Accademia Italiana

本格的に学びたい方のためのイタリア語教室。アカデミア イタリアーナ

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唐木 麻美 )

「新型コロナ第2波」

 フランスやスペインで新型コロナ第2波により感染者が急激に増えた時、イタリアでは24時間の感染者が1,000人程度で社会には余裕がありました。その後24時間の感染者が1,700人になり各メディアが警笛を鳴らし始め、あっと言う間に1万人を超えて10月30日の感染者はついに31,084人、死者199人になり、再ロックダウンの可能性が高まっています。来週発令されるという3回目の大統領令でそれについて言及されるでしょう。実際各紙では今やロックダウンの有無ではなく、「いつまで」「どこを」閉鎖するかが話題になっています。

 新型コロナに感染した難民がシチリアに漂着し、第2波の原因になったという市井の噂がありますが保健省によると原因と呼べるようなものではないということで、夏の休暇で欧州各国に行ってイタリアに帰国した人たちのほうが感染拡大の原因になった可能性があります。第2波が起きる前から既にウクライナやギリシアからの帰国者が空港で陽性反応を示す例が相次いだのですから。

 まだ1日の感染者が1,500人程度だった頃、専門家が「感染の大部分が家庭内感染だが、家庭内感染に注意している人はイタリア人の2割程度しかいない」とインタビューに答えていたのが個人的に印象深いです。感染者増加のスピードが春よりも早く感じられるのは検査を受ける人が多いから。面白い事にイタリアのメディアでは検査を多くすればするほど良いような言われ方をしています。余談ですが某紙では集団感染を目指すスウェーデンは「大失敗」とこき下ろされていました…

 欧州で感染が深刻な国の筆頭はフランスですが、実はベルギーが由々しき事態に陥っています。欧州の中でベルギーは小国で人口は1,149.2万人ですが、昨日の感染者は23,921人死者138人と国の規模に対して感染者、死者共に多く、病院では今や医師や看護婦が不足しているため新型コロナに感染有無にかかわらず現場に復帰させられていることがイタリアでも驚きをもって報じられました。

 現在イタリア全土でバール、ピッツェリア、レストランの営業は午後6時まで、夜間外出禁止令も出されています。これに抗議する業界関係者のデモがミラノ、ローマ、ナポリで始まり、ナポリではゲリラ戦のようになりました。その後他の地域にも飛び火してカターニアでは県庁舎にかんしゃく玉や爆竹が投げ込まれ一時騒然となり、またデモ隊には極右組織のメンバーが紛れ込み騒動を煽ったなどの報道もありました。欧州銀行は現在の欧州全体の状況を静観する構えですが、各国に復興基金を適時適切に使うように勧告しています。新型コロナ禍によって経営難に陥った飲食店がマフィアやカモッラ関係の闇金から融資を受ける事例が欧州全体で増加しているため、各国に復興基金を使って飲食店を下支えするように呼び掛けたのでしょう。いったんマフィアやカモッラから融資を受けると、そこを足掛かりに犯罪組織が広がり、将来的には新型コロナウイルスより厄介な事態になりかねませんしね。

 10月19日fanpage.it掲載の記事によると「新型コロナ禍でイタリアでは子供の貧困が100万以上」(セーブ・ザ・チルドレン)で「生徒8人に1人は家にPCがなく、5人に2人が勉強に適した環境に住んでいない」ということで、学業を途中で放棄してしまう子供の割合は最近5年間で全体の14~15%を行ったり来たりしています。春のロックダウン時もネット環境が満足に整っていない子供たちはどうするかが問題になりましたけれど、医療崩壊などより規模の大きい問題が噴出していつの間に消えてしまいました。9月に再開したばかりだというのにプーリア州ではすでに休校が始まり、他州の学校も休校になる可能性が高まっています。再び休校になったら学業をドロップアウトする子供たちがますます増えるかもしれません。その子供たちが大人になった時、社会はどう対応するのでしょうか。

 コルディレッティの調べによると、新型コロナによって外国で偽イタリア製食品が増えています。特に新型コロナによる打撃が深刻な地域-アメリカではイタリア製チーズの99%が偽物。モッツァレッラやリコッタ、ペコリーノ・ロマーノ、ゴルゴンゾーラなど良質なイタリア製チーズの名称が使われていようとも中身は全く関係ない代物です。コルディレッティの調査を読むと「本物にこだわり、美味しさ、上質さを追求する時代にあって、made in Italyのそれはむしろ劣化している」The Italian Timesの記事(10月1日付)が思い出されます。その記事では「イタリア料理を出すレストランでありながら、なぜか出される料理や飲物はイタリア産ではない、使われるトマトの産地は何処か分からず同じなのは色だけ…」、またサン・マルツァーノのワインは偽装されることが大変多いとか。モッツァレッラ・ディ・ブーファラも偽物が多い事で有名ですね。この記事ではサン・マルツァーノにあるレストランにも関わらず本物は口にできないと嘆いていますが、同様な例としてトスカーナのビステッカ・アッラ・フィオレンティーナやヴェネツィアのグランセオラ(カニ)が頭に浮かびます。とにかく…「現地で食す」といっても油断できないというわけです。

 -閑話休題-

 先日、ナポリのピッツェリアでベンガル人店員が“肌が浅黒い、新型コロナ感染者”と疑われてピザを突き返される事件がありました。店主は最初“ピザが熱すぎた”から返品されたと思ったそうですが、女性客がベンガル人店員の肌色で判断ことが分かり、店主は彼の肌色は全く関係なく、食品衛生も万全のベンガル人店員を恐れる必要は全くないことを女性客に説明したそうです。このエピソードは今のイタリア社会の気分を反映しているようですね。

 専門家によると新型コロナ感染第3波は来年1月とか。確かに、春の感染拡大がロックダウンによって静まり、夏期休暇で人々が欧州各地を移動して帰国後暫くして第2波が来ました。今後春のロックダウンに近い外出規制が約1か月続くと見られ、12月にはクリスマスです。クリスマスはキリスト教徒にとって最大の宗教イベントで、この商機を逃すことは政府としてはとてもできないでしょう。現在何とかして営業を続けている各業界もクリスマス市場が閉ざされたら…どうなるか。イタリア政府はその辺りを計算し、差し当たって今は厳しい行動規制をかけるように思います。そしてクリスマスが終わった1月に第3波が始まるかもしれませんね… 皆様、注意しましょう。

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