コラム

イタリア事件ファイル Cronaca nera ~N.02 マルコ・パンターニ事件再捜査へ~

karakimami

2014年8月2日、10年前の事件が再捜査されることが検察から発表されました。

その事件の概要を知るために当時の Il Tempo 紙の2004年2月15日の記事を見てみましょう。 「リミニ:そのニュースに聖ヴァレンタインの祝祭で浮かれるイタリアが凍りついた。

34歳のプロ・ロードレーサーの体はベットの脇で事切れていた。ベットテーブルには幾つかの薬の包装紙。現場に警察の科学捜査班が赴き作業中である。マルコ・パンターニは数日前から現場となったホテルに宿泊していた。

彼が一人で宿泊していたホテル「レ・ローゼ」はリミニの海岸沿い、レジーナ・エレーナ大通りにある。ホテル関係者によると彼は普通ではなく時折放心状態だったという。ホテルのフロントからの通報は9時半ごろだった。パンターニの姿が最後に見かけられたのは午後で、夜は階下におりてこなかった。

ホテルの人間が不審に思って部屋のドアをノックしたが応答はなかった。部屋は内部から施錠されていたのでドアを開けることに手間取ったが、ようやく部屋に入るとパンターニが仰向けに倒れていてすでに命はなかった。 服を脱ぎかけた遺体は部屋のベット脇に倒れていた。すぐ付近に走査線を張った警察は複数の薬の箱があったことを明らかにした。

最初の検証で暴力事件の可能性は除外され、何らかの体調不良が原因で死亡した可能性が高いと思われた。偶発的に起こったのか、あるいは複数の薬剤の作用が重なり合った結果なのか、それとも他の可能性があるのか?捜査官は自殺の線を除外していない。

死亡前数ヶ月間、マルコ・パンターニは深刻な欝に悩んでいた。彼が街を散歩することは滅多になく、ただ彼に話すことができることがせいぜいだった。苦労して成功した孤独な男、多くの非難と孤独で名声は下降線を辿り始めていた。

山の王マルコ・パンターニは皆から見捨てられて孤独に死んだ。現在、彼の出身地は大騒ぎになっている。 パンターニが国際的な成功を収めてまもなく家族と自身のために建てた大邸宅の大広間にはだれもいない。近隣住民の話では彼の両親はここ数日間ギリシアにいるということだ。

正面の道も無人で、熱狂的なファンたちでさえも昨夜起きたこと(死亡したこと)は知らなかったが、パンターニの最も身近な友人たちはすぐ事件を知った

「(パンターニは)偉大なチャンピオンだが制御することは難しいにんげんだった」とパンターニをよく理解していたメルカトーネ・ウーノのオーナー、ロマーノ・チェンニは言った。アマチュア時代からパンターニと友人のカルディローラ会長ピーノ・ブーダはチームに勝利をもたらしたいと夢見ていたパンターニの姿を回想し、「ロードレース界にとってJimenez の死に次ぐ第二の打撃だ」と語った。

聖バレンタインの土曜日の夜、チェセンナティコでさえもパンターニの死のニュースはゆっくり広まったいった。呆然とした熱狂的ファンたちがファンクラブ『マジコ・パンターニ』にぽつりぽつりと集まってきた。ファンクラブ会長ヴットリオ・サヴィーニは悲しみに暮れる中、一時も遺体のそばを離れず自責の言葉を口にした。

「問題があることは皆分かっていたのに、誰もこんな悲劇的な結末を迎えるとは思っていなかった。それで良心の呵責を感じる人達もいるだろう。彼が死ぬなんて、他の170人も死んだも同然だ。彼は中心人物だった。」

以上はパンターニ死亡の当日の記事ですが、その後の警察はパンターニは複数の薬を飲んで「服毒自殺した」と結論を出しました。 10年を経て、パンターニの家族の辛抱強い請願に応えたのか、警察は「自殺説」を再検証することになったのです。

「パンターニ事件が再捜査される見通し。「場所も遺体も風化した事件」、家族の請願を受け入れたリミニの検察が現在検討中の事件はこのように見られていた。パンターニは2004年2月14日自殺したのではない可能性がある。

チェセンナティコのホテルの部屋に別の人間がいたのかもしれない。リミニ検察はパンターニの死後10年を経て事件を再捜査することにした。

最新の仮説では「部屋にいたパンターニは殴られて、コカインを飲むように強制された」と Gazzetta dello sport が報じた。 「家族からの請願書を受け取り、捜査を再開したばかりです。これは再捜査の請願書が届いた際に採る一般的な措置です。書類に目を通し、調査の必要がある場合はGip ( Giudice per le indagine preliminary 予備捜査のための審問所)に諮ることになるでしょう。」検察官のパオロ・ジョバニョーリはコメントした。

パンターニの家族と法的代理人は「調査をして記録を提出」した。いずれにせよリミニの検察官は「当時の捜査記録を再検証する必要があり、今回の調査結果と比較検討しなければいけません」と述べ、「新しい請願には捜査官たちは携わっていません。担当の捜査官は未定です。」と付け加えた。」

息子の死の真相を懸命に追究してきたパンターニの母は、Facebook で息子のファンに再捜査のニュースを伝えた。

Nazionale azzurra di ciclismo のダヴィデ・カッサーニは家族にとって何があったのかを知ることは重要であり、彼のファンにとっても真実は大事なことだと話した。

遠くない将来、再捜査の結論が出た暁にはこのコラムにそれを加筆したいと思います。

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