コラム

Angiola Armellini アンジョラ・アルメッリーニ、巨額脱税の中心人物

karakimami

2014年1月、不況に喘ぐイタリアの首都ローマで巨大脱税事件が発覚しました。事件の主役は Angiola Armellini アンジョラ・アルメッリーニ。今回他11人と共にイタリア財務警察に20億€(約2,800億円)の脱税で告発された彼女はローマの有名建設業者の後継者で、ローマの街のいたるところに何と1,243戸の隠し不動産を所有、また無数の外国口座にも巨大な財産を隠していたということです。
写真で見る限り妙齢の上品なマダムといった印象を与える女性ですが、今後はローマのセレブリティというだけでなく巨額脱税事件の首謀者として歴史に名を残すことになるでしょう。
アルメッリーニ家には目もくらむような成功の輝きと醜いスキャンダルがついて回る運命にあるようです。
ここでこの一家の成り立ちをアンジョラの父の死亡記事を交えて振り返ってみましょう
アンジョラの父 Renato Armellini レナート・アルメッリーニはローマで莫大な富を築いた建設業者で「 Re del mattone れんがの王様」と呼ばれました。1993年8月18日トスカーナ州グロッセート近郊のジャンネッラの海岸で急死、死因は肺浮腫でした。
レナートは1930年マルケ州からローマに移り住んだ職人の一家に生まれました。レナートの父(アンジョラの祖父)は一介の職人から小さな会社を興した人で、レナートは若くして父とともに働き始めました。若く企業精神に富んだ測量技師のレナートは、1950年、粗悪品をかき集めて安く売るという商売を始めました。親分肌であったこともあり、レナートはたちまち工事現場のパトロンにのし上がりました。事業は順風満帆で、現在でも彼の業績はオスティア、トゥスコラーノ、ラウレンティーノ、エウル、マリアーナで見られます(彼が残した作品?は残念ながら美しいとは言えませんが…)。企業家として成功しただけでなく、彼は建築資材のマーケットで並外れた権力を持つようになりました。
こうして「レンガの王様」と呼ばれるようになるまで全てが順調でしたが、エウルのマンテーニャ通りのスキャンダルが彼を司法の場に引き釣り出しました。マンテーニャ通りにあった9階建ての建物は違法建造物でしたので市は取り壊しを決定したのですが、レナートお抱えの弁護士たちは法律を悪用してこれを妨害しました。1983年、破棄院(日本の最高裁判所にあたる、控訴院の判決の破棄、差し戻しの権限を持つ裁判所)はこの違法建築について70億リラの罰金を「レンガの王様」に命じました。
このスキャンダルが始まった年1974年から幸運の女神は彼を見放したようです。同年職人が死亡した事故に関して有罪判決が下り、1977年には偽装倒産で逮捕され、翌年には詐欺罪、1979年にポメツィアの地所の不法区画化でも罪に問われました。
こうしてアルメッリーニの名はローマを賑わすスキャンダラスな名詞になってしまったのです。アルメッリーニ家は絶頂期に3,600戸(9万立方メートル)、130の会社を有し、その資産価値は1,500,000,000,000リラという途方もない数字になりました。
もっともこの魅力的な数字にカラブリアの悪党たちも魅了され、1980年2月にレナートは誘拐されてしまいました。しかし家族が警察に届けたのは何と一ヵ月後で、身代金が100億リラから50億リラに値下げされてからという奇妙な話でした。監禁日数263日、レナート・アルメッリーニは13億払ってようやくパルミの田舎で解放されました。かくして長い無精ひげに覆われたレナートの写真はたちまち各紙のトップを飾ったのです。
1983年にはエウルのマロッコ大通りにある邸宅を圧縮爆弾で爆破すると脅され警察に届け出る、などといったこともありました。彼の輝かしくない業績の最後は5千億リラを越える脱税・偽証行為で、その際には娘たちアンジョラとナザレーナも同罪になりました。
レナート・アルメッリーニについて書かれた記事によると彼の死の年にも強盗団に襲われているので、晩年は心穏やかとはいかなかったかもしれません。
一般にレナート・アルメッリーニが頭角を現した時代は建築業で財産を築ける時代でした。
彼ほどの成功を収めなくても、この時期に不動産業で不自由ない財産を築いた人も多かったのです。
さて、父親の事業の才能を良くも悪くも受け継いだアンジョラ、彼女もまた醜いスキャンダルにまみれた後半生を送るようになるのでしょうか?

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