コラム

「新型コロナウイルスで変わった事② 夏の休暇と祭り」

karakimami

 7月15日から欧州は日本を含む15か国(アルジェリア、オーストラリア、カナダ、ジョージア、日本、モンテネグロ、モロッコ、ニュージーランド、ルワンダ、セルビア、韓国、タイ、チュニジア、ウルグアイ、EUに互恵関係を保証することを条件に中国)に国境を開放します。ただしイタリアはシェンゲン協定以外の国(EU外の国)からの入国者には検疫を課すので大喜びで渡伊の計画を立てるのはやめた方が賢明です。劇的なパンデミックを経験したイタリアが国境開放に慎重になるのは自然なことですが、6月30日の感染者は142人、死者23人と順調に感染者・死者共に減少、また治癒者は1,052人と大幅に増加しているので社会全体の雰囲気は明るいです。

 「中国で2009年にパンデミックを起こしたH1N1インフルエンザウイルスに似た新型ウイルスがブタから見つかった」と疫病関係の報道を詳細に大きく報じる様子から以前と違ってパンデミックの危険性に社会全体が敏感になっている様子も窺えます。

 さて、ポストコロナで極端にダメになっている業種の一つが本屋です。新型コロナの影響でイタリアの書店の90%が減収、84%が従業員の給与など必要経費を払うことが困難な状況になっています。ネット販売に力を入れる事ができるのは全体の30%のみということです。

 今年は新型コロナが原因でイタリアではロックダウン、日本では自粛期間があり、気が付けば春を飛ばして夏になっていた人が多いのではないでしょうか。例年ならこの時期イタリア人が最も心待ちにする夏の休暇。今夏の最新モードは「家でゴロゴロ、出かけても遠出はなし、人気がないところが安心」ということで具体的にはキャンプなどに人気が集まっています。おうちバカンスに必須なのは家庭用ビニールプール、ビーチでは一人用エアマットが人気です。ロングラン人気を誇っていた農業体験型バカンスに行く予定のイタリア人は例年の半分以下で、農業体験型バカンスから得られる収入をかなり当てにしている農家は頭を抱えています。観光収入に多くを頼るイタリアとしては欧州からの旅行客に戻ってきてもらいたいと切実に願っています。とはいえ欧州以外の観光客は感染が怖いので手放しでウエルカムとはいかないようですね。

 夏のバカンスの話題以外にこの時期盛り上がるのは、そう、お祭りですね。イタリア内外で良く知られた祭りの一つはシエナのパリオです。Palio di Siena(シエナのパリオ)は中世起源の祭り(1200年代には既にシエナでホースレースが行われていた記録がある)で、シエナの各コントラーダ(中世都市の地区のこと、各コントラーダに名称がある)代表がカンポ広場を舞台にホースレースで競います。パリオは年2回行われ、7月2日のパリオはプロヴェンツァーノの聖母を祝うもの、8月16日のパリオは聖母被昇天祭を祝うものです。また「イタリア統一100周年」など特別な機会にも行われ、この場合Palio straordinarioと言います。

 伝統ある競馬の祭り“パリオ”ですが今年は新型コロナウイルスでそれぞれ8月22日と9月26日に延期になり、その後中止になりました。第2次世界大戦時に中止になって以来のことです。パリオ開催中のカンポ広場は身動きできないほど混むため、まさに3密の模範例状態になってしまいます。しかもレースは裸馬に跨って駆けるため、競馬場としては圧倒的に小さいカンポ広場でカーブを曲がり切れずに周囲の建物の壁に投げ出された騎手が激突する事故が毎回起こるほど危険な祭りでもあります。皆の安全を考慮すれば中止は仕方ないですね。来年無事に開催できることを祈っています。パリオほど話題にならない小さな祭りも同様に中止になっているのではないかと思います。

 神様も、聖母も、聖人も、人間も、つまらない夏になりそうです。

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