コラム

「リモンチェッロの歴史とレシピ」

karakimami

 先日2月15日、コンテ内閣が終わりドラギ内閣が誕生しました。コンテさんは大学の元教員、政治家ではないので今後はフィレンツェ大学で教鞭をとることになりましたが、新内閣を支える民主党(PD)、五つ星政党(M5S)、LeU(Liberi e Uguali)の同盟に助力するということです。昨年の1月頃、コンテ内閣が予想外に長く続いているとメディアに書かれていたことが懐かしいです。新型コロナの対応でも国民からまずまずの評価を得ていただけに、今回の退陣劇は国民不在のリアリティーショーと盛んに揶揄されました。前内閣打倒に燃えたレンツィ元首相が率いる党Italia Viva(IV)は新内閣で得られたポストは1つでした。新内閣は左派かもしれないと言われていましたが、北部同盟のサルヴィーニ党首は新内閣に協力することになり、その結果左翼政党からは嫌われることに。これからどのような舵取りになるか、興味深いですね。

 さて、今回のテーマはリモンチェッロ。レモンの豊潤な香りにストレスも解消できて作り方も簡単、意外と知られていないリモンチェッロの誕生話も交えてご紹介しましょう。

「アマルフィの海岸地帯に伝わる麗しのリキュール、リモンチェッロ」

 リモンチェッロの誕生を巡って、美しいナポリ湾に結び付いた数多くの伝説があります。中でも最も信憑性がある話をここでご紹介しましょう。

「リモンチェッロは“青い島”と呼ばれるカプリ島で1900年代初めに誕生しました。島ではマリア・アントニア・ファラーチェという女性がレモンとオレンジが茂った庭を世話していました。第2次大戦後、彼女の孫がアクセル・ムンテの別荘のすぐ傍に工房兼バールを開きました。バールの名物は“おばあちゃんの古いレシピ”で作ったレモンのリキュール。1988年、子供のマッシモ・カナーレに代替わりしてリモンチェッロの小さな工房になり、商標登録されました」

 素敵な話ですが、舞台を変えた同じ話がソレントやアマルフィにあります。例えば海岸部を舞台にした話では、「1900年代初頭、ソレントの有力家族に招かれた名高い客人たちは伝統レシピで作ったリモンチェッロを飲まずに終わることはなかった」他にも朝早くから作業する農夫や漁師の飲物だったとか、修道院で修道士たちが祈りの合間に楽しむ飲物として作られた、など真偽のはっきりしない伝承や伝説が多くあり真実を確かめる術はありませんが、とにかくリモンチェッロは遥か昔から作られていて、レモン栽培と密接な関係があるのは確かでしょう。

 アマルフィの素朴な庶民の楽しみが、今ではワインに次ぐイタリアを代表する飲物として海を渡って売られていくようになりました。残念ながらワイン同様、偽物が売られている危険性が指摘されています。リモンチェッロの愛好家は注意しましょう。ではどこに注意をするか?使われているレモンがポイントですね。本物はソレント産のレモンが使われています。ソレントのレモンの形は卵型で、カンパーニア州ナポリ県マッサ・ルブレンセから同州同県ヴィーコ・エクエンセ間で栽培されているか、もしくはカプリ島で栽培されています。同地はIGP(indicazione geografica protettaいわゆる英語のGI:ある商品の品質や評価がその地理的原産地に由来する場合、その商品の原産地を特定する表示)で保護されています。EUでは一定の品質基準を満たした農産物や食品の産地をこの制度で保護しているのでIGPが付いたリモンチェッロを買いましょうね。

 買ったものより手作りを好む人は自家製リモンチェッロを作ってみましょう。市販品のリモンチェッロの甘さが苦手な人は甘さ控えめに作れば美味しいですよ。

(材料)有機レモン5個、純アルコール(alcol puroエタノール分96%)500㎖、砂糖600g、水750㎖

① たわしやスポンジでレモンをよく洗い、良く乾かしてからピーラーで皮をむく。

② 黄色い皮の部分だけを剥く、苦味が出て風味を損なうのでレモンの白いワタ部分はさける。

③ 皮を密閉容器(最低でも1ℓ用)に入れて純アルコールに浸ける。40日間、日が差さない涼しいところで寝かせる。

④ レモンと純アルコールが良く混ざるように毎日容器を揺する。所定の期間が過ぎたら茶こしで濾す。すぐに鍋に水と砂糖を入れて煮立たせて、砂糖が完全に解けるまでかき混ぜる。シロップが出来上がったら冷やして、レモンのリキュールと良く混ぜ合わせる。消毒した密閉容器に入れて日が当たらない涼しいところで最低30日間寝かす。

*ポイント① 皮むきはセラミックのナイフ(包丁)が良いという人もいる、レモンの皮のエッセンス・オイルの香りや栄養素などが失われないから。白いワタは避けるのが必須。*ポイント② 日差しや高温で風味が損なわれやすいので保存場所には注意が必要。アルコール分が高いので凍らないから冷凍庫で保存が理想的。

*ポイント③ 砂糖は400g~600g使う。好みで量を加減しても良い。

*ポイント④ レモンの皮を浸けて40日間寝かせる場合、あるいはシロップと混ぜて寝かせる場合の両方がある。 例:レモンの皮を浸けた純アルコールを1週間寝かし、シロップを加えた後30日間寝かせる

*ポイント⑤ レモンの皮、純アルコール、水の代わりにミルクと生クリームを6:4の割合で鍋に入れて煮立たせないように注意しながら砂糖を溶かして加えればクレーマ・ディ・リモンチェッロになる。食後酒に良い。

 リモンチェッロは自家製が美味しいので、家で作ってぜひ味わってくださいね。

参考までに: 

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