Accademia Italiana

本格的に学びたい方のためのイタリア語教室。アカデミア イタリアーナ

RUBRICA イタリアに関する情報とコラムをお知らせします。 時々イタリアでないことも。

唐木 麻美 )

「武漢ウイルス(新型コロナウイルス)禍渦中のイタリア」

 武漢ウイルス禍に見舞われているイタリアです。3月24日の感染者数69,176人、回復した人数8,326人、死者数6,820人で、3日前より感染者数の増加は減少に転じていますが、死者は増えています。中国、キューバ、ロシアから医師団が助っ人でイタリアに駆けつけている状況で、とりわけ中国からマスクの寄付があったこともありイタリア政府の中国アゲは結構すごいものがあります、救世主扱いですね。ディ・マイオ副首相(五つ星政党)は「中国との友好関係に渋い顔をしていた人たちも、今や中国との友好関係が命を救っていることを認めなければならない」とコメントしています。でも…このウイルスはどこから来て、どこのせいでこんなに拡散したのか?思わず問いたくなりますね。

 今やイタリア国内の移動は厳しく制限され、違反者には最高3,000€(約36万円)の罰金が科されるほどで、まもなく復活祭が来ますがこのままだと家に閉じこもって迎えることになりそうですが、コンテ首相は「様子を見て決める」そうです。ちなみに復活祭はカトリックの年間行事のなかでも聖母被昇天祭、クリスマスと並ぶ大きな宗教行事なのでこのままだと経済的損失も非常に大きいのではないでしょうか。

 またローマでは医師84人が武漢ウイルスに感染するなど、主に高齢の医師が命を落とす数が増えています。医師や看護師の実習生を無試験で現場に投入し、退職した医療関係者に協力を頼むなどイタリアの病院はさながら野戦病院と化し、ナポリでは野外テントも臨時診療所として活用…とても寒いそうです。

 感染しても症状が出ない、あるいは症状が軽い若い世代は外出していますが基本的には家に閉じこもりのイタリア人たち、おしゃべりが大好きでも無理なので各自バルコニーに出て自然と歌を合唱する場面がイタリア中いたるところで見られます。こういう場で登場するのは今でもイタリア人に愛されている名曲「Nel blu dipinto di blu(Volare)」 です。この曲は1958年サンレモ音楽祭で初めて歌われ、以来イタリアを代表する曲になりました。様々なバージョンがありますが今最も有名なのはIl Voloが歌うバージョンでしょう。歌詞もシンプルで分かりやすいですね。スペインでは検疫期間で家に隔離されている子供たちを慰めようと警官隊のお兄さんたちがパトカー2台で颯爽と乗り付けてギター片手にノリノリで歌を披露して去っていく場面がTwitterで公開されています。

 実はスペインではイタリアを勝るスピードで武漢ウイルスの感染拡大が進んでいると言われています。先日スペイン軍は複数の老人ホームで高齢者が放置されているのを発見しました。高齢者の多くはベッドで既に死亡していたとのことで、現在警察による捜査が始まっています。スペインでは武漢ウイルスによる死亡者数が2,000人を超え(24時間で462人死亡)、感染が広がるスピードはイタリアより早く、またイタリアでは感染者の半数がロンバルディア州など3州に集中していますがスペインでは広範囲に広がっていることからイタリアよりひどい状況になるのではないかと懸念されているのです。

 イタリア人の生活は今や非常な忍耐を要するようになりました。メディアでは検疫生活を余儀なくされた人たちのために「肉や魚、野菜の冷凍保存方法」を特集し、女性誌では「屋内でできる事」あるいは「在宅ワーク(イタリア語ではsmart workingと言う)をしながら日々を上手に暮らす」などが特集されています。「Googleを活用して美術館巡り」など色々ありますが、要するに外で社交生活ができなくなって余った時間をどう活用するかが問題なわけですね。苦しくても家族が平和で穏やかに暮らせるのであれば良いですが、実はそうでもない事件が起きています。パドヴァで暮らすある夫婦が口論の末、夫がハンマーで妻を滅多打ちにするという恐ろしい事件が起きました。幸い近所の人が気づいて通報したので妻は顔面の裂傷と腕の骨折ですみました(夫は現行犯逮捕)。家にいなければいけない状況になったことで暴力に晒される女性のためにメディアではDVシェルターは常に開いているからあきらめないでほしいと呼びかけています。

 イタリアが第二の感染源になったことで欧州各地に急激に広まった武漢ウイルス禍、一日も早い収束と犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。

↑ ページトップへ