コラム

「子供は一人でおしまい~共和国誕生以来最低の出生率」

karakimami

 イタリアではロックダウン期間中にDV被害が急増した一方、カップルが長時間一緒にいるのだから年末はベビーラッシュが来るかも!と出生率の低下が止まらない状況が好転するかもしれないと期待した向きもありました…が、淡い期待は見事に打ち砕かれました。Repubblica紙のインタビューに答えた夫婦は「ポストコロナの不況で二人目は無理」と答えています。この夫婦には2歳の子供がいて、経済的な問題で二人目は諦めたということでした。

 実際イタリア人家族の多くが新型コロナより不況の方を心配しているという事はRcs Sfera MediagroupとForum Nazionale delle Associazione familiariの調査によっても明らかになっています。調査に協力したのは1,344家族で、調査結果からポストコロナの不況による倒産や業務縮小が最も心配され、続いて貧困層の増大や貧富の差が大きくなることを懸念しています。国が債務不履行になるのではないか、など社会的緊張が高まることも心配されています。また10家族中6家族が児童手当を望んでいます。先日議会で承認されたばかりの児童手当制度(Assegno unico universale)は妊娠7か月目から満21歳(子供の年齢)まで毎月80~240€(約1~3万円)支給される制度です。対象児童の年齢などでも支給額は変わるようですが、第3子以降支給額は多くなります。来年2021年から施行されますが、多くの家族はすぐにでも施行してほしいようですね。

 さて、今回注目したのは政府中央統計局発表の昨年度の人口動態です。ここで要約して翻訳した記事はIl sole 24 ore紙のものですが、他紙でも史上最低の出生率を大きく取り上げていました。イタリア在住の外国人の国籍や人数も書かれています。イタリアから出ていくイタリア人と、イタリア国籍を新たに取得する外国人、このままで行くと100年後のイタリア人は今とは全く違っているかもしれません。

『未来のないイタリア、共和国誕生以来最低の出生率』

 イタリアに来る外国人は減少(-8,6%)する一方、イタリア人の移民は増加(+8,1%) イタリアに未来はない-これが政府中央統計局(Istat)の2019年度人口統計を見た後の衝撃的な感想である。2019年人口統計によると、共和国開始以来最低の出生率、死者の微増、外国に移住したために戸籍喪失が増加している。 出生率の減少(-4,5%)は具体的に2018年の出生数と比較して1万9千人以上減少したことを意味する。2019年に戸籍に記された新生児は420,170人、同年外国に移住して戸籍を抹消されたイタリア人は182,15人で+16,1%だった。

〈人口は5年間で55万1千人減少〉

 2019年12月末日時点で同年年初と比べて約18万9千人減った、2015年から減少し続けている。

〈北部は低調〉

 2019年の人口分布は前年と比較して安定している。国内で最も人口密度が高い地域は北西部(人口の26,7%が集中している)、南部(23%)、中部(19,9%)、北東部(19,4%)と続き島嶼部(11,0%)が最後である。人口減少は北東部と北西部全体でみられる(前年比-0,06%、-0,03%)、一方全国平均を大きく超えて最も大きく減少している地域は島嶼部(-0,70%)と南部(-0,63%)。州別ではモリーゼ州の人口減少(-1,14%)が最も大きく、カラブリア州(-0,99%)、バシリカータ州(-0,97%)と続く。反対に人口が増加している地域はボルツァーノ(+0,30%)とトレント(+0,27%)で、州別ではロンバルディア州(+0,16%)とエミリア・ロマーニャ州(+0,09%)である。

〈イタリアに来る外国人は減少〉

 入国する外国人数も減少(-8,6%)する一方でイタリア人が他国に移住するケースは増加(+8,1%)。外国人は北部と中部に居住する傾向が強い。北西部在住の外国人は179万2105人、イタリア在住外国人の約3割(33,8%)にあたる。外国人4人に1人は北東部か中部在住で、南部(12,1%)や島嶼部(4,8%)では外国人居住率は低い。

〈イタリア在住外国人の国籍〉

 2019年末時点でイタリア在住外国人の国籍は194か国、住民1万人の中に約50か国の外国人が暮らしている計算になる。上位に位置する5か国は変わらず全体の半数を占めている: ① ルーマニア人(120万8千人) ② アルバニア人(44万1千人) ③ モロッコ人(43万2千人) ④ 中国人(30万5千人) ⑤ ウクライナ人(24万人)

 性別では男女ともに ① ルーマニア人 ② アルバニア人 ③ モロッコ人 が上位を占める。男性ではこれに続いて4番目に多いのが中国人、女性ではウクライナ人となる。2019年のイタリア国籍取得者は12万7千人だった。2015年から計算すると新・イタリア人は76万6千人で、同年間のイタリア国籍喪失者数を僅かに下回る。新イタリア人を除外するとイタリアの人口減少は160万ほどである。新国籍取得者は女性が多く(52,7%)、65,4%が北部在住である。

                            (訳ここまで)

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