Accademia Italiana

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唐木 麻美 )

12月4日、イタリアの国民投票に関して ①

12月4日はイタリアで3回目の国民投票が行われます。政治の無駄を省き、経費を削減して、議員の定員削減&報酬引き下げと踏み込んだ改正案を国民がどのように受け止めるのか。イタリア経済は危機的状況からなかなか脱することができない状況で、政府は出産一時金や18歳人口にたいして教育援助を目的とした一時金を支給するなど先行き不透明感を払拭できない国民に明るい展望を持たせたいと必死なのではないかと思われます。

各メディアも国民投票について大きく取り上げています。Fanpage.itの記事では:

『12月4日、憲法改正を決する投票は何のためにするのか』

簡単に説明された憲法改正、非難の応酬:

2016年12月4日憲法改正を問う国民投票のためのガイド

12月4日、イタリア人はマリア・エレナ・ボスキ議員が進める議会&内閣改造と、マッテオ・レンツィ首相が進める憲法改正について是非を問われることになる。

憲法改正は、定足数を超える必要はないため、投票者の多寡が改革を承認するか否かを決するだろう。

共和国の歴史で憲法改正の国民投票は3回目になる、過去に行われたのは2001年と2006年である:2001年の場合は中道左派の大多数が進めたTitolo V(第5項目の意味。地方自治の枠組みを規定した憲法)と呼ばれた憲法改正案で、イタリア人にとって初めての経験だった。(訳者注:投票者33,9%棄権66,1%、憲法改正に可64%、否36%で可決。これにより州、県、市町村により多くの権限が移ることになった)

一方で、その5年後の国民投票はdevolution(帰属)と呼ばれた連邦法に関する改革は、中道右派が提議したものだが却下された。

国民投票は行われなければならない。憲法は議会の2つの枝(上・下院)で3分の2の承認を得て変えられるものではなく、国民の投票を経ずして憲法改正はできないからである。

とはいえイタリア人が投票用紙の紙片上で見ることになる問題は、Tar(州行政裁判所)でうんざりするほど取り沙汰された騒々しい政治論争である。以下見てみよう:

「同等二院制を超えるための規定、議会の議席数削減、諸々の機関の活動費抑制、Cnel(Cosiglio nazionale dell’econimia e del lavoro 経済・労働国家会議)の廃止、2016年4月15日の官報(N.88)で告知され議会で承認された憲法第2部にあるTitolo Vの修正に関する憲法を承認するか?

① レンツィ首相の改革で憲法のどの部分が変わるのか。

レンツィの改革とは、41項で成り立ち、憲法第2部を決定的に変えることになる。特に第1、第2、第3、第5、第6章。憲法の基本事項、第1部、『市民の義務と権利』を承認する部分、は改革対象外だ。第2部を改革する、詳しくは議会構成をする規制する項目、法律の形成を規制する項目、共和国大統領選出を規制する項目、補助機関(Cnel)を規制する項目、地方団体の規定に関する項目、立法権限を有する内容に関する規制を扱った項目が改革対象である。司法官の役割と任務を規制している第4項は変えない。より詳しい改革部分は第55条、57条、58条、59条、60条、61条、62条、63条、64条、66条、67条、69条、70条、71条、72条、73条、74条、75条、77条、78条、7条、80条、81条、82条、83条、85条、86条、87条、88条、94条、96条、97条、99条、114条、116条、117条、118条、119条、120条、121条、122条、126条、132条、133条、134条、135条。

② 憲法改正で上院の構成はどのように変わるのか?レンツィ改革の核心部分でだと思われるが。

規定全体に影響を及ぼす。欧州水準で私たちの国の固有な状況を鑑みて改革は完全な二院制になるように方向づる(言い換えれば現在の議会と上院がほぼ同じ義務を果たすようにし、同じ議題を討議するようになる)。上院の議員数は約320名(市民から直接選出された315名+大統領指名の終身議員5名)から約100名に(第2レベルで選手過ぎ院95名+大統領指名の7年任期の議員最大5名まで)。上院議員は古い条項に従って市民から直接選出されるのではなく、新しい上院には19名の監事、1名は州のため、2名は特別県(トレントとボルツァーノ)のため、州議会から選ばれた議員74名が座る(一方で国外選出の議員は入らない)。各州は住民数に応じて上院議員数が割り当てられるが、最も小さな州では2名(最小人数)の議席が確保される。云々」

                                   訳ここまで

この記事は改正部分について細かく説明しているので、記事全てを読みたい場合は当教室の授業でリクエストしていただきたいと思います。

さて、Riforma di Renzi(レンツィの改革)の最も肝心な点は憲法改正で、この改正により上院の権限は大幅に縮小させる一方で、議会に権限を集中させ政治的無駄を一掃することにあります。したがって無駄な経費を削減し、雇用対策に十分な経費を割り当てることができるという事です。もちろん首相を始め議員報酬の削減が盛り込まれていることはいうまでもありません。

さて12月4日を前に国民が心配していることは:

① 税負担が増えること

② 消費税(I.V.A.付加価値税Imposta sul valore aggiunto)の税率が上昇かもしれない

③ 教育現場の改革(教師の報酬を能力に応じて引き上げる、など)

④ 優秀な人材の国外流出問題

⑤ 市民権はどうなるのか

また国民投票を与党が政治的手段にしていると考えられている面があるため、12月4日を前に政府は様々なメディアを駆使し国民に理解を求めています。仮に国民投票で否決された場合、EU主義の現政権は退陣するためイタリア政治は不安定になることが予想されます。その際M5S(Movimento 5 stelle)党は大躍進するかもしれません。かつてフランスのルペン氏から共闘しようと呼びかけられた事もある政党のためイタリアはどこに向かうか分かりません。ただここ数日パレルモとボローニャでM5Sの政治不正疑惑に関する捜査が取り沙汰され、現時点では捜査は他の地域へ拡大する可能性もあるのでM5Sが描く『与党への国民の不満の受け皿になる』かどうか。

さあ、12月4日はどうなるでしょうか?

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