Accademia Italiana

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唐木 麻美 )

「コンテ政権の2019年通信簿」

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 今年のイタリアはどのような進路を取るのか、スキャンダルまみれの現イタリア政治を見つつ、そこはかとなくワクワクするところがありますね。まもなくエミリア・ロマーニャ州の州議会選挙が行われるのですが、その前に政治状況をおさらいしておきましょう。

 昨年末にCorriere Della Sera紙に第1次と第2次コンテ政権を評する記事が載りました。混乱に終始した2019年でしたが、それを総括するような記事なので概略をつかむのに適していると思います。

 『コンテ政権の2019年通信簿』

 昨夏2期目に突入したコンテ政権、向こう見ずに選ばれた首相が指揮する2019年は“すごく良い年”ではなかったけれど悪くもなかった。緊急措置と移民対策に関する対応は結構良かった。

① 良く練られたバランスシート

 首相が年末の定例記者会見で、トランプ大統領が“ジュセッピ”とコンテ首相を通称で呼んだことを話した時、ようやく合点がいった。トランプ大統領は発音をしくじったのではなく名詞ジョセッペ(コンテ首相の名前はジュセッペ)の複数形ジョセッピで首相を読んだのは、首相の二面性に敬意を表したからだ。実際コンテ首相は2019年史において2期目を務めた首相として記されるだけでなく二つの世界の首相とも記される男だ。何れにしても彼は極右と極左、反EU主義とEU主義という二つの真逆の政権の結果をまとめたイタリアのリーダーという名誉を受けることができる。またフラット・タックス、砂糖税、付加価値税を監視する様々な措置と撤廃した措置(2020年に再導入され第3次コンテ政権で撤廃されるかもしれない)も彼の功績と見ることができる。大胆に予想できなかったように、我々の首相は2019年が“とても良い年だった”とは言うことができないだろう。だが彼にとって悪い年ではなかった。五つ星政党で生まれた政権は後にディ・マイオ党首と袂を分かち、最近は民主党のツィンガレッティ党首を養子に迎え“あらゆる革新主義者につながる”政権と定義した。五つ星政党との関係が希薄化することで議会に五つ星政党の名のもとに任期が終わるまで死んだふりをする裏切り者グループができるとまで噂されている。かくしてイタリア政治の変遷と2019年のバランスシートという2つの性質を考慮すると、北部同盟との第1次コンテ政権7か月の結果と民主党との第2次コンテ政権4か月(9月から12月まで、8月は狂乱で終わった)のバランスシートは、なかなかのものだ。今後に注目しよう。

② 安保

 極右と極左政権で力点を置くか置かないかで対立する唯一の点だろう。実際やってくる移民の数は激減し、前年の半分で2017年と比較すると9割減だ。サルヴィーニ(北部同盟の党首)が内務省で放った怒りが広がったことを否定することはできない。彼の扉を閉ざす政治は、悪意に満ちて国や個人を分断しただけでなく教会にまで不和が広がった(教会全体ではないが)。数の戦略とEUがそっぽを向かないように時々圧力をかけた。第2次コンテ政権は閉ざした扉をほんの少し開いたが、不法な移民を受け入れて政敵に政権を終わらせる武器を渡さないために以前と同じではない。さらに法執行機関と消防士たちの予算を充実させた。

③ 経済

 国内総生産を見ると、2政権間で大差ない、常に0コンマ…だ。収税の圧力なしに付加価値税が上がることはなくなった。サルヴィーニが公約全てを実現できないと分かった時に狂乱と共に逃げ出した険しい試練だった。およそ230億€の税金を禁止し、3つの税収の軛を破壊したとはいえ現政権は朝令暮改の政治に明け暮れている。何れにせよ第2次コンテ政権はスプレッドを鎮めるために十分以上にもちろん機能する。首相の二面性が生んだ新多数派は、イタリア人に多少の恩恵を施したベーシックインカムとクォータ100(62歳以上で最低38年間掛金を払った私企業の従業員が前倒しで年金を得られるシステム、26/2019法)の見直しはしないが、このような方策がイタリアの経済に効果があったとは見ていない。フィオーラモンティが辞任するきっかけになった学校関係の財政を見直されるだろう。結局のところ、内閣改造を経てコンテは乗り気ではない。

④ EU関係

 ブリュッセルとの関係は現政権の方がもちろん良い、カッコ付きで。EUとうまくやって行くのが常にイタリアの利益ではないからだ、もちろんEUと仲たがいするのはイタリアの国益(歴史、地理、政治、経済の点で)に反することは常に変わらないが…(中略)

⑤ 外交

 両政権のみならず実際には以前の政権からイタリアはリビアを失いつつある。周とトランプが支配する新世界でイタリアは第1次と2次政権両方で不敬の道を辿っているようだ。第2次政権では言い間違いは少ない(マドゥーロ事件は不滅だ)

⑥ 安定性

 今後の分別を待たずとも、日常のスキャンダルを追う人にとっては信じがたいことだが、この政権は前政権より安定していることに賭けてもいい。たぶんスキャンダルに一層晒されているから、特に五つ星政党の衰えに起因するキャンダルに。五つ星政党議員の議員数は3分の1になり今や秋の葉のように議員が次々と離党している。フィオーラモンティのケースは最後に過ぎない。 だが政府から政府を支えるプランを伴って大臣が出て行く事態は支配的な防衛本能以上のことを物語る。4政党からなる多数派は共通して強い共生本能(選挙が怖い)と次の首相を選出することができるという共通の戦略見通しを持っている。しばらく前から政治システムの混乱と時期を同じくして大統領官邸は(戸や窓の上の)上枠と化した:下宿人を選ぶことができるということは政治力学の根本だから。(中略)二極対立が第2次コンテ政権で生まれつつある。2018年に大敗した唯一の政党である民主党は連立内閣に居場所を見つけた。依然としてとても弱いが新しい中心点だ、なぜならディ・マイオとレンツィで両脇を固めていて両者とも弱い。とにかく2019年度のオスカーは北部同盟に、第1次コンテ政権を後味悪く出て行った後も最も支持される政党であり続けている。メローニとベルルスコーニの中道右派はサルヴィーニの政治的あこがれではもちろんないが、右や左というカテゴリーを超えることに異論はなく、迅速に投票すれば選挙で勝つことを保証する。政治的安定の鍵はエミリア・ロマーニャ州の選挙民が握っている。政府に決定的な一打を与えるか、あるいは2020年も政府を支えるのか、決められるのは今のところ彼らだけのようだ。                  

                               (訳ここまで)

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