Accademia Italiana

本格的に学びたい方のためのイタリア語教室。アカデミア イタリアーナ

RUBRICA イタリアに関する情報とコラムをお知らせします。 時々イタリアでないことも。

唐木 麻美 )

「武漢ウイルス(新型コロナウイルス)と感染経路特定アプリImmui」

 2月20日にロンバルディア州ローディ県コドーニョで38歳男性が同市町村の救急病院に運ばれました。その男性が武漢ウイルス(新型コロナウイルス)に感染したイタリア人第1号で、翌日から医療現場は未曽有の戦場になりました。件の男性は中国から帰国した同僚との会食で感染したと言われています。コドーニョから始まった感染は北部から欧州各地に飛び、国内では南部に広がっていきました。感染拡大を阻止するために国民の移動を厳しく制限した措置が取られるようになって2か月が過ぎ、ようやく5月4日からイタリアは再始動に向けて段階的に規制を緩和する予定(イタリアのメディアではfase 2と言われる)です。感染爆発が再び起きないようにスーパーやレストラン、あるいは公共の乗り物などではソーシャルディスタンスやマスク着用を遵守することを前提とした規制緩和ですけれどね。

 ところでイタリアのメディアで「感染は津波のようだ」と表現されることがありますが、日本語由来のtunamiは東日本大震災の時と今回の武漢ウイルス禍で今やすっかり恐ろしいイメージを伴ってあっと言う間にイタリア語に定着した感じがします。

 -閑話休題-

 アメリカ国立アレルギー・感染症研究所所長アンソニー・ファウチ曰く「感染第二波は秋に来るだろうが私たちは準備万端に迎え撃つ。イタリアが打ち勝ったのだから、私たち(アメリカ)もこのままでは済まさない」と。イタリアの事情が念頭にあるのはファウチがイタリア系移民出身ということもあるのでしょう。現在イタリアでは一日の死者が400~500人前後で推移していますが、重症者が減る一方で治癒者が大幅に増えているので社会全体の雰囲気が明るくなってきていることを感じます。

 さて、そんな中イタリア政府は重要な決定をしました。感染者の移動を追跡できるアプリを個人のスマホにいれることを義務化したのです。Immuiというこのアプリ、どのように機能するのでしょうか。Il sole 24 ore紙の記事から見てみましょう。

『Immuiアプリが変わる。Googleとアップルの2種類にデータ分散。』

 コロナウイルスの感染経路を知るためのアプリImmui新バージョンが生活を変えるだろう。政府は導入を決定し、プライバシー保護に最大限配慮するためとGoogleとアップルからも求められたためデータは2社に分散して管理される。(中略)プライバシーは最大限保護されることとデータが安全であるという2つの理由からAppを個々人のスマホに入れることは義務である。状況を改善するためにいれるアプリなので、アプリ提供元の指示に従わない場合はアプリが想定通りに作用しない可能性がある。

1. 新バージョンのアプリはどのように機能するのか?

 アプリはスマホの中に匿名のIDを作る。Bluetoothを通じてコンタクトがあるたびに情報を交換し、各スマホはこうして得た匿名コードのリストを保存する。Immuiが活躍するのは医療管理者が新型コロナウイルスを見つけた時だ。感染者にスマホに保存されている匿名リストをサーバーにアップロードさせ、サーバーはアプリを入れている全スマホに匿名コードのリストを送る。送られてきたリストに自分のIDがあるとアプリが認識したらユーザーに知らせる、例えば“あなたはCovid-19感染者の近くに一定時間、感染可能な距離内にいた”など、そして今後するべきことを指示する(この部分に関して政府は検討中)

2. 現バージョンと大きく違う点

 現在までヨーロッパで広く使われている現バージョン(この分野では試験的なのだが)は中央集中型だが、新バージョンではデバイスではなくサーバーがコードを与える。感染者とコンタクトした匿名リストのデータと高確率で人物を特定できるヒントが同じところにあることを意味するため、プライバシー保護の観点から旧バージョンとの重要な違いである。(中略)

3. 新バージョンに変わるのはなぜ?

 国民の使用が義務化されたから。データが一か所に集中しないようにしてデータ活用を最小限にすることを確実にするために各方面の専門家から圧力があった。2020年4月8日に欧州議会の勧告とGarante della Privacyによって集められたデータは接触経路をたどるためだけに使われることになっている。

                                 (訳ここまで)

 上記の内容が発表されたのは4月22日で、それより少し前から義務化の話は出ていました。本当に役に立つのか、プライバシー保護の観点からの問題が話題になっています。集積したデータを多国籍企業が手にして大丈夫なのか、心配になりますけれどなぜかそこはあまり指摘されず。全面的に信用しているのでしょうかね…とにかく背に腹は代えられないので、感染症対策に有効であれば何でも活用する今のイタリアです。

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