イタリアでは記録的な悪天候が続いています。南部や北部で複数の犠牲者が出ています。ローマでは結構な高さの樹も倒れてしまいましたし。
そして今やすっかり慣れてしまったヴェネツィアの浸水被害も今回は記録的で、サン・マルコ広場は大人の腰の高さにまで届くほど海面が上がってしまいました。広場沿いの店舗は海水が侵入しないようにバリケードでふさいでいたので映像で見る限り店舗被害はなさそうでしたが…
11月1日現在も広場はまだ浸水していますがかなり水は引いています。ヴェネツィアの運命が心配ですが長靴をはいた環境客が足首下ぐらいの高さの海水をちゃぷちゃぷしている様はちょっと楽しそうです。
今回は悪天候に刺激されて…という事は関係ありませんがレプッブリカ紙から世界遺産関係の記事をご紹介しましょう。
『ナポリ、チンクエ・テッレ、ヴェネツィアの運河…2100年には消えているかもしれない世界遺産』
気候の変化がイタリアの貴重な文化遺産を脅かしている、浸食や洪水で消滅するかもしれない。 エジプトの灯台、ローディの中世の街並、ギリシアのオリンピアのゼウス像、ヨルダンのペトラなど世界の素晴らしい文化遺産はその魅力が語られる一方で自然災害によって消滅する運命にある。気温の上昇を阻止するために2015年に55か国が調印したパリ協定を真剣に考えなければならないだろう。
ヴェネツィアの運河、中世の町ヴァル・ディ・ノート(シチリア)、チンクエ・テッレの文化的景観、フェッラーラの中世の路地などこれらのイタリアの文化遺産を脅かす存在は観光客ではなく気候変動である。実際イタリアの文化遺産13か所は世紀末には消滅する可能性があるとユネスコが表明している、海面上昇による洪水や海岸の浸食によって消えるかもしれないというのだ。危機に瀕している文化遺産:ヴィチェンツァ、ナポリ、フェッラーラ、ラヴェンナ、チンクエ・テッレ、、ジェノヴァ、ピサの旧市街、ポンペイの遺跡、アマルフィの海岸、シラクーサ、ヴェネツィア、パエストゥムの遺跡、ヴァル・ディ・ノートのバロックの町。
状況を伝えるにあたってネイチャーコミュニケーションズ誌に掲載された研究(キール大学Lena Renmann監修)を見てみよう。ユネスコに登録された地中海域16か国の海岸近くの世界遺産49か所を研究のために撮影した。これらのうちイタリアにある世界遺産がもっとも危険度が高い。クロアチア(6か所)、ギリシア(3か所)が続く。危機に瀕するイタリアの世界遺産の筆頭はヴェネツィア、研究報告が強調しているように防潮堤システムを使って海面上昇からの被害を防ぐことができるとユネスコのホームページに書かれている唯一の場所であるにもかかわらず、だ。防潮堤システムは街と運河を3mまでの海面上昇から守ると予想されるので、かつてモーゼがなしたように、危機は目に見えてなくなるだろう、と研究報告に記されている。
全体として、浸食危機にある海岸42地域がある一方で今後100年間で洪水に見舞われる可能性がある地中海に面する37地域がある。幾つかの地域はその両方の危機がある。キール大学の研究によれば、盆地の2か所(チュニジアのメディナとトルコのクサントス-レトーン遺跡)のみがこの危機を免れることができる可能性がある。研究報告は2100年には洪水危機が50%、浸食危機は13%上昇すると予想している。 ユネスコの世界遺産を守るために、キール大学の研究者はその場所や自然を損なわない人工遮蔽物の活用を助言している。例えば海の前面を遮蔽物で閉じて沿岸生態系を回復させるとか。現代版アトランティス神話の再現を防ぐために努力が必要だが、パリ協定を遵守し世界的に取り組まなければ意味がないと研究報告は結論付けた。
(訳ここまで)