Accademia Italiana

本格的に学びたい方のためのイタリア語教室。アカデミア イタリアーナ

RUBRICA イタリアに関する情報とコラムをお知らせします。 時々イタリアでないことも。

唐木 麻美 )

「欧州を目指す難民をカモにする不法タクシー」

イタリアではあまりにも大勢の難民がヨーロッパに押し寄せる問題が早くから顕在化していました。トルコの海岸に流れ着いた幼い子供の遺体の写真は世界に衝撃を与え、日本を含め各国の関心を集めるようになりましたが、

実はイタリアでは近年の傾向として非常に低年齢の難民が増加していました。赤ちゃんを含む子供や若者ばかりを乗せた難民船がイタリア南部に着くことが増えていたのです。こうした子供達には保護者がいないことが多く、そのため子供たちを保護した国が難民児童の養育を引き受ける事になります。このような事例から子供たちの親は子どもだけで危険な旅をさせても、より良い生活をさせたいと一大決心をして子供を送り出しているのではないかと思われます。

しかし、現在問題となっている非常に多数の難民には、政治的な迫害を逃れてきた難民と従来の経済難民が一緒になっているので上記のような子供だけの難民船問題とは事情が異なることは言うまでもありません。

またテロリストが難民に紛れ込んでいるとの指摘もあり、すべての難民を「難民」という一つのカテゴリーに括る難しさがあります。

さて、今回ご紹介する記事は様々な困難な状況にある難民を食い物にする不法タクシーの現場をカメラで追ったものです。

「移民輸送、ブダペストの不法タクシー」

ハンガリーのRöszke、記者がブダペストのKeleti駅とRöszke難民キャンプを経由してセルビアの国境からウィーンを目指す難民をハンガリー国内で取材。一日に数千人の難民の通行を許可しているセルビアとの国境沿いに築かれた壁から僅か数百メートルのところに、ブダペストと南部をつなぐM5高速道路を走るトラック運転手が利用するサービス・ステーションがある。

夜になると警察の監視下でサービス・ステーションは不法タクシーの一大集合地点と化す。難民輸送者がRöszkeからブダペストまで不法に難民を運ぶためのSUVやステーションワゴンを集めているのだ。サービス・ステーションは人道活動組織が駐屯している最初に難民を受け入れるキャンプと、Röszkeの難民キャンプとのちょうど中間に位置する。Röszkeにやってきた難民は身分を確認し書類を作るためにバスで運ばれていく。国境を一旦超えたらハンガリーで身分確認をされないようにしてウィーンに行こうとする難民を途中で捉える戦略的な場所だ。

夜、高速道路の方へ歩いていくイラク人とシリア人の難民200人のグループを追いかけてサービス・ステーションの近くにいることが分かった。

そこには『ブダペストまでのタクシー!一人200ユーロ』と叫んで難民の注意を引こうとする難民輸送者が10人ばかり集まっていた。より深く探るため記者の車がサービス・エリアに中に入る。 ガソリンを入れたり、通常のサービス・ステーションにある様々なサービスを利用するのは不可能だ。車や機材を盗ると脅して我々に出ていくように命じる20人ほどの男たちに数分で取り囲まれた。

Röszkeとブダペスト間に必要な燃料のコスト(12,000ハンガリーフォリント=38ユーロ=約5,095円を超えることは滅多にない)を除いて、タクシー一台が一晩の間に一度に4人の乗客を運ぶことを少なくとも3回行った場合の手取りはおおよそ2,172ユーロ(約291,338円)だ。不法タクシーの運転手が移動中に警察に止められて乗客である難民を料金を返金せずに車から放り出さざるを得なくなったら収入はもっと上がる。

イマンに起こった事がこれにあたる。イマンは家族と共にシリアのデリゾール(Deir el-Zor)から逃げ出してきた難民だ。ブダペストのKeletiの駅で彼女に会い、彼女に話をしてもらった:

二人の子供とタクシーガイドの女と一緒にタクシーに乗るために600ユーロ払いました。たった5分走っただけで、突然車が止まって女が叫びました『警察よ!外に出て!』私たちは高速道路で放り出されて森に身を潜めました。(泣きながら)私は再びブダペストに乗せていってくれる人を探すために高速道路に戻りました。それで彼らは私にこう答えました『いいよ、でもお金をもらわないとね』

(記事訳ここまで)

このような事情を考えるとウィーンから200人ほどの有志ボランティアがFacebookでの呼びかけに答えて難民を自家用車でウィーンまで送り届けたことは、前途多難な難民にとって少しでも助けになった事でしょう。

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