Accademia Italiana

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唐木 麻美 )

「北部同盟とロシア」

 第2次コンテ内閣が発足してからまだ間もないイタリアです。北部同盟と五つ星運動党が連立を組んだ前内閣では「連日仲の悪さを報道され両政党が取り繕う」の繰り返しでした。中でもサルヴィーニ前副首相の憎まれっ子ぶりをマスコミはこぞって報道していました。イタリアのジャーナリストの姿勢は左派でリベラル寄りなのでサルヴィーニの移民阻止・強制帰還政策は耐えがたい愚策だったのでしょう。サルヴィーニ下げにマスコミが勤しんでも、(新内閣前の騒動で北部同盟は若干支持率を下げたとはいえ)北部同盟は内閣を去った現在でもイタリアで最も支持されている政党です。この現実にマスコミが報道したくないイタリア国民の本音があるように思われます。  

 閑話休題

 連立与党同士の中が悪かったのは周知のこととはいえ、なぜ北部同盟がおとなしく内閣を去ったのか、そしてサルヴィーニの側近が関係する、いわばイタリア版ロシアンゲートの報道もいまやすっかり沈静化しているのはなぜなのでしょうか?ちょっと不思議ですね。とりあえずイタリア版ロシアンゲートをまとめたラ・レプッブリカ紙の記事を見てみましょう。

『サルヴィーニとロシアのつながり』

 エスプレッソ誌とバズフィードが2018年10月18日モスクワのメトロポール・ホテルでMatteo Salviniマッテオ・サルヴィーニの同僚で親密な友人でもあるGianluca Savoiniジャンルカ・サヴォイーニとその他複数のイタリア人とロシア人が北部同盟(LegaNord)へ資金提供の件を話し合うために会った事を詳細(音声)に暴いた。そこから国際的贈賄の捜査と国会の(前)副首相を巻き込んだ事件が勃発した。段階的に事件を見てみよう:

 2018年10月18日 モスクワのメトロポール・ホテルでジャンルカ・サヴォイーニ(北部同盟代表、ロンバルディア・ロシア協会の会長でありマッテオ・サルヴィーニの同僚で友人)とイタリア人二人(うち一人は後にジャンルカ・メランダの企業弁護士だと明らかになる)と複数の身元不明のロシア人が会った。  

 2019年2月刊行のエスプレッソ誌の調査記事と2019年7月9日バズフィードによって公開された音声記録から確認できたことによると、石油を売る交渉のための会合で、合意によると石油の売却金は欧州議会選挙用の北部同盟の選挙対策事務所の不正資金に予定だった。サヴォイーニは北部同盟が主権国家同盟とともに「ヨーロッパを変えることを欲している。新ヨーロッパはロシアにとても近くあらねばならない」と説明して交渉の政治的背景を強調した。前日10月17日、内務省大臣マッテオ・サルヴィーニはモスクワでコンフィンドストゥリア(イタリア企業を代表する組織)がロッテ・ホテルで準備した会合に出席している、同会合にサヴォイーニの姿もあった。

 エスプレッソ誌の暴露記事後ミラノ検察庁が国際的贈賄として調査を開始、ジャンルカ・サヴォイーニは捜査された。同検察庁はバズフィードが公表した音声録音も入手した。  サヴォイーニ自身はウラジーミル・プーチンがロシア大統領としてイタリアを訪問した際にマダーマ宮(ローマ)で2019年7月4日に催した晩餐会に出席している。また同晩餐会にはジュセッペ・コンテ首相、サルヴィーニ(元)副首相とルイジ・ディ・マッテオ副首相も出席した。さらにサヴォイーニはロシア内務省大臣のテーブルでサルヴィーニの隣にいた。ロシア内務省大臣とは2018年7月7日モスクワで知り合った。同じ時にイタルタス通信(ロシアの国営通信社)の本部でサルヴィーニにインタビューしている最中に、記者がイタリア語で最前列に腰かけたサヴォイーニに向かってサルヴィーニと会う機会を設けたことに関し礼を述べた。

 こうした様々な会合にサヴォイーニがいた理由を説明するよう求められて、サルヴィーニはマダーマ宮であろうとモスクワであろうと自分がサヴォイーニを招待したのではないと否定した。2018年10月18日の会合に関しては、サルヴィーニはあらゆる関りを否定し、北部同盟はロシアからびた一文もらっていないことが捜査によって明らかになると断言した。問題の会合でサヴォイーニと一緒だった弁護士ジャンルカ・メランダは共和国への一通の手紙で商談は始まったが具体性は全くないと書いた。

 マダーマ宮の晩餐会に関しては、キージ宮殿の覚書によって招待はクラウディオ・ダミーコ(彼もまたサルヴィーニの協力者)が強く要求したことが分かった。クラウディオ・ダミーコは議会の副大統領室に内々に進言するという役目をした。ダミーコの名はロンバルデア・ロシア協会(サヴォイーニは会長)の組織図にもある。様々な証拠やモスクワで政治的会合に一緒にいるサルヴィーニとサヴォイーニとダミーコを映した数々の写真がある。

  7月16日:メトロポール・ホテルにいた第3の男Francesco Vannucciフランチェスコ・ヴァンヌッチが歩を進める。 ヴァンヌッチはリボルノ出身62歳、ジャンルカ・メランダの協力者(プロの銀行家)で弁護士はモスクワのメトロポール・ホテルでの10月18日の会合にサヴォイーニの隣にいた。民主党やマルゲリータ党に所属したこともあるヴァンヌッチ曰く「会合の目的は純粋に専門的な事で、貿易倫理基準を順守することを話し合うためだった。取引を規制する規定から想定される状況を話し合った。」

 9月3日:交渉にあたった第2のロシア人の身元が判明  バズフィードは第2のロシア人の身元を断定:第2の男Andrei KharchenkoはかつてIlja Andreevich Jakuninとレプッブリカ紙に書かれたことがある。両方とも権威主義者で哲学者のAleksandr Duginアレクサンドル・ドゥーギンやVladimir Pliginと関係があり、プーチン大統領に近い弁護士である…

                              (訳ここまで)

結局、ビジネスはなかった(成立しなかった?)ということですが、サルヴィーニとしては政権から外れたことでこれ以上の追及は逃れられそうです。ところで北部同盟とEU諸国の右派政党(極右も含める)の関係は20年以上にも及びますし、サルヴィーニと連立を組んで選挙戦を戦ったフォルツァ・イタリアのベルルスコーニもプーチンと仲良しでした。もっともベルルスコーニは大富豪なので裏金の必要はなかったわけで…

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