コラム

「2018年イタリア総選挙と新選挙法について」

karakimami

4日に控えたイタリア総選挙、他党を圧倒する与党は生まれないとの見方が主流で選挙前から関心は選挙後の連立政権がどうなるか、という事です。マッタレッラ大統領が誰に(どの政党)に組閣を任せるのか、とりわけメディアを牛耳るベルルスコーニ元首相の言動はほぼ毎日マスコミを賑わせています。

それと同程度に騒がしいのが極右政党と反ファシズム派のかつてないほど暴力的になった衝突でしょう。2月22日にトリノで起きた事件は衝撃的で、現在のイタリアの姿を象徴しているのかもしれません。この日、トリノで極右政党Forza Nuova(フォルツァ・ヌォーヴァ、通称FN)の選挙関連イベントが2つ開かれていました。これに反対する反ファシズム派のデモ隊にいた公立小学校の教師が警官に対して「卑怯者ども、お前たちなんか死ぬべきだ、ファシストめ!」と叫んだのです。その後教師はトリノ検察により捜査され、州教育委員会は解雇を検討中ということでした。おそらく解雇されるだろうと伝えられています。ちなみに問題の教師は「後悔していない」とインタビューに答えました。政治の問題でこれほど感情的に相手を誹謗する事は、今のイタリア社会の変容ぶりをまざまざと見せつけられているようで衝撃的でした。

イタリア、特に南部は長い歴史の中でユダヤ教徒やムスリムなど異教徒に支配された時期があり、どの時代も概ね争いが少なく共存してきました。例えばシチリアやベネツィアはスペインと並んで、12世紀に文化的に優れていたムスリムから知識の伝搬を受けた最新知識の発信基地だったのです。このような知的伝搬がなければその後のルネッサンスは起こらなかったと言われているほどです。こうした歴史の効能か、イタリアにはいい加減だけど自分とは違う存在と共存する緩いところがあったのです。今後はどうなるか分かりませんが。

ところで今回の選挙は、結果はどうあれ新しい選挙法が施行される初めての選挙です。新選挙法はRosatellumと呼ばれ、実に半世紀間で12回目の新選挙法となります。新選挙法の説明はいろいろされていますが、ここではCorriere della Sera紙とRepubblica紙、rosatellum.infを参考にしました。

『Rosatellumとは』

イタリアの新しい選挙システムこと。民主党(PD)の党首Ettore Rosatoエットレ・ロザートが議会に提出した議案で、古代ローマ人が考案したものではない。Rosatoにラテン語の接尾辞“-um”を結合させた言葉でいわゆる造語。 この選挙法が議会で諮られたとき賛成したのは民主党(PD)、フォルツァ・イタリア(FI)、北部同盟、人民の選択肢で、五つ星運動(M5S)とその他左派政党は強く反対した。

比例代表制と多数決制の混合型。

1. 下院630議席の配分

  小選挙区は232議席(トレンティーノ・アルト・アディジェ自治州6議席、モリーゼ州2議席、バル・ダオスタ自治州1議席含む)

  単純小選挙区は386議席

  海外選挙区は12議席

2. 上院315議席の配分

  小選挙区は116議席(トレンティーノ・アルト・アディジェ自治州6議席、モリーゼ州1議席、バル・ダオスタ自治州1議席含む)   

  単純小選挙区は193議席

  海外選挙区は6議席

 

3月4日の選挙後、8日には組閣が終わります。イタリアは経済がアレでもEU議会の中では3番目の議席数を占めているのでイタリアの今後がEUの将来に大きく関わっていることは間違いありません。選挙結果&組閣について次回コラムで取り上げる予定です。

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