び選手で、2013年から同国のジュニア選手として活躍してきました。左の大腿四頭筋損傷で1年間休養を余儀なくされ、2016年のリオ・オリンピックは出場できませんでした。その後怪我から回復して「速く走る事」に転向し、今回見事大輪の花を咲かせて、女手一つで育て上げたお母さんも感激の涙を流しながらインタビューに答えていました。ここでちょっとプライベートを…彼はまだ26歳と若いのですがすでに3児の父なのです。19歳の時に前カノとの間に一人、現カノとの間に二人授かっているのです。晩婚が多いイタリアで家族作りも際立って早かったのでした。

 一方1992年生まれのジャンマルコ・タンベーリ選手のあだ名はHalf-shaveかGimbo、イタリアの高跳び選手で記録保持者マルコ・タンベーリ(現トレーナー)の息子です。2歳上の兄ジャンルーカもやり投げのジュニア部門記録保持者&俳優兼モデルです。スポーツ・エリート一家出身ですが2016年リオ・オリンピックは出発1か月前に左足首を損傷し涙を呑み、今回は怪我を乗り越えての栄光でした。ちなみにオリンピッック後に結婚を予定しているのですが、婚約者に何よりも最高のプレゼントになりましたね。

 さて、話はガラッと変わってバカンスのこと。イタリアではアグリツーリズム人気が続き、最近では単にゲストが農業体験をするのではなく労働力を提供する形態が増えました。ホストの農家もゲスト用の設備を整える、またゲストから提供される労働力を実戦力として必要とするなどゲストとホストの関係も年々変化してきました。昨年はコロナ禍で大打撃でしたが、コルディレッティの試算では今年の8月2080万人がバカンスに出かける(最低1日でも外出する)ということで、この数字は昨夏と比較して若干少ない(マイナス1%)そうです。昨夏は新型コロナが終息した(ように見えた)ので安心して夏の休暇に行く人も多かったのですね。今年はデルタ株の心配が重くのしかかっていることに加えて、EU域外へ行く場合10日間の検疫機関(イギリスは5日間)があるので、3人に1人は国内に留まるようです。

 自然と触れ合う以外に最近注目されているのが教会や修道院が経営する施設に滞在すること。週末旅行や長期休暇などを含めて昨年比60%増です。教会関係の施設は2000か所以上あり本来巡礼者を迎えるためのものですが、今は40代~50代のミドルエイジと大学生に人気があり、また信者以外の旅行者も受け入れています。静謐な雰囲気の中、決まった食事時間など生活上の様々な規則や活動は現代社会で疲弊した心を休める場として人気なのでしょう。例えば修道院での生活はこんな感じ:7時起床、8時黙想の後ミサ、朝食、掃除、菜園の世話、18時半黙祷、ミサ、夕食、22時には完全に就寝。これまでこのような生活はあまり知られていませんでしたが今や多くの人たちが興味を持っています。例えばネット生活とショッピングに明け暮れていた若い女性が規則的な僧院生活を4週間続けて生き方を見直した、など。プチ僧院生活は心理学的療法としても効果があるのです。心を癒す規則正しい生活はクラウディオ・バリオーニなどセレブでもハマる人が多く、特にジョージ・ルーカスは隠遁生活を送るためにウンブリア州の丘に建つ厳めしい修道院だった建物を買ってしまいました。

 以前のように気軽に旅行できるようになったら、「修道院に滞在して人生を見直す」旅行も良いかもしれません。

 では

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