Accademia Italiana

本格的に学びたい方のためのイタリア語教室。アカデミア イタリアーナ

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唐木 麻美 )

「クリスマスに食べるイタリアの伝統料理」

クリスマスをイタリア語でNataleナターレと言います。Nが大文字ではないnatale(発音同じ)は「誕生」という意味の形容詞あるいは名詞で、大文字のNataleになると「イエス・キリストの生誕」という特別な意味で使われるのです。Nataleの語源は「誕生に関する事」を意味するラテン語の形容詞natalisで、この形容詞はラテン語の動詞nascorの完了分詞natusから派生しました。フランス語のnoël、ポルトガル語のnatal、スペイン語のnatividadもラテン語系統の言葉なので語源は同じです。

さて、以前にこのコラムでクリスマスの起源や過ごし方を取り上げましたが、今回はクリスマスの特別料理とそれに関する決りについて見てみましょう。

クリスマスの伝統料理は地域によって大きく異なっています。そもそもクリスマスを祝う食事をするタイミングも地域によって違います。イタリア半島中部から南部地域ではクリスマス前夜(イタリア語ではVigiliaヴィジリアと言う)の晩餐で祝うのに対し、北部では25日の昼餐で祝うと決められています。 また食物に関しても細かい規則があります。24日の夜は魚を中心に質素な料理、25日は肉も用いて自由な献立を楽しみます。一般的にドライ・フルーツを入れたパネットーネは欠かせません。

《地域ごとに違うクリスマスの伝統料理》

① 北部の料理

ヴァッレ・ダオスタ州の伝統料理は雄牛肉のワイン煮込み料理carbonadeカルボナードで、ハーブで香りを付けて乾燥させたヤギか羊のサルーミ(食肉加工食品)で味を付けたcrostini al miele蜂蜜のクロスティーニとよく合います。 ピエモンテ州ではagnolottiアニョロッティ(詰め物をしたパスタ)と肉の様々な部位を茹でた料理(bagnetto rosso とbagnetto verdeで味付けする)bollito mistoボッリート・ミストなしのクリスマスは考えられないほど。bagnetto rossoもbagnetto verdeも共にピエモンテ州ではポピュラーなサルサです。

(Bagnetto verdeバニェット・ヴェルデの作り方)

材料:パセリ1束、ニンニク2片、アンチョビ(オイル漬け)4切れ、堅くなった丸パン1個、唐辛子3摘み、塔悪露腰のオイル8匙、白ワインのヴィネガー1/2カップ、塩適宜、トマトソース、1カップ

① パセリを洗って水気をきる

② 固くなったパンをヴィネガーに浸して柔らかくし、ニンニクの皮を剥く

③ まな板の上で3/4分量のパセリ、ニンニク1片、アンチョビ2切れ、唐辛子一摘み、3/4分量の柔らかくしたパンを一緒にする。

④ ナイフかチョッパーで全て細かく刻み、ボウルに入れる。オイル6匙、塩を入れて味を調える、好みでヴィネガーを加えても良い。

(bagnetto rossoバニェット・ロッソの作り方)

① ニンニク、アンチョビ、唐辛子、セロリの残りを細かく刻みフライパンに入れて残りのオイルで炒める。しんなりしたらトマトソースと柔らかくしたパンを加える。15分煮てソースを煮詰めながら塩で味付けをする。必要があれば唐辛子を加えても良い。

色々使えそうなサルサなので是非作ってみてください。

閑話休題

ピエモンテの食卓にはこれ以外に野菜や肉のラヴィオリ、cappon magroカッポン・マーグロ(固いパンと野菜&魚介類のサラダ)、野菜と魚介類の料理が並びます。 リグーリア州ではクッキングペーパーでボイルしたウナギが伝統料理です。またヴェネト州では乾燥タラのポレンタと塩茹で肉を食べます。 フリウリ(ヴェネツィアの北東地方)では郷土料理brovadaブロヴァーダ(汁を絞った後のブドウ滓に漬けた赤かぶ、オリーブオイル、ローリエ、豚のバラ肉か大きく切った豚肉と一緒にフライパンでじっくり炒める)とムセットmussetto(エミリア地方のソーセージに似た腸詰)の一皿とエミリア地方のソーセージとカブのスープ&ポレンタ、チーズとソースのトリッパ。トレンティーノ・アルト・アディジェ州ではクネーデル(イタリア語canederli)、子ヤギ肉料理caprettoカプレットあるいはフォアグラ料理caprioloカプリオロ、去勢雄鶏、最後にドライ・フルーツや砂糖漬けの果物を入れた焼き菓子シュトゥルーデルかzeltenゼルテンを食べます。

② 中部の料理

厳密にブロードに入れたトルテッリーニとパッサテッリ(いずれもパスタの種類)とタリアテッレとラザニア、カボチャのトルテッリ、ハーブのトルテッリ、プロシュート、クラテッロ(生ハム)。これらが食卓に上るのはエミリア・ロマーニャ州で、特に肉をベースにした美味しい料理の発祥の地です。

とはいえ幾つかの例外はあります、例えばモデナでは魚とくに保存加工された魚を食べるのでツナ、サバ、アンチョビとトマトのスパゲッティ以外に乾燥タラをフライにしたり戻したりして食べます。 乾燥タラはラツィオ州のクリスマス前夜(ヴィジリア)の祝いの宴で大ウナギや野菜のフライの中で中心的な存在にもなります。ローマのヴィジリアに欠かせないのは魚のスープ(minestraミネストラ)かローマ方言で言うアルツィッラ(イボガンギエイ、シチリア方言ではpigara petrosaと言う)のブロード&パスタ。アンチョビのパスタ、ウナギのフライやマリネ、ラツィオ州原産のプンタネッレ(cicoria asparagoアスパラガスのチコリとも言う。チコリの一種)のサラダ、そして最後に甘いトッローネ(ヌガー)と様々なナッツやスパイスが入っている焼き菓子パンペパートを食べます:

(パンペパートのレシピ)

材料:蜂蜜300g、小麦粉(00)350g、皮を剥いたヘーゼルナッツ150g、 皮を剥いたアーモンド150g、殻を剥いたクルミ150g、干しブドウ150g、 溶かしたチョコレート150g、粉末シナモン小匙1、黒コショウ小匙1、 クローブ4/5、ナツメグ小匙1/2

干しブドウを20分ほど水に浸して水気を切り軽く絞る。ヘーゼルナッツ、アーモンド、クルミをミキサーで細かく砕く。シナモン、黒コショウ、クローブ、ナツメグ、干しブドウを加える。溶かしたチョコレートも加えて良く混ぜる(手で混ぜるのが良い)。蜂蜜(温めて液状にする)を入れる。少しずつ小麦粉を入れて良く混ぜる。丸い塊にして、それを二つに分けてそれぞれ小さな丸に形を作る。人数に応じてもっと小さな丸型にしても良い。175℃のオーブンで25分焼く。こうして調理したパンペパートは2週間保存できる。アルミ缶に入れておけばフレッシュさを保つことができる。

個人的見解ですが、なぜか日本のお節を思い起こさせる味です。

話を戻してモリーゼ州ではアーティチョークのスープ、質素な漁師料理が起源のブロデット・アッラ・テルモレーゼ、タラとパンくずとポテトなどの野菜や木の実や干しブドウなどをオーブンで焼いたバッカラ・アッラカナートを食べます。

トスカーナ州ではフェガティーニ(鳥のレバー)のクロスティーニ以外にホロホロチョウやカモのロースト、豚レバーを使った焼き串料理フェガテッリ、詰め物をした去勢雄鶏をオーブンで焼いたカッポーネ・リピエノにも舌鼓を打ちます。またトスカーナの腸詰バルディッチョ(別名salsiccia matta狂った腸詰とも言われる)やウイキョウで風味を付けた豚の腸詰も用意します。マルケ州ではカンポフィローネ・ディ・マッケロンチーニ(パスタの種類)やカッペッレッティ(パスタの種類)のブロードを食べるのが伝統で、ウンブリア州でも詰め物をしたチキンやハトのローストが出されることがあります。子羊のローストや茹で豚、ラザーニャ、スープがテーブルの主役になるのはアブルッツォ州です。州都のテーラモではアーモンドやカスタードクリームをパスタで包んで揚げた菓子のカジョネッティがあります。

③ 南部の料理

去勢雄鶏のブロード、スパゲッティ・アッレ・ボンゴレ、フリセッレ、詰め物入りチキン、カリフラワーやグリーンオリーブを使うインサラータ・ディ・リンフォルツォ、揚げ菓子ストゥルフォッリ、ドーナツ状で可愛らしい名前のビスケット、ロッココ、新鮮なフルーツがカンパーニア州のクリスマス料理で、宴席を豪華に盛り上げます。クリスマス前夜はウナギの雌(別名capitoneカピトーネ)を食べることが多いです。なぜなら雌ウナギは蛇に似た姿からイヴを唆す動物の役を引き受け、サタンに対する人間の象徴的勝利と見なされているからです。

バジリカータ州、カラブリア州、プーリア州でも魚、肉、野菜は欠かせません。バジシカータ州はチコリのスープ、キャベツとアーティチョークスープを入れた七面鳥のブロード、タラの水煮、アーモンドが入ったパン、そして蜂蜜で味を付けた揚げ菓子のスカルペッデ。カラブリア州ではパンチェッタ・アル・カピコッロからソップレサンタ・アッラ・サルシッチャまでサラミ類の大盤振る舞いで、パンくずとアンチョビと子ヤギのスパゲッティか干物を使った料理(ソテーしたブロッコリーを添えて)があります。 プーリア州ではイタリア固有の野菜ブラッシカ・ラパとトマト、ケーパー、オレガノ、アンチョビ、殻をむいたエビ、ブラッシカ・ラパ、リコッタチーズをパン生地で包んで揚げた料理ペットレ(ピットゥレとも言う)があり、グリルした雌ウナギやタラの揚げ物、少し苦いハネムスカリを添えた子羊のオーブン焼き、最後は焼き菓子ピッタ・ンピリアータ、カンナリーコリ、トゥルディッリで終わります。

サルデニア州にはトマトソースが詰まったラヴィオリ、クルルジオネス・デ・カズ、パスタ料理のマッロレッドゥス、サルシッチャのソースをかけたセモリーナのニュッキがあります。オレンジのサラダ、ニシンと玉ねぎ、アーティチョークのパステッラ、ブロードに入ったチキン、ブカティーニを使って作るイワシのパスタや同じくイワシ料理のサルデ・ア・ベッカフィーコはシチリアで食べられています。またパレルモ発祥のピザ、スフィンチョーネはアーティチョークのフライとチキンのブロードと合わせ、デザートはカッサータのブッチェッラーティやカンノーロがあります。

ここで取り上げた料理は部分的で、郷土料理の世界はとても奥が深いです。

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