Accademia Italiana

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唐木 麻美 )

新しい法王 Francesco (フランシスコ)の誕生

2013年3月13日、266代目の新しい法王様が誕生しました。

歴史上初めてという南米アルゼンチン出身で、ブエノスアイレスの Jorge Mario Bergoglio 大司教が法王に選ばれ、法王 Francesco (一世)と名乗られるということです。

イタリア時間夜8時、謙遜の証としてスータンのみを着用した姿で新法王は S. Pietro 寺院の中廊に現れました。

「私は世界の果てからやってきました。皆さん、私のために祈って下さい。」

「兄弟、姉妹たちよ、こんばんは。コンクラーヴェがローマに新しい法王を与える義務があることは皆様ご存知ですね。

私の兄弟である枢機卿たちは新法王を求めてほとんど世界の果てまで行ったようですが、しかし私たちはここにいます...

このような歓迎を頂いてあなた方に感謝します。」

実は新法王は2005年前法王 Benedetto XVI を選出したコンクラーヴェの際、最大多数を獲得した枢機卿でした。某紙によると、確かな筋からの情報としてBergoglio (新法王)はコンクラーヴェの間、涙を流さんばかりにして自分を選出しないように枢機卿たちに頼んだということです。理由としては健康上の理由(若いころに呼吸器系の感染症で肺を摘出していること)やアルゼンチンの軍政時代の罪が考えられます。

前述のように、新法王は前法王を選出したコンクラーヴェで前法王に続き最多票を獲得しました。謙虚で慎み深く、貧しい者たちに対して気遣いする点が法王にふさわしいと判断されたのでしょう。

枢機卿に任命されたときには、信徒たちに巡礼のためにローマに行くのではなく、それにかかる費用を貧しいものたちのために寄付するように頼みました。これはまさにヴァチカンの保守派たちとは一線を画す、驚きの発言です。

また Protodiacono (助祭序列の筆頭枢機卿)の Jean-Louis Tauran 枢機卿の声明によると、Franciscum ( ラテン語、イタリア語の Francesco のこと)という名を法王が称されるのは史上初であり、今後これに続く2世、3世があるかもしれませんが、Francesco 新法王がこの名の初代法王として人々に記憶されるでしょう。

ところで驚くことは教皇史上初めての南米出身の法王ということだけではありません、彼は始めてのイエズス会出身の法王なのです。広く知られているようにイエズス会は1534年イグナチオ・デ・ロヨラが創立した修道会です。その長い歴史の中で強大な力を保持し、強い影響力を持つ聖堂会参事会長を頂点に組織だった位階制を持ちながらも、これまでローマにイエズス会出身の法王が選出されることはありませんでした。ちなみに現在イエズス会士は17,906人、そのうち聖職者は12,737人です。

ここであらためて新法王が聖職に就くまでを簡単に述べたいと思います。

Bergoglio 枢機卿(Francesco 法王)は現在1936年12月17日、ブエノスアイレスでピエモンテ(イタリア)出自の家系に生まれました。 

科学技術者として資格を取った後、聖職を志し Villa Devoto の神学校に入ります。

1958年3月11日 Compagnia di Gesu' 修練院を経て、チリで人文学を修めました。1963年ブエノスアイレスに戻り、San Miguel の San Jose' 大学校で哲学の修士号を取りました。

1964年から1965年間はサンタフェの学校で文学と心理学の教授を務め、1966年にはブエノスアイレスでも同様の教鞭をとりました。

1967年から1970年にかつて勉強した San Miguel の San Jose' 大学校の神学部で神学を勉強し、1969年12月13日司祭に任命されました。

こうしてスペインや他の地で様々な役職に就いた後、1973年7月31日アルゼンチンの教会管区長に選出されました。

1976年のクーデター後(アルゼンチン)、独裁政治の間沈黙していたことで批判を受けました。ジャーナリストのHoracio Verbitsky が書いた「L'isola del Silenzio (沈黙の島)」で、Francesco 法王がブエノスアイレスの貧民街で働いていたイエズス会士を守らなかった(後に二人は誘拐された)ことを厳しく非難されました。

1980年から1986年は前述の大学校の学長など重要なポストを歴任し、1992年法王パオロ2世からブエノスアイレスの司教に任命され、1998年2月28日アルゼンチンの大司教に任命されたということです。

厚い信仰心と深い教養を携えた新法王は、ヴァチカンの改革をはじめ実務上の問題が山積している状況にどのように対処なさるのでしょうか。今のような時代には、人々の心を支える信仰が果たす役割は決して小さいものではないでしょう。新しい法王の良き采配を期待したいものです。

 

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