Accademia Italiana

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唐木 麻美 )

イタリアの経済危機の影響とデフレ

今年に入ってレンツィ政権(与党)が欧州議会選挙と地方選挙で圧倒的な勝利を収めた事により、イタリアの政治は漸く安定したと言えましょう。レンツィ首相の政治的手腕は高く、欧州議会でのイタリアの発言権が強まったこの機に乗じて入念な準備をしたうえで先ごろ欧州議会の高等外交官にイタリア人が選出されました。イタリアにとって大変喜ばしいことです。

翻ってイタリア経済が苦境から脱することは容易ではありません。2014年7月の Il Sole 24 Ore (イル・ソーレ・24・オーレ)紙の記事を見てみましょう。

「7年間の不況の後で、イタリアのどこが一番苦しめられたのか?」

2007年から2013年の7年間ででイタリアはどのように変わったか?不況に最も苦しんだところは何処か?弊紙では失業、債務、不動産価格、廃棄物の量、大学卒業者の人数、薬の購買量など10の項目に関してイタリア各州に採点をつけることにした。

イタリア人の家計の7年間の推移は、給与、家屋の価格、車の購入や耐久性の財産の有無などから見ると全般的に低調だ。失業率は2倍以上に膨れ上がり、今や12,2%(2014年7月時点)に到達しつつあり、貯蓄のための銀行貯金も増えている。 だが不況はどの地域も平等に襲ったわけではない。他州と比較して不況に喘いだ地域は2007年と比較して2013年は著しく景気後退した。

打ち続く悲観的要素は国を北部と南部を分かつ溝を掘ったとはいえ、大部分の中規模ないし小規模な地域は総体的に不況に苦しめられた。ピエモンテ、エミリア・ロマーニャ、マルケ、ラツィオ、これらの州では不況が一層強く感じられた。また伝統的に他と異なって富裕な飛地と見なされていた幾つかの州も、不況直撃州リストの上位に挙げられる。

大幅に縮小した補助:

自然災害の結果、緊急性が認められた場合の家賃補助のため10%の配当クーポン(補助金)を市町村で使うことができる。非常事態に対する国の対応を調査した結果から、少なくとも3,000の市町村で家主はこの制度を使う事ができることが分かった。(中略)

買い物は安く:

セールの時期にネットで買い物をするのは小売商店で直接買い物をするより安くすむ。大概、大幅値引きがあるから。でもイタリア人の多くはまだヴァーチャル空間での買い物に利点を感じていない。Accenture, Seamless Retailが20カ国で1万5千人の消費者に行った最近の調査では、イタリア人の59%がネットでの買い物を便利と感じているのに対し、フランスではその割合は70%、イギリスでは77%に昇る。とはいえ52%のイタリア人は将来的にTVショッピングを利用したいと考えている。(中略)

さて、この記事にもありますが、最近のイタリアでは「緊縮財政にある家計をどのようにやりくりするか」という視点で書かれた記事が大変多く、またネットショッピング関係の記事でも「vendite flash」(大幅値引き商品が短期間限定で売られている)を利用したり、クーポン券を利用することが勧められています。

実際イタリアでじわじわ進行するデフレ、大勢の日本人が経験済みのデフレを懸念する記事が Il Tempo (イル・テンポ)紙に掲載されました。

「55年の歳月の後、今再びデフレ」

Istat の調査結果:物価が0,1%下落。平均して一日に数千の仕事が無くなっていく。失業者数3千2百万人。すべてが後退局面に入り、1959年の水準に戻っていく。もっとも当時は急激な経済成長で持ち直すことができたが。

イタリア経済にとって暗黒の金曜日だった。8月29日に発表されたIstat の調査結果は、失業・インフラ・経済成長の点においてイタリアが1959年以来初めて後退局面に入り、デフレに突入したことを示しているというものだった。一方、仕事数の減少は続いている。この調査によると、失業率は7月に再び上昇に転じ、6月と比べて0,3%上昇し12,6%に跳ね上がった。これは昨年同月比0,5%以上高い数値である。

イタリアの失業者は322万人で、6月から7月にかけて6万9千人増え昨年同月比で14万3千人以上多い。就業者数は毎日に千人以上減少している。全体として仕事があるイタリア人は2、236万人で、6月と比較して3万5千人減っている。特に減少が著しいのは若年層である。15歳~24歳の7月の失業者数は70万5千人。

調査結果が示すのは否定的なデータだけではないが、7月は物価の推移がとまり、第二四半期GDP マイナスが確認された。経済成長に関しては8月初旬に予想された通りイタリアは後退局面に入っていることが調査で裏付けられた。-0,1%が第一四半期に記録されて以来、第二四半期のGDPは0,2%減である。 経済の停滞は様々な指標から見て取れる。

実際第二四半期では最終消費支出は全く変化していない、家計の総合支出は0,1%増、公共法人や財団法人の支出は-0,1%、一方設備投資は0,9%減である。輸入は1%増で、輸出は0,1%増。イタリアはついにデフレに陥った。Istat の推測では8月の消費者物価指数はタバコの場合では前月比0,2%増で前年比0,1%減(7月の時点では前年比0,1%増)である。1959年以来初めての現象であり、「急激な成長 」期のGDPは明らかに現在より高く、年率5%増で推移し55年前には7%増に達した。

Confindustria イタリア経団連の会長 Giorgio Squinziは言う

「状況は劇的です。ショック療法が必要です。今年度のGDPはマイナス成長になるでしょう。たとえ痛みを伴うものであるにせよ、政府は何らかの経済対策をしなければなりません。私たちは状況を冷静に判断し、犠牲を払わなければなりません。」

統一地方選挙で与党が圧勝したことでレンツィ政権は国民の信任を得た安定した政権になりました。すでに経済対策のための緊縮財政に舵を切っているレンツィ政権ですが、今後さらなる思い切った経済政策を打ち出してくるのでしょうか?EU第3の経済圏の難しい舵取りが今後も続きそうです。

* 1958年~1963年の急激な経済成長を指す。この時期を「Miracolo economic in Italiaイタリア経済の奇跡」とも言う。イタリアは第二次世界大戦によって荒廃したが、欧州全体が1945年から1963年に経済が大きく成長したことが追い風になって急激な経済成長を遂げた。

 

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