コラム

「歴史と伝統を守るためのヴェネツィアの試み」

karakimami

 近年ヴェネツィアは大型クルーズ船が寄港するようになった(現在は規制されている)こともあり本当に観光客が増えました。広く知られているようにヴェネツィアは干潟や小島などを中心に長く太い杭を隙間なく並べた人口地面を作り、その上に作られた街です。ヴェネツィアが沈んでいるのはその土台が腐って地盤沈下が起きていることや地球規模の海面上昇のためです。ところでヴェネツィアの夏は臭いことでも有名で、これは網の目のように張り巡らされた運河を流れる海流の管理が十分ではないことと、近代化した際の下水道設備が不十分なことが原因として考えられます。ヴェネツィアを守るためには莫大な費用をかけて地盤沈下を食い止めると同時に海面上昇に対処するために景観を犠牲してヴェネツィア湾を壁で囲い湾に入り込む水量を調節するなどの案がありますが、いずれも机上の空論というか、ヴェネツィアを守る案を選択し具体的に実施されるのはいつなのか、皆目見当もつきません。

 それはさておき、古都ヴェネツィアの品格を守るための決議がヴェネツィア市議会で決議されました。個人的にヴェネツィア以外にイタリア各地でこのような動きが広まることはイタリアのイメージを守るために重要だと感じています。また観光客が増加中の日本でもこのような決議を参考にし取り入れたほうが良いと思います。

『ヴェネツィアのリアルト橋とサン・マルコ広場のショーウインドウが飾るのは

伝統文化の物だけ』

 ヴェネト州の厳しい審査を通ると見られる決議によりショーウインドウに低価格ファッションや“中国製”の安い土産物を飾ることは禁止される。ショップを開店しようとする人は“本物のヴェネツィア・クオリティ”を無くさないように街の文化的価値を守らなければならないだろう。

 ショーウインドウに悪趣味な土産物や安物のガラクタはいらない。サン・マルコ広場とリアルト橋にある店は街の文化遺産を保護する方針を守ることが義務付けられるだろう。ラグーナの市議会は“サン・マルコ広場とリアルト橋一帯の文化的価値を保護する必要性と商業活動を規定する”決議を満場一致で可決した。

 新しい対策は、地方政府議会で数か月前に可決されたヴェネツィアの文化芸術財の保護するための議決に加えられる。今回の議決は環境保護と現在に受け継がれる古都の歴史文化と、古都の本物の独自性を損なう危険性と爆発的に増える観光客を監視する必要性を考慮したものである。同時に、法令文には公的福祉、市民社会、都市の品格、都市の歴史的景観、街のイメージ及び歴史建造物の独自性を保護する、など多様な分野で進む悪化に対する全体的な対策に貢献することを目的とすることが明記されている。

 この決定はリアルト橋とサン・マルコ広場のショーウインドウで飾ることが可能な商品を種類別に正確に規定し、今後3年間有効である。対象地域はサン・マルコ広場、サン・マルコ小広場、レオンチーニ小広場、リアルト橋上の店舗、リアルト橋周辺地区(ruga dei Oresi, sotoportego dei Oresi, sotoportego de Rialto, campo San Giacomo di Rialto, Naranzeria, Erbaria)である。 対象は2分野で種類別に分けられる:ハイエンドの高級衣料品の製造及び販売、書店、アート・ギャラリー、アンティーク・ギャラリー、インテリア装飾、デザイン、高級商品の製造及び販売、ハイエンドの高級時計の製造、芸術品の修復と販売、骨とう品、古貨幣と切手、手工芸品、特産品、歴史と伝統を伝える工芸品。

                 (ラ・レプッブリカ紙、訳ここまで)  

 ヴェネツィアはイタリア半島で最後まで残った都市国家で、ナポレオンのイタリア遠征でその命運は尽きました。長い歴史のなかで東洋との交易で繁栄し、交易が廃れた後には歓楽の都として名を馳せた歴史ある街の伝統や品格を守るためにこのような取り組みが実際に守られず徒労に終わらないことを願わずにはおれません。

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