Accademia Italiana

本格的に学びたい方のためのイタリア語教室。アカデミア イタリアーナ

RUBRICA イタリアに関する情報とコラムをお知らせします。 時々イタリアでないことも。

唐木 麻美 )

「イタリアではどこでも犬同伴で楽しくお出かけできるようになる?」

 イタリアの女性向け週刊誌Donna Modernaは全世代が楽しく読むことができる(もちろん女性限定)雑誌です。ファッション誌でありながら全世代のライフスタイル全般をテーマにするところが読みやすいのですが、そこで以下のような記事を目にしました。  

 公共の場での犬の同伴可を大きく推進する議案が提出されたということで、愛犬家たちは大きな期待に胸を膨らませて事の成り行きを見守ることになったようです。とはいえこの議案が可決されたとしても、犬同伴可を義務付けるものではなさそうなので嫌犬家も安心できそうです。

 記事全体は長いので部分訳しました。また記事内に登場する口輪は日本では馴染みがないかもしれませんが、イタリアでは大型犬による死亡事故が毎年のように起きる(事故数は僅か)ので、その対策として特定大型犬種に口輪を義務付けている市もあります。私見ですが、このような痛ましい事故の犠牲者は幼い子供がほとんどで犬の責任というより周囲の大人がきちんと見ていなかった、あるいは犬の躾が不十分なことが窺われることが多いのですけれどね。でも直接的な責任は噛み殺してしまった犬にあるので、特定大型犬種は散歩時には口輪着用なんて絶対実行不可な条例ができてしまうことがあるのです。

閑話休題

さて、それでは記事を見て見ましょう。

『公共の場では犬をどうする?法律はどのように定義しているか』

議案ではペットは一般の人々に解放されている場所のどこにでも入る事が可能と提言している。現在では個々の店側が顧客の連れている犬(口輪とリードを着用)の入店の許可を決めている。 パドヴァの2議員が提案した議案ではペットが学校や教会も含めたあらゆる公共の場所に入る事ができるように提言している。

 では今のイタリアの法律はどうなっているのか?公共の場を管理する側が顧客の犬を受け入れるかどうか決めることができる、例外を除いて犬にリードを付けて口輪を持参することを条件に。だが特定の法律はない。この件に触れているのは1950年代に法制化された食品衛生法で、衛生環境と地方条例により地域によって異なっている。このように犬をレストランに連れていくことはイタリアでも可能だ。だがどこでも、いつでも良いというわけではない。店側の対応次第なのだ。ある店では顧客と一緒に来た犬の存在を喜んで受け入れて、水とクッキーを出してくれる。他の店ではペットの受け入れは拒否され、犬の横顔とともに「僕/私は入店できません」と書かれたカードやステッカーがウインドウに吊るされる。

 この議案は何を想定しているのか?どのように決めるのか?外食産業に関する新たな条例でイタリアは犬にやさしい国と言うことができるようになる?多くの“愛犬”家庭や、足が4本の連れと一緒に半島を旅する(彼らはしばしば母国で公共の場で犬に門戸が開かれていることに慣れている)旅行者に関する回答である。

① イタリアにいる犬は何匹? 

保健省が公表している公式資料によると、愛玩動物に記録されている犬は1167万9020匹で、野良犬、タトゥーやマイクロチップを埋め込んでいない犬は含まれていない。州別ではロンバルディア州が163万2802匹で一番多い、最低はヴァッレ・ダオスタ州で2万5033匹である。

② 犬の入店有無を決めるのは店側 

Fipe(Federazione Italiana Pubblici Esercizi イタリアの外食産業、娯楽産業、食品産業、観光業などを補佐する協会)とConfesercenti(イタリアの主要な起業家連合の一つ)具体的な見解は次のようである。犬の入店有無を決める権利は店側にある。Confcommercioの公共対応イタリア協会の総責任者ロベルト・カルーギは言う「実際のところイタリアではバールやレストラン経営者に犬や他の家畜の入店を義務づけるものは何もありません。つまり同伴動物をいついかなる時も受け入れることを強いるものは何もないのです。保健衛生も含めて安全面をきちんと配慮した上での犬の入店の有無は、専ら個々の店の意思と顧客との良好な関係次第です。」

 Confesercentiの法的責任者である弁護士ジュセッペ・デッラクイラも、規定や区分けがあるとはいえ同様の結論に達している「各共同体が公表している規定や一般的な規則に則って各店は各々が信じるように規則を作っている。」不測だが起こりうる損害、事故、侵害行為の法的責任は犬の所有者か犬を連れてきた人にある。居酒屋とピッツェリアの指針では少なくともこのようになっている。 

③ フィレンツェではリード付きで入店可

 パヴィア・エ・アンサルド法律事務所は犬に門戸を開放する模範例としてフィレンツェを挙げている。トスカーナ州の州都である同市では20年以上前から条例が施行されている。1999年に可決されたこの条例は、時代に合わせて適宜変更され、人間に同伴している犬はリードで繋がれていることと以下の事を守ることができればレストランなどの娯楽場、営業所、公共のオフィスのどこでも入る事ができる。犬を連れている人や犬の所有者は、汚さない、迷惑をかけない、損害をかけないことを守らなければならない。バールやレストラン経営者に複数の“選択肢”があり、それは最初に市長に提示されるが市の方針全体を拘束するものではない。犬が入る場所を限定する、あるいは犬の入店方法に制限を設けることはできるが、完全に禁止することはできない。反対の場合、市政は拒否権を発動し留保する…

                           (訳ここまで)

 記事中には、現在の法律が日本同様不十分な事や盲導犬の事、また犬が公共の場に出入りすることの条件としてまず第1に犬の躾を十分に行うことを書いています。記事中にあるフィレンツェ市の例は愛犬家にとって理想的、模範例ですがあくまでもフィレンツェ市にとどまっています。他所では店側の個別対応に任せられているので、愛犬家にとっての天国はまだ先ですね。

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