コラム

「LBGTと子供 〜新しい家族の形〜」

karakimami

カトリックが国教のイタリアではLBGT(LBGTI)の結婚やパートナーシップを巡る様々な記事が書かれています。

良い呼称ではありませんが同性愛者は隠語でrecchione (ricchione / orecchione )と呼ばれます。言葉の由来についてはっきりしたことは良く分かっていません。ただ語源はイタリア南部であり、その後北部に広まったことは確かで、おそらくmalavita(良くない生活あるいは人生)を指す隠語でした。例えばヴェネト州ではreciònやロンバルディア州のoreggiaやoreggiattといった言葉があります。それ以外にも古代では自らの意志で性を変えるとされてきたlepre(うさぎ=自然に反する愛の象徴)に関係する語源、などいろいろな説があります。

この隠語に見られるように、現在でもLBGTに対する社会の反発や偏見はいまだに大きいように思われます。 しばらく前からあるLBGTの二人の決断が社会への問題定義になっています。

(記事訳ここから)

「ルーベンの物語。イタリア共和国では認められない二人のママを持つ子供」

イタリア国外で誕生した幼い子供ルーベン、スペインの法律では彼はどこにいようとイタリア人だ。だがルーベンの誕生を登録することはない、なぜならイタリアには同性婚やパートナーシップ制に関する法律がないからだ。

生後数週間の大きな目をして赤ちゃんはもう戦いの渦中にいる。イタリア人の二人のママ、ダニエラとマルタは結婚して7年前からスペインのバルセロナ在住。しかしルーベンには身分証がない、これほど幼いのに“生存する”ために二人のママと一緒に訴訟を起こさなければならない。

ルーベンはイタリア国外で生まれた、スペインの法律では彼がどこにいようとルーベンはイタリア人だ。理由はイタリア人の両親から生まれたから。だからイタリア政府に子供のための書類を申請する必要がある。けれども彼の誕生という事実に、通常通りに男性の名前と女性の名前はない、彼は同性婚の両親の下に生まれたからだ。

イタリアには同性カップルや同性カップルを両親とする子供たちを保護する法律がない。 このためルーベンは生物学上の母親の出身地であるナポリ市の戸籍に記載されないのだ。結局ルーベンは透明人間になっている。存在しないのだ。

彼にはスペインで健康保険を受けることも認められない、

理由はもちろん身分証がないから。

それに国から出ることもできない。

ダニエラ曰く「私たちはイタリアに囚われているのよ。スペインから出ることはできない、だって自分の子供とイタリアに替えることはできないのだから。」健康保険を受けられないことについて二人の母親は先進国で信じられない不幸な事だと語った。子供にはかかりつけの小児科医や国の健康保険に入ることもできない。たった一つできる唯一の事は救急病院に行くこと事だけ。

もう十分長く障害に立ち向かってきた:最初母親たちは在スペイン領事館に出向いた、そこで『おそらく阻止されてしまうだろうからルーベンの身分証明書を求める請願書は提出しないように忠告され』そして『検察庁に行くように勧められた』。

だが母親たちはすぐ裁判の道を選んだのではない。ダニエラ(ルーベンの生物学上の母親)が生まれたナポリ市に賭けあってみたのだ。だがここでもやはり子供の誕生は記載されなかった。二人の苗字も、ダニエラの苗字一つだけでも駄目だった。

検察庁が関知しない登録の唯一の事例は、2月にアルゼンチンで二人の母親(一人の親がイタリア人)のもとに生まれたレオンを法律家の仲裁を受けてローマ市が行った出生登録がある。

数ある前例の中で、検察庁に訴えなければならなかったトリノの件はもっと複雑だ。裁判所は二人の母親の訴えを支持したが、『基本法は男性と女性』が対象であるとしてマッダレーナ検事総長に検察庁は判決破棄の申し立てをした。

この二つの例では共通して二人の母親の一人は外国人で、それにより子供は既に他の国の国籍を持っていた。

ダニエラとマルタの2番目の方法は、ローマの検察庁に行くこと以外なかったようだ。多くの人たちがダニエラやマルタに“賢く振る舞う”ように忠告した、法律をうまく使うように。例えばイタリアではダニエラはシングルマザーとして書類を提出することもできただろう。

『でもね』ルーベンを腕に抱いてダニエラは抗議した『賢く振る舞うなんて絶対嫌だった。私たち二人は結婚して、ここスペインでは家族でルーベンには生まれた時から権利がある。私は自分の権利がほしいの。もし国が私たちを一つの家族として認め保護しようとしないのなら、少なくとも他の国ではそうできるようにさせてほしいのよ。』

さしあたって彼らの事例は議論を起こし、多くの人間が母親たちに書いている『大勢の人たちが私たちを励まし、助力を申し出ている。でも私たちに抗議する、うれしくない手紙もあるのよ。』

これがイタリア人、同性カップルに対して超保守的、“実際の生活を第一に”考える人たちだから身分がない子供の生活を受け入れることに問題はない。でも少なくとも世俗国家の憲法は子供の権利を明確にするべきだろう。

(訳ここまで)

その後ナポリ市が独断でルーベンの出生登録を認めたというニュースが流れ、同市に感謝するダニエラとマルタの喜びの声が伝えられました。ルーベンの祖父母もナポリで孫と一緒に過ごせることがうれしいとコメントしていたのも束の間、数日後には一転して白紙撤回するという、残念なニュースが流れました。

現代社会にとってこのような新しい家族形態を認めることはそれほど大変な事なのでしょうか?

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