コラム

イタリアの職人は消滅するかも?

karakimami

広く知られているようにイタリアの工芸は世界的に大きく評価されています。Made in Italyというブランドやイタリアの美しい景観を支える、小さな工房の職人たち。しかしこのような工房や極小企業は経済危機の苦境に喘いでいます。 実はこの現象は様々な分野で以前から見られていたことですが、先日のANSA通信の記事で危機的状況の全体像が数字から見えてきました。

「理髪師(床屋)から額縁職人まで、消滅の危機にある職業」 ~粗悪な建築、屋台の食べ物が増加~

経済危機が手工芸を葬り去ろうとしている。2015年だけでも減少した企業数は総合で2万1780(-1,6%)だった。

一方で、理髪師や毛皮製造者、額縁職人、わら縄張り職人などの専門職が消滅する危険性が強まっている。Cgia Mestre(L’Associazione Artigiani e Piccole Imprese Mestre 小規模手工業&工業協会)によると、それに反して美容師とエステシャンは(+2,180)、アイスクリーム店、デリカテッセン(総菜屋)、屋台は(+3,290)、清掃業と造園業は(+11,370)で増加傾向にある。

2009年イタリアで経済危機が始まった年から、工房の数は総合で11万6千(-7,9%)に激減した。中でも建築業(65,455社減)と運送業(16,699社減)という悲惨な状況である。製造業も苦しみにあえいでいる、特に冶金機械工業(金属製品では12,556社減、機械設備では4,125社減)、木工業(8,076社減、家具製造業も含めると11,692社減)。

地域別では、南部の州は長期にわたって大きな困難に“衰弱”している。サルデニア特別州は-14,1%、アブルッツォ州は-12%、バジリカータ州とシチリア特別州はともに-11,1%で、深刻な減少を被っている。 この6年間でイタリアの20州すべてにおいてポジティブな変化は見られない、昨年も全州にわたってマイナスだった。地域別では6年間(2009年~2015年)で南部は-10,1%、北東部は-7,8%、中部は-7,3%、北西部は-6,7%を記録した。 Cgiaの分析では、この経済危機で大きな打撃を被った専門職のリストは際立っている。

2009年から2015年間でCgiaに登録されている最も重要な職種で減少が見られた:小規模船主(-35,5%、ヴェネツィアのゴンドラ乗りなどが含まれる:訳注)、ニット業者(-33,1%)、音響・映像修理業者(-29,4%)、家具磨き業者(-28,6%)、ソファ・肘掛け椅子製造業者(-28,4%)、毛皮製造業者(-26%)、額縁職人(-25,7%)、わら縄張り職人(-25,2%)、椅子職人(-25,1%)、トラック運転手(-23,7%)、建具屋(-23,2%)。

Cgiaのレナート・マソンは「幾つかの歴史ある手工芸が、現在消滅しつつあることを心配しています。被害を被っている各分野が徹底的に変化した、あるいは若者がこのような職業を選択しないといった理由などが原因です。 例えば理髪師、靴職人、鍛冶屋、写真屋、眼鏡屋、額縁職人は消滅途上にあり、無くなったらもう二度と取り戻せない知恵や知識を失うこと以外に、こうした職業活動の閉鎖は私たちの国や街の外観を悪化させつつあります。」と明かした。                                       

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